DeNA初代監督・中畑清氏が三浦監督にエール!『ベイスターズ再建録』出版記念会見で思いを語る

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2021年06月24日 19:40  ベースボールキング

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『ベイスターズ再建録』刊行記念記者会見を行った中畑清氏(右)と著者・二宮寿朗氏(左)
◆ 職員から選手まで意識改革をした男

 横浜DeNAベイスターズが誕⽣して10年⽬を迎える今年、その軌跡を綴ったノンフィクション書籍『ベイスターズ再建録「継承と⾰新」その途上の10年』が6⽉25⽇(⾦)に双葉社から刊⾏されることが決定。出版を記念してDeNAの初代監督を務めた中畑清氏が登壇し、当時の思い出から、現在のチーム状況まで大いに語った。

 中畑氏は書籍の冒頭「ベイスターズを変えろ」の章に登場。就任に至る経緯や就任会見のあと、球団職員の意識改革へと続いていく。球団事務所で職員に挨拶をした際、返答がない現実に直面し、「勢いよく入っていって『よろしく!』って言ったが、みんなシーンって。空気そのものが嫌だった」とのこと。「元気、覇気がない。熱量が感じられない」現状を変えるため、「挨拶の練習」から始めた。

 現場でも「営業本部長として話題を提供するために馬鹿になって、選手にも『記事に写真が載らなきゃダメ、セールスポイントを考えなきゃダメ』と意識させた。ファンサービスは当たり前」と注目度アップに着手し「どんな試合であったとしても、ノーヒットノーランされても、要望があればインタビューは仕事の一環として4年間やり通した」と世間に発信することを続けた。

 野球面でも「諦めない野球を教育。怠慢プレーは許さない。1つのプレーの大切さを練習からやり、ミスは流さない」ことを徹底。結果として、チーム力も段々とアップし、ベイスターズファンは急激に増加。中畑氏が頼んだチケットも用意できない状況となったときに、「最高だったよね。俺の仕事は終わったと、安堵感や達成感があった」と振り返りつつ、「勝つことに関しては薄かったかな」とユーモアも交えて自虐的に笑った。

 当時を振り返った中畑氏は「野球をやるのは人間。いい人が集まって、いい仲間が集まった。4年間やって伝わっていってファンと一体になれた」と満足げな表情を見せていた。



◆ “後輩”三浦大輔監督へエール

 中畑監督時代はエースとして君臨し、またファンサービスでもチームを引っ張った現三浦大輔監督にも言及。「スタートがあまりにも悪かった。俺のときよりも悪いスタート」と、眉をひそめたが、「ある程度、選手も揃って戦えるチームになってきたという手応えはあると思う」と語り、底は脱したとの見方を示した。

 その上で、「残り試合で新しい三浦大輔のDeNAを作れるか。大輔の色を出していって、ピッチャー出身なので、投手陣の強化、整備をメインにやって欲しい。今は攻撃陣がメインになっているけど、一番大事なのは守る野球。点を与えなければ負けないのだから、その部分を大輔が自覚を持って出ていく姿を見たいね」と、番長カラーの確立を期待した。

 球団としては、「日本一になれるチーム。それを目指さなきゃいけない」と、“テッペン”をとることの重要性を強調しつつ、「10年間の中で浮き沈みもあったし、それを経験しながら成長していくのがチームだと思う。攻守のバランスが揃うことがDeNAはあまりないんだよね。もう一つなんだよね」と、歯がゆい思いも吐露した。

 それでも、「妥協点が低いとそこで終わっちゃう。南場オーナーが言うように『日本一になって下さい』と、その言葉を言い続けることが凄い大切」と述べ、理想は「3年以内の優勝」ともコメント。「期限をセッティングしてやらないと、監督としてもチームとしてもダメ。覚悟を持ったチーム方針を」と力説したあと、「僕はほとんど最下位だったけど……文句あるか!?」と“キヨシ節”も炸裂させ、会見を盛り上げた。

 『ベイスターズ再建録「継承と⾰新」その途上の10年』は、グラウンドで戦う選⼿ではなく、球団職員という‟内側”にいる“会社員”たちの戦いを追った異⾊のスポーツノンフィクション。中畑氏のエピソードはもちろん、違ったアングルからベイスターズを追った点は、ファンだけではなくビジネス書としても楽しめる内容となっている。


取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)

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