ウッチャンの“欲の無さ”が番組を面白くさせるワケ

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2021年06月27日 14:30  AERA dot.

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写真内村光良
内村光良
 理想の上司ランキング、男性部門で5年連続第1位のウッチャンこと内村光良の“上司力”に迫った書籍『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)は出版前に重版が決まるなど、注目を集めている。関係者への取材を重ねた著者の畑中翔太が、リーダー内村を分析する本連載。

【写真】「理想の上司ランキング」女性部門の1位はこの人

第6回目のテーマは「無欲」。

*  *  *
 今回、20人にも及ぶ関係者への取材をもとに、リーダー内村のタイプを筆者なりに分析すると、彼は典型的な「尽くしたくなる」リーダーである。なぜ、内村は尽くしたい気持ちにさせるのだろうか。

 その理由について、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)で総合演出を務める古立善之氏がこんなヒントをくれた。

「内村さんは、ある番組が人気になったり、視聴率がよかったり、そういった成果から生まれる“果実”を『自分が狩ってやる』という気持ちが一切ない人です。自分がMCを務める番組が大成功したとして、その成功を自分の芸歴や収入、評価などといったものに、還元したいとか、してほしい気持ちがまったくないんだと思うんです。単純に番組に関わっている大勢の人たちと、よりおもしろい番組をつくろうという以外には、興味がない」
 
 この「(成果から生まれる)果実」という言葉は、内村のリーダー像をひもとくヒントに見受けられる。
 
 ビジネスである以上、売り上げ・予算といった「数字」にこだわるのは当然のこと。達成できなければ、給料や会社の存続にも甚大な影響を与えていく。内村も古立氏も推して知るべし、視聴率というシビアな「数字」に日々、向き合っている。これらの数字はリーダーやチームが目標とすべき、重要な「成果」といえる。
 
 だが往々にして、私たち社会人は、その「成果」の先にある「果実」というものを意識してしまう生き物だ。その仕事で成果をあげた暁には、それがどう自分に還元されるのかをどこかで意識してしまう。むしろそれが働くモチベーションであるという人も少なくないだろう。
 
 あながち悪いことでもない。リーダーから発せられる上昇への強い欲求が、チームを引っ張っていくエネルギーとなりえる側面もある。出世、お金、名誉は、分かりやすく誰しもの欲を刺激する甘い「果実」だ。
 
 しかし、リーダーが(内面に抱えるかどうかは別として)「果実を狩ってやろう」という姿勢を強く外に出してしまうことは、チームモチベーションを高めるという点においては避けるべき行為ではないか。

 たとえばあるチームリーダーが、「今期の売り上げを達成して、俺は部長になるんだ」と口癖のように言っていたら、その部下たちはどう感じるだろうか。「チームで達成する目標=上司の野望」とイコールで映ってしまうことは、部下たちに「え、俺たち、上司の出世のために働いているんだったっけ?」というゆがんだ感情をもたらしかねない。

 一方、内村の“無欲なスタンス”は、関わっていくチームにいい循環を生み出している。古立氏いわく、内村と一緒に番組作りをしていると、関係者がみな「純粋でいられる」のだという。

「内村さんが俗物じゃないからですよね。僕たちはどこか内村さんを笑わせたかったり、喜ばせたくて単純に“おもしろいことをしよう”というシンプルな動機で働いていられる気がします」
 
 広辞苑で「俗物」をひくと、「名誉や利益にとらわれてばかりいるつまらない人物」とある。内村の行動原理は、お金もうけや名声にはなく、シンプルに、「おもしろいことをしたい」「視聴者に笑ってほしい」、ただそれだけ。

 これは古立氏に限らず、今回取材協力いただいた関係者がおしなべて口にしていたことである。

「内村さんがそういう姿勢だから、現場の空気も自然とそうなるし、ひいてはスタッフの純粋なやる気をも引き出しているというか」(古立氏)
 
 ここで重要なのは、古立氏が述べているように、内村の周りのスタッフや関係者は「内村が目指す番組づくり」のために働いているが、決して「内村の目的や出世のため」に働いているのではない、という感覚をみなが持っている点にある。

 すなわち、“果実”に該当する内村個人が手に入れたい野望をみんなで助けているわけではなく、内村の人柄に惹かれながら、「お茶の間の人に笑ってほしい」という内村の目指す番組づくりを、それぞれのスタッフが「共有目的」として捉えて、取り組んでいる。

 こうした「共有目的」でつながれたチームはおのずと、チーム員もおのおののつまらぬ欲を持ち出そうとしなくなる。目の前の業務の成功に集中することができる。そのような空気をつくり出せている要因はやはり、成果の先にある栄光や称賛といった「果実を狩ろうとしていない」、内村のリーダーシップが大きい。

*  *  *
「野望ではなく、人としての在り方で惹きつける」。これが、内村が実践しているリーダーシップが生み出す、“究極 のチームづくり”といえよう。

●畑中翔太(はたなか・しょうた)
博報堂ケトルクリエイティブディレクター。アクティベーション領域を軸に手段とアプローチを選ばないプランニングで、「人を動かす」統合キャンペーンを数多く手掛ける。 これまでに国内外の150以上のアワードを受賞。Cannes Lions 2018 Direct部門審査員。2018年クリエイター・オブ・ザ・イヤー メダリスト。

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  • 某宗教の信者タレントがしつこく勧誘して周ってるの注意して、そこのボス的タレントに眼をつけられて干された事ありましたよね。 https://mixi.at/aa7gGoS
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  • ウッチャンナンチャンはコンビで無欲って感じがしますねww
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