【F1第10戦無線レビュー:スプリント予選】好スタートのアロンソが7番グリッドを獲得「これはQ4と呼べばいいのかな?」

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2021年07月18日 18:31  AUTOSPORT web

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2021年F1第10戦イギリスGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2021年F1第10戦イギリスGPでは、F1史上初となる『スプリント予選』が導入された。2番グリッドのマックス・フェルスタッペンがスタート直後に首位に立つと、そのままフィニッシュ。決勝レースのポールポジションを獲得した。17周で争われたスプリント予選を無線とともに振り返る。

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 史上初のスプリント予選。フロントロウに並んだマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の左フロントブレーキから炎が上がるのが見えた。見事なスタートを決めてルイス・ハミルトン(メルセデス)を抜き去っていったフェルスタッペンだったが、やはりブレーキの状態が気になるようだ。

フェルスタッペン:ブレーキは大丈夫かい?
ジャンピエロ・ランビアーゼ:すべてOKだ

 最後尾スタートだったハースの2台はターン3で接触事故を起こし、ニキータ・マゼピンがスピンを喫する。レース中の事故と認定され両者お咎めなしとなったものの、マゼピンはまだしもミック・シューマッハーのマシンは完全に無傷というわけにはいかなかった。

ドミニク・ヘインズ:タイヤもフロントウイングも、全部大丈夫だ。エンドプレートがちょっとダメージを受けているが、問題ない
マゼピン:わかった

ゲイリー・ギャノン(→シューマッハー):車体右側にちょっとダメージがあって、ダウンフォースが減っている

 それでもシューマッハーはマゼピンを抑え、18位で完走した。

 ものすごいロケットスタートを決めたのは、11番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だった。蹴り出しもよかったが、そこからの位置取りも絶妙で、一気に5番手まで順位を上げた。しかし背後からランド・ノリス(マクラーレン)の猛追を受け、必死に防戦。何度も走行ラインを変える行為があったようで、ノリスの担当エンジニア、ウィル・ジョゼフがこう伝えた。

ジョゼフ:ランド、(アロンソが)ウィービングしていると、レースディレクターには伝えておいた

 レースディレクターが何らかの決定を下す前に、ノリスは6周目にアロンソを抜いていった。さらに9周目にはダニエル・リカルド(マクラーレン)がターン3から4へと見事なクロスを決めて、アロンソをオーバーテイク。マクラーレンの2台が5、6番手を形成した。

トム・スタラード:グッジョブだ、ダニエル

 一方、2番手ハミルトンと首位フェルスタッペンの差は、12周目の時点で2秒に広がっていた。

ハミルトン:やれることは全部試しているけど、もうちょっとパワー出ない?
ピーター・ボニントン:わかった。ちょっと見てみる

 とはいえメルセデス側でやれることは限られている。ハミルトンのペースはその後も大きく改善されることはなく、逆にタイヤにブリスターが出始める。それは他のドライバーも同様だった。

バルテリ・ボッタス:右フロントにブリスターが出て、振動がひどい

ボノ:フェルスタッペンの右フロントに、ブリスターが出ているぞ
ハミルトン:僕も同じだよ
ボノ:わかった

 一方、ノリスの担当エンジニア、ジョゼフの無線は、ちょっと毛色の違うものだった。

ジョゼフ:ランド、ヒロシが言うには、右フロントタイヤ内側にブリスターが見えるけど、深刻じゃないとのことだ

 今井弘チーフエンジニアの名前が出るのは、確認できるだけでも今季3回目だ。なにかタイヤ関連の問題が起きたとき、ジョゼフは「ヒロシはこう言ってた」とノリスに伝え、安心させている。

 終盤16周目、フェルスタッペンの優位はもはや動かなかった。ランビアーゼから、タイヤをいたわるように指示が出た。

ランビアーゼ:ハミルトンとの差は3秒になった。右側の縁石にはできるだけ乗るな
フェルスタッペン:わかった
ランビアーゼ:コーナー出口の縁石は、左側も乗らないほうがいいな

 いっぽう、6周目の超高速チャペルコーナーでスピンして大きく順位を落としていたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はタイヤにダメージを受けていて、まったくペースが上がらなかった。

ヒュー・バード:チェコ、スロットルを戻せ。リタイアしよう

 そして全17周のスプリント予選が終了した。

 9番グリッドスタートだったカルロス・サインツ(フェラーリ)は、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)との接触で18番手まで後退。素晴らしい追い上げを見せたが、本人は不満そうだ。

サインツ:ラッセルは僕の前でフィニッシュしたんだよね。僕のレースを台無しにしたのに
リカルド・アダミ:今、審議中だ

 結局ラッセルは、3グリッド降格ペナルティを受けた。しかしサインツにしてみれば、納得しがたいところだろう。さらにスタート自体で出遅れたことにも、サインツは不満を露わにした。

アダミ:P11だ。よく這い上がってきた
サインツ:ありがとう。でもスタートには満足してない。あとで話し合おう

 対象的にアロンソ陣営は、大はしゃぎだった。

カレル・ルース:素晴らしい! P7だ。1周目がとにかく、ものすごかったね。
アロンソ:ショーを存分に堪能してくれたんじゃないかな。戦略も素晴らしかった。ところでこれって、Q4っていえばいいのかな?
ルース:ハハハ。それ、いいかも

 自分たちが戦ったばかりのこのセッションはどう見てもレースなのに、スプリント予選と呼ばれることへの皮肉ということか。いずれにしてもアロンソのベテランの巧さが光ったスプリントレース、いや、スプリント予選だった。

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