『ザ・ノンフィクション』老舗を正したいムコの鼻息「老舗の寿司屋に婿が来た 〜4代目は元美容師〜」

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2021年07月26日 21:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月25日の放送は「老舗の寿司屋に婿が来た 〜4代目は元美容師〜」。

あらすじ

 明治神宮、川崎大師とともに有名初詣スポットであり、正月三が日だけで約300万人が参拝するともいわれる千葉県の成田山新勝寺。その参道にある80年以上続く老舗「成田江戸ッ子寿司」の3代目になる社長は、人手不足や魚の値段の高騰、回転寿司チェーン店の勢い、そして新型コロナの影響もあり将来的には店をたたむことも考えていたという。

 しかし社長の一人娘、すみれの交際相手である元美容師の31歳の雅貴が店を継ぎたいと婿入りする。すみれが店の板前たちを巻き込んで雅貴をノセたところもあったようで、すみれは「(雅貴が)仕事がイヤにならないか不安」と話す。なお、雅貴はそれまでしていた美容師の仕事について「やりたいと思ってやっていなかったので、次にやるものが見つからなかったので」と話す。

 雅貴は店に入る前に、寿司職人の養成学校で2カ月間の集中特訓を受けるも、授業料の82万5,000円はすみれの父親持ちだ。その後2020年11月、雅貴は江戸ッ子寿司に入るが、接客では声が出ず、ホール担当のすみれの母に覇気のなさをたしなめられる。

 21年正月、新勝寺の参道は「閑散としている」ほどではなく、それなりに人が行き交ってはいたものの、親方(社長の弟であり、すみれの叔父)に言わせると人は10分の1だという。元日の売り上げは例年の3分の1にも及ばなかったという。

 このころの雅貴は、接客でも声が出るようになっていたが、店を取り仕切る大女将(すみれの祖母)が作るシフトは現場の実情にそぐわないと苦情を入れたり、厨房とホールスタッフの役割が分業なのは合理的ではないと、大女将のやり方に不満を持つ。

 大女将は「何か知らないけどガンガンガンガン電話で言われてさ」と気分を害し、雅貴の勇み足にほかのスタッフも彼と距離を置くようになる。

 結局、シフト作成はホールに入る益美(親方の妻であり、すみれの叔母)が大女将に変わり作ることになったが、益美はあえてそれをすっぽかし、結局大女将に戻る。大女将は、益美が自分に気を使い、あえてやらなかったのだろうと気持ちを汲む。

 そんな中で、すみれが妊娠。雅貴は、少しずつ最初の勇み足から落ち着きを見せてくる。「前の職場(美容室)で何も考えなさすぎてやってきて、それがあって前の仕事で失敗しているのが自分でわかっているので」と話す。最後は大女将の家にすみれの妊娠を報告していた。

 雅貴は入店からわずか半年程度で、60年店を切り盛りしてきた大女将のやり方に不満を抱え、それを本人に伝えてしまったことで、案の定怒らせる。

 組織には、今となっては悪習でしかない古いルールがあるとは思うが、それを新入りが「古参の悪習を正す」と進言したところで、「こちらの頭が固かった、ご指摘感謝します」となるわけはないだろう。相手にだって感情があるし、相手はそれまでそこを守ってきた先輩だ。「御進言」をするとしたら、そこに配慮し、ものすごく慎重な態度で、かつ、時期を見計らってやるべきことだったように思える。

 しかし、雅貴にはいずれ自分が継ぐのだから、自分の意見は受け入れてもらえるはずだ、という思い上がりもあったのかもしれない。

 雅貴と大女将のいさかいのとばっちりを受け、シフト管理を任された益美は、その仕事をおそらく「あえて」すっぽかし、大女将に仕事を戻す。この“大人の対応”により、雅貴は首の皮一枚でつながったように思う。

 雅貴の勇み足も、番組の最後ではだいぶ落ち着いたように見えた。益美をはじめ、周りの大人に感化されたところもあるのかもしれない。なお、親方は番組スタッフの取材に「自分で恥かいて尻に火がついて一生懸命やる、多分みんなそうだから」と雅貴を大人な態度で見守っていた。

 雅貴については、金銭感覚も気になった。寿司職人の養成学校の授業料をはじめ、夫婦の引っ越し費用や新居の家財道具はすみれの親持ちで、結婚式の財布も両家の親とあって、雅貴もすみれも親がいくら出しているかもわかっていない様子だった。

 結婚式や新居の家財道具はご祝儀ともいえるが、2人の住む家の家賃は16万円と伝えられており、これは成田市の相場を考えてみたらかなり高い。そんな二人の暮らしぶりと、客の入りがまばらな江戸ッ子寿司の現状がどうにも一致しなかった。コロナ禍により、従来の稼ぎ時である正月はもちろん、GWに至っては店はガラガラだった。

 すでに代々脈々と築いた資産があり、この程度の出費ぐらい余裕というならうらやましい限りだが、店で働いている雅貴とすみれは、コロナ禍の売り上げと、自宅の家賃のギャップにどこまで自覚的なのだろうとは思った。

 店はいずれ自分たちが継ぐのであり、主役の自分たちを周りが祝ってくれる結婚式のように「費用は知らない」では済まない。雅貴は大女将のやり方に文句を言う前に、そういったことを気にした方がいいのではないだろうか。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は『ザ・ノンフィクション 女装と家族と終活と 〜キャンディさんの人生〜』。女装歴が40年を超える69歳の女装愛好家、キャンディ・H・ミルキィ。女装を後から知った妻は家を出ていってしまったという。現在肺の病を患うキャンティの「終活」とは。

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