個人参加OK! 学童野球の新しい試み「PCG-FUTURES GAMES」

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2021年08月13日 18:04  ベースボールキング

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ベースボールキング

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この春から本格始動した“子ども達を真ん中に置いた学童野球”「PLAYERS CENTERD GAMES」(以下、PCG)。子ども達自身がゲームを創り、野球を楽しめるように学年、実力に応じてルールが異なる4つのカテゴリーがあることは以前にヤキュイクでも紹介した通りです(詳しくはこちら)。そんなPCGが今度はチームに加入していない子どもや野球をやってみたい子どもが個人参加できる試合「PCG-FUTURES GAMES」をスタート。一体どんな試合になったのでしょうか?



子ども達が野球を「クリエイト」
初めての試みとなるこの日、個人参加で集まったのは5年生と6年生の男の子2人。そこにPCGに参加しているチームの5、6年生20名も加わり、合計22人で70分制の試合を2試合行うことができました。



試合開始前には子ども達だけでライン引きやグラウンド整備など試合の準備。ちなみに試合でも塁審を務めるのは子ども達。これはPCGでは普段から行われていること。それは日頃から子ども達自身が野球を「クリエイト」することを大切にしているから。それに加えてこの日は、集まった22人シャッフルしてのチーム分け、ポジション決めも子ども達だけで行いました。





はじめはぎこちなさも見えた子ども達でしたが、試合前のキャッチボールが始まるとお互いにもう名前で呼び合うなどすぐに打ち解けているようでした。



試合中も主役はもちろん子ども達。ベンチの監督、コーチ達は球数をカウントしつつ、「思いっきり!」「頑張って!」などの声はかけますが守備位置の指示や打席での「待て」や「打て」などの具体的な指示は行いません。サインも指示も全て子ども達。ピッチャーは予め子ども達が決めた順番で交代していきました。
「この暑さなのでキャッチャーも途中で交代させる必要があります。子ども達がそこを忘れそうであれば大人が声をかけてあげないといけないと思っています」と試合前に話してくれたのはPCG事務局長の塚本さん。しかし、大人の心配をよそに子ども達で話し合いキャッチャー交代もスムーズに行っていました。





はじめて同じチームになる子ども達同士の即席チーム。普段と違うポジションに苦戦する場面も見られましたが、それでも相手チームのファインプレーにはベンチの大人も子どもも、見守る保護者からも「ナイスプレー!」の声と拍手が飛び、最後まで楽しそうにプレーをしていました。


たくさん話しかけてやりやすい雰囲気にしてくれた
試合中、こんな場面がありました。個人参加の子がバッターボックスに向かう途中、バットを引きにきたチームメイトが「頑張って!」と小さく声をかけると、その子は見事にセンター前ヒット。塁上でベンチに向かってガッツポーズをするとベンチも大盛り上がり。その光景は即席の合同チームにはとても見えませんでした。



試合後に個人参加の2人に話を聞くと、こんな感想を話してくれました。
「最初は知らない子ばかりで不安でした。でもキャプテンの子とかがたくさん話しかけてくれたので段々と慣れてきてやりやすい雰囲気にしてくれました。めちゃくちゃ楽しかったです」

「周りは知らない子ばかりだったけど、途中から話もできるようになったしヒットも1本打てて楽しかったです。また参加したいです」



また、普段はチームに所属してPCGを戦っている選手は初めての試みをこのように振り返ってくれました。
「他チームの子達と合同チームを組んで、最初はみんながどういう選手なのか分からなかったけど、みんなで協力して上手くできたと思います。いつもとは違って自分たちで打ちたい打順を立候補したり、ポジションもみんなで話し合って決めたり、普段とは違うポジションを守ったり、そういうのも楽しかったです。またこういう試合をやりたいです」



次回の「PCG-FUTURES GAMES」は秋頃の開催を予定しているそうですが、参加希望者が多くなれば前倒しで開催する可能性もあるとのこと。参加希望の場合はPCGリーグ公式サイトの「お問い合わせ」(https://www.playerscenteredgames.com/お問い合わせ)から申し込みが可能になっています。


初めての試み、収穫と課題
最後にこの日試合を見守った大人達の声も紹介します。

■個人参加したA君のお父さん

——このリーグのことを知ったきっかけは?

1年生のときからずっと野球をやっていたのですが、習い事などで土日が忙しくなってきたので野球と習い事のバランスの取れるチームを探していてこのリーグのことを知りました。

——試合を通じて普段のお子さんとの違いや変化などは見られましたか?

今日が初めての試合だったのでちょっと硬いなぁと思いながら見ていました。

——誰も知っている子がいない環境に一人で参加することにお子さんは不安などを感じていませんでしたか?

こういう環境は結構慣れていると思います。転校を経験したり海外に住んでいたこともありますし、そういうときも全然知らない環境で、野球チームに一人で飛びこんだりする経験をしてきましたから。

——お子さんの今後の野球のご予定は?

本人も野球が好きでずっとやっていますし、(習い事などもある中で)手に負える範囲で続けられるのであれば続けていって欲しいなと思っています。親としては非常に面白い試みのリーグだと思っていますので、本人が希望するのであれば今後もこのリーグに参加したいですね。

■個人参加したB君のお母さん

——このリーグのことを知ったきっかけは?

ネット記事で知りました。

——誰も知っている子がいない環境に一人で参加することにお子さんは不安とかを感じていませんでしたか?

すごいシャイで緊張しやすい子なんですけど、野球をずっとやりたくて前日まではずっと楽しみにしていました。直前になるとやっぱりちょっと緊張していましたね。

——現在はチームには所属されていない?

所属していたのですが、去年のコロナ緊急事態宣言のタイミングで本人は続けたかったのですが家族の都合で辞めざるを得ませんでした。

——今日の息子さんのプレーを見ていかがでしたか?

もともと口数が多い方ではないのですが、今日は試合でミスもしてしまってなかなかチームに溶け込めてないなぁと......。でも(時間が経つと)他の子達とも会話をしている様子も見れて、それを見て親としてはホッとしました。

——お子さんの今後の野球のご予定は?

二回目、三回目もできれば参加したいなと思います。



■塚本PCG事務局長

——初めての試みでしたが終わってみての感想はいかがでしょうか?

主体的にこの場を楽しもうと思って集まった選手達。自分たちで楽しむための環境を作り、スタメンも選手交代も、サインも自分たちで決める姿。それは、放課後や休日に近所の公園で友達同士で野球遊びをしているように、誰にやらされるでもなく、自分たちが楽しむために野球をやっている。そのような姿を見ることができました。それが一番の収穫だったかなと思います。

——やってみて分かった発見と課題などはありましたか?

チーム分けや打順、守備位置を決めることなど、普段は大人が介入しがちなところを子ども達だけでも十分にできることが今日の試合をみただけでも分かりました。ですので、今後は子ども達にもっと任せてもいいのかなと思いました。それが発見ですね。
課題で言いますと、初めて参加してくれた子たちのチームへの溶け込みですね。子どもたちにそこを委ねつつ、リーダー的な役割ができそうな子にはそういったことのケアを促してみるだとか、そうすれば雰囲気作りがもっと早く、上手くできたかなと思いました。また、今回は5,6年生でしたが、低学年で個人参加したい子供たちが出てきた際は、少しやり方を工夫する必要もありそうです。

——個人参加した子達も初めはぎこちない感じでしたが、途中から打ち解けてチームメイト達と笑顔で言葉を交わしたりしていましたね。

やっぱり野球をやりたくて来ている子達ですので、グラウンドに立てばそのあたりは積極的にやっていて安心しました。スタート前は少し心配していましたが、杞憂に終わりましたね。

——PCGの中から今日は3チームの5、6年生達が参加していましたが、彼等も日頃は試合以外で接点がないはずなのに打ち解けていましたね。

PCGに参加しているチームの選手はスポーツマンシップを意識して活動しているチームも多く、お互いを尊重する気持ちをもってグラウンドに来てプレーしているんだなってあらためて思いました。既に対戦経験もあるチームの選手同士、過去の対戦時に気になる選手もいたようで、今日の試合を経てよい刺激にもなったと思います。

——次回の「PCG-FUTURES GAMES」の予定は?

PCG個人参加選手登録を募集しておりまして、そこである程度人数が揃い次第、次は5、6年生だけでなく、カテゴリーも増やして秋頃実施したいと考えています。既にチーム参加している選手、これからチーム参加したいと考えている選手、過去にチーム所属していたが今は未所属の選手。色々なバックグラウンドを持つ選手同士が集まって試合する場を想像するとワクワクしますね。(取材・文・写真:永松欣也)

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