ヤクルト逆転Vへの道 15年ドラフト同期2人にさらなる期待【夢追うツバメたち】

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2021年08月30日 20:40  ベースボールキング

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ヤクルト・原樹理
◆ 第21回:プロ6年目右腕が今季初勝利

 「これからチームが優勝できるように、全力で腕を振っていきたいと思います」

 プロ6年目のヤクルト・原樹理は、東京ドームに集まったツバメ党にこう誓った。29日のDeNA戦(東京ドーム)に先発し、7回5安打無失点の投球で今季初勝利を飾った右腕は、前半戦未勝利。チームの逆転優勝へ向けたピースになるべく、後半戦の残り試合で巻き返しを宣言した。

 上半身のコンディション不良を抱えるなど、思うような投球ができなかった日々。「ケガやいろんなことがあって、すごく苦しい期間が長かったんですけど、こういう日のために頑張ってきたんだな」と、お立ち台で振り返った。

 プロ通算17勝目。この日のDeNAの先発はかつて東都大学リーグで投げ合った今永昇太。今永が駒大、原樹理は東洋大でライバル同士だった。プロに入り、今永は通算44勝を挙げ、チームのエースに成長。それでも「僕は自分のやれることをひとつひとつやっていくだけ」と、前だけを見た。

 「チームの勝ちにつながるように、ひとつひとつアウトを取ることを意識して、テンポを上げて投げることをすごく意識しました」と原樹理。シュートやスライダーなどを駆使し、走者を背負った場面でも冷静にDeNA打線を抑え、勝利をつかんだ。

 高津臣吾監督は「自分の立ち位置というか、いろいろなことも理解しているでしょうし、その中でプレッシャーもあったでしょうし。自分の投球ができたのではないか」と評価した。

 本来であれば先発の中心として活躍してほしい28歳。今季初白星をきっかけに、躍進を期待したい。


◆ 原樹理と高橋奎二、同期の2人

 昨季の最下位から今季は優勝争いを繰り広げているヤクルト。29日の試合で阪神が敗れ、3位から2位に浮上した。首位に立った巨人との差はわずか0.5ゲームという状況だ。

 上位3チームによる混戦を抜け出すために、今後も先発投手陣がカギを握る。27日にチームトップの7勝(3敗)を挙げている小川泰弘が一軍に合流。新型コロナウイルス陽性判定を受けて離脱していたエースが戻り、臨戦態勢が整った。

 他の主な先発陣は、後半戦の開幕を託された2年目の奥川恭伸が5勝(3敗)、田口麗斗が4勝(7敗)、41歳のベテラン・石川雅規が3勝(2敗)という成績になっている。

 さらに、28日のDeNA戦(東京ドーム)に先発したサイスニードと、24日の中日戦(静岡)で好投した6年目の高橋奎二は、ともに2勝を挙げている。

 高橋は原樹理と同じく2015年のドラフト会議でヤクルトに入団。原樹理がドラフト1位で、高卒で4つ年下の高橋はドラフト3位で入団した同期だ。

 24日の試合で7回途中6安打1失点の内容だった高橋。好投したものの、白星を手にすることができずに終わった24歳の左腕に、高津監督はこう話した。

「ちょっとずつでも進歩、成長しているのかなと思う。もうちょっとのところで勝ちがつくかつかないかというところは、本人なりにいろいろ考えるところはあると思いますし、あと一歩、もう一歩というところかなと思います」

これまで、先発の一角として期待されながらも力を発揮し切れずにいた原樹理と高橋。この2人が9月、10月の戦いに向けて先発の中心的な役割を担うことができれば、逆転優勝への道が大きく開けるはずだ。

31日からは巨人との直接対決に臨む高津ヤクルト。指揮官は「スワローズの野球ができればなと思います」と、意気込む。15年以来のセ・リーグ制覇へ向け、6年前の優勝を知らない左右の投手が勢いを加速させる。


取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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