◆ 期間中は4戦4勝2完投で失点3の圧巻投球
オリックスの若きエース・山本由伸がパ・リーグの7・8月度の『大樹生命月間MVP賞』を受賞した。6月度に続き、今季2度目の受賞。「ここからすごく大事な試合が続く。毎試合、ベストパフォーマンスを出すことで、チームの力になりたい」と、25年ぶりのリーグ優勝に向け、改めて決意を語った。
文句なしの成績だ。7月に2勝、東京五輪を挟んで8月は2完投(完封1)で2勝を挙げている。6月4日の中日戦(バンテリンドーム)で5勝目(5敗)を挙げてから、目下のところ8連勝中。9月3日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)でリーグトップの12勝目を挙げ、勝ち星、防御率(1.61)、奪三振(145)の3部門でリーグトップに立つなど、抜群の安定感を誇る。
残り少なくなったシーズンの目標は、もちろんリーグ優勝に貢献すること。そのためには、安定した投球を続けることが求められる。今季の目標の1つに定めたのは、「調子の波を少なくすること」だった。コンディションを整え、ゲームを作るためのエースの矜持だ。睡眠を十分にとり、食生活にも細心の注意を払う。
本人は「基本的な部分のこと」と、多くは語らないが、独自の投球フォームを求めて槍投げ用の器具を使った体重移動など、自分に合ったトレーニングをブレることなく続けてきた山本だけに、野球で結果を出すため、ストイックに理想を追い求めていることだろう。
それでも、今季のここまでの自己採点は「70点」。「シーズン前半は、調子がよくない投球内容で負けが続いたから」というのが、厳しい評価の理由であり、「1年通してのシーズンですから」と続けた。
今季、ここまでの公式戦での登板は19試合。先発に転向した2019年の20試合に、あと1試合に迫った。しかし、19年は夏場に左脇腹痛で戦線離脱。18試合の20年もシーズン終盤に上半身のコンディション不良などで、登録を抹消された。先発として迎えた3年目の今季こそ、シーズンを通してマウンドを守るという思いは強い。
「五輪の2試合を含めても、疲労感がひどくないところに、練習の成果や成長を感じる。(シーズンを完走することが)一番大事だと思う。その中でより、いい結果を出せるように頑張りたい」と山本。
主砲の吉田正尚やT-岡田ら主力選手の故障離脱などが続くが、「正尚さんの抜けた穴はすごく大きいが、チームプレーなので少しずつ全員でカバー出来たら」と語り、自身のタイトル争いについては「シーズン終了時に、1番で終われるのがいい。1日1日、1試合1試合を大事にしたい」と、いつも通り気負うことなく愚直に試合に臨むつもりだ。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)