“介護芸人”となった「レギュラー」の新境地 「やっと『遺言に僕の名前書いてくださいね』といじれるようになった」

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2021年09月26日 15:05  AERA dot.

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写真「レギュラー」の松本康太さん(左)と西川晃啓さん(撮影/中西正男)
「レギュラー」の松本康太さん(左)と西川晃啓さん(撮影/中西正男)
 2004年に“あるある探検隊”でブレークしたお笑いコンビ「レギュラー」の松本康太さん(42)と西川晃啓(42)さん。14年に介護職員初任者研修、17年にレクリエーション介護士2級を取得し、介護とお笑いの融合へのチャレンジを続けています。今年に入りレクリエーション介護士1級も取得。22日に行われた吉本興業の新事業「よしもとお笑い介護レク〜オンライン〜」の発表会でも司会を務めるなどオンリーワンの道を進みますが、その中でたどり着いた境地とは。


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松本:新型コロナ禍の前は仕事の割合的に「お笑い50・介護50」くらいだったと思います。

 自分たちの中で一番バランスが取れているというか、劇場出番もいただき、たまにテレビのお仕事もさせてもらう。その中で介護の講演や施設にもうかがっていました。いろいろと資格も取得し、さらに理解を深めていけたらと思っているところでのコロナ禍だったんです。

西川:コロナ禍で施設にうかがえなくなったのに加え、お笑いの仕事も劇場や営業がなくなったので、去年5月あたりは全ての仕事がいったんゼロになりました。

松本:そこから介護もお笑いもリモートという形が確立されていき、少しずつそちらの仕事が増えてはきたんですけど、今も仕事量的には「お笑い20・介護30」くらい。全体の仕事量としてはコロナ禍前の半分くらいにはなっていると思います。


 リモートでのお仕事も本当にありがたいんですけど、介護分野でのお仕事はその場の空気がすごく大事でもありまして。近い距離で目を合わせて、手を握ってみたいなところが大切なものだと感じてきました。それがリモートではなくなってしまうので、そこはある種のやりづらさを感じる部分ではありますね。

西川:リモートだと反応がないので、やたらと二人の間での愛想笑いが増えるという“あるある”もあるんですけど(笑)。

 2014年に最初の資格を取得して少しずつ介護のお仕事もさせてもらうようになっていったんですけど、空気の大切さを痛感してきました。




松本:やっぱりね、最初はすごく警戒されるというか。デリケートな部分もたくさんあるところですし、その難しさはすごく感じてきました。

 いきなり芸人が来て何をするのか。利用者さんをバカにするようなことにならないか。そういう部分で見られることもすごくありましたし、まだ僕らもやることが定まってないので普通に“あるある探検隊”のネタをやったりもしてました。それやったら普通の劇場出番と変わらんやんということもしてました。完全に手探りでしたね。

西川:17年にレクリエーション介護士2級の資格を取って、そこからさらに出力高くやらせてもらうようになったんですけど、徹底してきたのが“空気をつくる”ことなんです。

 僕らのレクリエーションは“間違ってもいい”ということを軸に作っているんです。間違えてもいい。失敗してもいい。その失敗がさらに楽しいことを作っていく。そんな流れになるように考えて構成しているんです。

松本:ただ、もちろん相手は芸人さんではないですし、すごくセンシティブな要素もあります。

 しかも、利用者さんたちは人生の大先輩ですし、間違えた人に「ハイ!残念でした〜!」と僕らが言ったり、その間違いにツッコミを入れたりすることって、失礼になりかねない領域でもある。

 だからこそ大事なのが空気作りなんですけど、レクリエーションをやる前に「僕らは決して先生ではないんです。皆さん、いろいろ教えてください」というトーンで地元の名産品を教えてもらったり、あらゆる会話をさせてもらう。それが前説というか、その場の温度を上げることになるんです。

 それをしっかりとやっておくと、ツッコミを入れたりしても皆さん笑っていただける。あるいは、僕やったら「遺言に僕の名前も書いておいてくださいね!」みたいなことまで言ったりもするんですけど、それでも笑ってくださるんです。

西川:よく芸人さんが言う“いじめ”と“いじり”の違いというか、言うまでもなく“いじり”というのは圧倒的な愛があっての行為ですから。相手にプラスを与えるための一つの方法が“いじり”であって、愛がないと“いじり”も生まれない。そこを踏み外さないように心がけてやっていくと、多くの方が喜んでくださるのかなと思っています。




 そのあたりの“空気を読む”ことに関しては芸人という仕事がこの上なく役立ってますし、さらには僕らのこれまでもプラスにはなっているなと感じます。

 ありがたいことに“あるある探検隊”で少しは知ってもらえて、そしてキャラクターとして攻撃的な存在ではないということも知ってもらえている。そういったこれまでの蓄積も今の活動に間違いなく加味されていますし、どこまでも無駄がないもんなんだなと。

 もちろん、目指すことは利用者さんに楽しんでもらうことなんですけど、僕らも報われるというか、救われるというか。そんな部分も感じています。

 正直ね、今が一番楽しいと思います。二人そろって、きちんと仕事に向き合えてるなと感じています。

 コロナ禍で仕事も減ってますし、それこそ“あるある探検隊”でたくさん番組にも出してもらっていた時はリアルな話、今よりお金もあって、それはそれで楽しい部分もありましたけど(笑)、今ほど仕事を楽しめていたかと思うと、その余裕が二人ともなかったと思うんです。

 今はその頃みたいにテレビの仕事もないですけど、自分らの強みを生かして少しでも喜んでいただくためには何をしたらいいのか。そこを感じながら、一つ一つ本当にありがたくお仕事をさせてもらっています。

松本:あと、これは僕らみたいなもんが本当におこがましいんですけど、介護をアンタッチャブルな存在にしたくない。その思いはあります。

 どうしても認知症という問題もありますし、もちろんスッとはいかない部分があるのも事実です。でも、こういう世界があるということ。ほんの一部かもしれないですけど、僕らみたいな存在が何かをやることで、知ってもらったり、興味を持ってもらったりする。偏見が無知から始まるならば、少なくとも無知をマシにする活動は僕らにでもできるのかなと思っているんです。

西川:介護と笑い。やればやるほどバランスが難しいと思いますけど、家族がおばあさんのちょっとした言動で笑ったりするみたいに、決して“笑いものにする”のではなく“笑ってもいい”領域もある。そこを丁寧に伝えていければなと考えています。




松本:ホンマに思うのが、今こそ(TBSテレビで放送されていた)「さんまのSUPERからくりTV」の「ご長寿早押しクイズ」をどんどんやってもらえたらなということです。

 曲がりなりにも自分らも介護に関わった上であの映像を見ると、いかにみんながみんなを尊重しているか。そして、あれだけお年寄りがイキイキと答えてらっしゃるということは、スタッフさんがいかに丁寧に関係性を作ってらっしゃったか。それが映像からもあふれ出ているなと。そして、その全てをさんまさんが笑いにされる。

 僕らではさんまさんと同じことはできないとは思いますけど(笑)、何かしらそれに近いことができたらうれしいですし、自分たちができること。そして、自分たちがやって意味があること。それを探しながら、進んでいきたいと思っています。(中西正男)

■レギュラー
1979年8月11日生まれの西川晃啓と79年5月16日生まれの松本康太が98年にコンビ結成。ともに京都府出身。「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞、「NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞など受賞多数。“あるある探検隊”のネタでブレークし、全国的な知名度を得る。2014年に「介護職員初任者研修」、17年に「レクリエーション介護士2級」の資格を取得。介護の現場で経験を積み、知識を生かした公演活動などを展開している。19年には著書「レギュラーの介護のこと知ってはります?」を出版し話題となる。今年2月にレクリエーション介護士1級を取得。吉本興業が展開する新事業「よしもとお笑い介護レク〜オンライン〜」にも参加している。


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  • 「隣のジジイの犬逃がす」「ババアがジジイを押さえ込む」など、老人あるあるもあったが、「力士に鼓膜を破られる」の印象が強すぎる���줷����
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