オリックス・山本由伸が8回2失点で球団タイ記録の14連勝も「助けられての1勝」

0

2021年10月10日 06:20  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

オリックス・山本由伸 (C)Kyodo News
◆ 止まらない右腕

 首位・オリックスは9日、PayPayドームで行われたソフトバンク戦でエース・山本由伸が今季17勝目(8敗)を挙げ、米田哲也さんが1973年6月から10月にかけてマークした球団記録の14連勝に並んだ。2位・ロッテがデイゲームで敗れたため、ゲーム差は「3」に拡大。7年連続して負け越していたソフトバンク戦の勝ち越しも決めた。

 先手を取ったのはオリックス。4回、先頭の杉本裕太郎が外角高めの直球に逆らわず、右へフェンス直撃の二塁打。続くモヤは、カーブを右へ。ソフトバンクの右翼手・柳田悠岐が一歩も動かず見送った打球は右翼席に飛び込む先制の12号の2ランとなった。

 オリックスは5回裏、山本が中村晃にフォークボールを右翼テラス席へ運ばれて1点差に。しかし直後の6回表、モヤの安打などで作った二死一、三塁、打者・若月健矢の場面でカウント1-2からの4球目にダブルスチールを敢行。一塁走者の安達了一が、甲斐拓也の二塁送球を見て一、二塁間でストップ。挟殺プレーの間に三塁走者のモヤが本塁を突いて3点目を奪う、鮮やかな攻めだった。

 オリックスは8回にもモヤのソロ本塁打。さらに二死一塁から、若月の右中間への飛球を処理した牧原大成がフェンスに激突して倒れ込む間に、若月も生還するランニング2ランで、この回3点目。9回から登板のヒギンスが3人で片付け、ソフトバンクは8連敗を喫することになった。


 山本は8回を121球、6安打、11奪三振、2失点で連勝を「14」に伸ばし、16勝目。「いいところで打者が点を取り返してくれ、助けられた。ファインプレーもあり、野手の方に助けられての1勝。今度は打者が苦しい時に返したい。ケアしてくれるトレーナーさんらにも支えられ、感謝の気持ちで投げている」と、バックや裏方への感謝の気持ちも忘れなかった。

 今季5度目の2ケタ三振。1回と4回にはこの日、33歳の誕生日を迎えた柳田を3球三振に斬ってとった。「1打席目の最後は、ボール球でもいいと思って投げたら(ストライクで)、ラッキーという感じ」と笑顔で振り返るあたり、相手の主砲との対戦も楽しんでいたようだ。

 伸びのあるストレートと球速の速いフォークに加え、時折投げるカーブで打者を手玉に取るが、フォークは打者によって投げ分けるという。「ストライクゾーンに投げるのと、三振を取るのと。松田(宣浩)さんなら積極的にスイングしてくるし、打者の特性に当てはめてやっている」と明かす。この日も走者がいなくてもクイックで投げて打者を翻弄するなど、若きエースの進化は止まらない。

 中嶋聡監督も「最後はバテたところもあったが、よくまとめてくれた。本塁打を許し、ぐっと力みが入ったが、立ち上がりは力も抜けてよかった。(14連勝は)いい投球を続けているということ」と称えた。


 ソフトバンク戦の勝ち越しについては「チャンピオンチームに対し、そこを目指してやってきた。勝ち越したことはうれしいが、それでも(ソフトバンクは)強いチームと感じる」と手放しで喜ぶことはなかった。

 2位・ロッテとのゲーム差は広がり、「3」に。「(ロッテの結果は)試合前から知っていたが、まず自分たちが勝っていくことが大事だった」と、目の前の試合に集中したという。

 残り試合は「11」。「ずっと貯金を殖やしていくしかない。一気には増えないので減らしたくない」と指揮官。一喜一憂することなく、一戦必勝を貫く。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定