大本命のARTA野尻、SFタイトル獲得直後も「NSXで勝ってこそ」。GRスープラは3台がエンジン交換か【第6戦オートポリスGT500】

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2021年10月22日 19:31  AUTOSPORT web

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写真トラブル、アクシデントなどさまざまな不運に見舞われる今季のARTA NSX-GT。今回でこれまでの鬱憤を晴らせるか
トラブル、アクシデントなどさまざまな不運に見舞われる今季のARTA NSX-GT。今回でこれまでの鬱憤を晴らせるか
 今週末にオートポリスで開催される、スーパーGT第6戦。昨年は新型コロナの影響があり、オートポリスでのGT開催は2年ぶりとなる。GT500クラスでは前回の第5戦SUGOと同様、現行規定での車両がほぼ初めて走行することになり、持ち込みタイヤのセレクト、そしてマシンのセットアップにタイヤのピックアップの懸念等、読めない要素が大きく、SUGOのように荒れる展開も予想される。

 それでも、サクセスウエイト(SW)を考えると8号車ARTA-NSX-GT(SW30kg)、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(SW24kg)、そして38号車ZENT GRスープラ(SW22kg)、64号車Modulo NSX-GT(SW10kg)が予選で上位に来ることは間違いない。そして、そのなかでも前回のSUGOで予選ポールポジションを獲得しながら、10位に終わった8号車ARTAは今回の圧倒的大本命マシンと言える。

 前回のSUGOでは、決勝でのピット作業のミスやペナルティでドライブスルーを3回繰り返してしまったARTAだが、ドライバーの野尻智紀は1週前にスーパーフォーミュラ(SF)でチャンピオンとなり、8号車エンジニアのライアン・ディングルにとっても、スーパーフォーミュラで担当しているルーキーの大津弘樹が初優勝を飾り、ドライバー、エンジニアともにGTの鬱憤を晴らすような、うれしい結果を経てオートポリスに乗り込むことになった。

 そのSF新チャンピオン、野尻智紀にタイトル獲得からGTオートポリスに向けての抱負を聞く。まずはもてぎでのSFタイトル獲得後、どのような日々を過ごしたのだろうか。

「いろいろな方々からたくさんの連絡を頂いて、これまで本当に一生懸命前を向きながらやってきてよかったなと思いましたね。ただ、今週末のGT、そしてSFと合わせてまだ今季は4戦残っていますし、ここで浮かれてしまうと絶対によくないことが起きると思っています。いろいろ祝福の言葉を頂いて(チャンピオンの)実感は当然ありますけど、なるべく自分としては実感がでないようにと思ってやっています。でも、それが正しいかどうかはまだわからないですし、いつも以上に緊張感を持って今週末のレースに臨みたいなと思っています」

 喜びの感情も一瞬、今週末に向けての厳しい表情に戻るストイックな野尻。タイトルを決めたもてぎの後も、特にお祝いなどはしていないという。

「(プライベートでのお祝いの席は)なかったですね。もてぎの後もすぐその日中にSRSの仕事で普通に鈴鹿に行って、間に合って良かったと思っていましたし(苦笑)。いつもどおりの生活をしていました」

 今年のSFでは6戦中3勝、全戦でポイント獲得するなど圧倒的な強さを見せた一方、スーパーGTは真逆に、8号車としてアクシデントや不運、接触などに見舞われ、表彰台にも上がれずチームランキング13位という、大低迷のシーズンとなっている。SFのタイトル獲得で、少しは今週末に向けてポジティブに臨めるだろうか。

「むしろ、逆ですね。SFがいい分、GTもどうにかしなくてはいけないという責任があると思っています。難しいですけど、SFが終わってからはSFのことを考えるのを止めて『GTをどうしようか?』とか、『これまで走ってきた経験から、これがオートポリスに合うのではないか?』とか、エンジニアさんの方でも忘れてしまっているかもしれない部分まで、自分のなかでしっかり振り返るように準備をしてきましたので、なんとか今週末、結果を残したいなと思います」と野尻。

 前回の第5戦SUGOでのドライブスルーを繰り返したミスについても、すでにチーム内で対策は行われているという。

「前回のペナルティの件はもうだいぶ前、SUGOのすぐ後にはミーティングも済んでいて、チームのなかでしっかりやらないといけないことを確認していますし、ドライバーを含めて、みんなが高い意識で臨むことを話し合いました。クルマ的にはこのクルマでオートポリスを走るのが初めてですので、過去にどういうセットアップでどのサーキットを走って、どんな問題が起きたのかを細かくリサーチしてもらいました。今日、トラックウォークもエンジニアとしてきまして、『このコーナーではこういうクルマの動きになるから、このデータを細かく見ておいてほしい』とか、細かい部分でも進めているので、悪い結果にはならないと思っています」

 すでにチャンピオン、そしてホンダを代表するドライバーとしての自覚を備えている野尻。SFでタイトルを獲得したばかりとはいえ、その意識の高さには驚かされる。SFだけでなく、GTでも結果を出さないと本当には喜べないようだ。

「山本(尚貴)選手が悪いですよね。昨年、ダブルチャンピオンとか獲るから(苦笑)。ハードルが上がってしまったわけで、まあ、それは冗談としまして、ホンダのドライバーである以上、NSXで勝ってこそ、という意識が僕の中にあるので、そこはしっかりと結果で残したいですね」

 果たして、今回大本命の1台であるARTAはSUGOでの悪夢を振り払うような活躍を見せることがきるか。ARTAの他の優勝候補としては、38号車ZENTも挙げられるが、38号車は前回のSUGOでのエンジン関連のトラブルリタイアにより、今回はシーズン3基目となるエンジン交換が決定的で、決勝ではペナルティストップが課される見込み。

 GRスープラ勢では今回、38号車の他にも2台、エンジン交換が決定的とのこと。19号車WedsSport ADVAN GRスープラは前回のSUGOで火災に見舞われ、最終コーナーでストップして消化剤まみれとなったが、今回のオートポリスではエンジン交換なしで走ることができるというから、残り2台のGRスープラが気になるところ。こちらはまた、詳細が分かり次第、お伝えしたい。

 また、ニッサンGT-R陣営では3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが前回、エンジンの不具合によってリタイアとなったが、エンジン本体ではなく、電気系のトラブルだったとのことで、今回はエンジン交換なしで臨めることが確認できた。

 前回SUGOではアクシデントが連続する展開となったGT500クラス。今回は今季初加入の37号車KeePer TOM’S GRスープラのサッシャ・フェネストラズのパフォーマンスも楽しみなところ。各陣営、各チーム、それぞれの期待と不安、そして思惑が入り交じるなか、第6戦オートポリスは果たしてどのような展開になるのだろうか。
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