松本潤、俳優としての次のフェーズへ 主演作『99.9』、大河ドラマでさらなる挑戦

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2021年10月23日 06:01  リアルサウンド

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松本潤

 嵐・松本潤が大忙しの日々を送っている。11月26日に全国公開される嵐のライブフィルム『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM”Record of Memories”』を楽しみにしているファンの心は踊るばかりだが、そればかりではない。続々と主演作品が発表され、個人の仕事も充実。なかでも俳優としての勢いを感じる。


【写真】映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』より松本潤最新カット


 映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』が12月30日にロードショー。さらに2022年1月期は木曜ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)にて主演を務めることが発表された。また、2022年夏には2023年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)がクランクインする予定だ。


 「こんなに撮影が続く事は珍しいくらいですよ笑」と、ジャニーズ事務所公式モバイルサイト『Johnny’s web』の個人ブログ「Enjoy」で綴るほど、やはり多忙を極めている様子。そして「この冬は皆さんも忙しくなりそうですね」と語るように、松本の活躍を見守るファンも連動してチェックするものが多くなり忙しくなることへのねぎらいを忘れない。


 松本潤が俳優としてこれほど重宝される理由の一つに、このチームとして多くの人を巻き込んでいく力が大きい。ドラマ『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS系)のオンエア時、密着ドキュメントにもそんなシーンがあったのを思い出す。


 撮影が終わるたびに各部署のスタッフに声をかけていく松本。その気配りの先は、取材にやってきたテレビ誌のカメラマンにまで行き渡る。「少しでもいいショットを撮りたい」そう願うカメラマンたちの気持ちに寄り添うように、率先してポーズを取る。そうした視点が持てるのは、きっと松本自身が長年嵐のコンサートを演出してきた作り手側としての経験があればこそではないだろうか。


 「自分はチームの1ピースに過ぎない」。主演=座長という、その作品の顔となる松本が率先してチーム作りをすることが、周囲にどのような好影響を及ぼすのか。それは『99.9』シリーズでパートナーとも言えるポジションを担う香川照之が、「僕はこの『日曜劇場』枠にご縁があって、知っているスタッフも多いんです。ことに今回感じるのが、松本さんが現場をうまくまとめ上げているなということ。今日も撮影中、別室でモニターを見ている記録さんの笑い声がずっと聞こえていたりして、チームとしてどんどんいい方向に行ってる感じがすごくしますね」と公式サイトにて答えていたことからも明確だ。


 そして、深夜まで続くハードな撮影にも関わらず、香川のおでこに絆創膏がないということにいち早く気づいたのも松本だったそう。バラバラにシーンを撮っていくなかで、つながりをしっかりと把握していたということに驚かされたというのだ。それも、自分自身に与えられた役を演じることよりも、ずっと広い視野で作品に対する責任を感じているからこそ。


 演者でありながら、作り手でもある。そのハイブリッドな視点は、役作りそのものにも影響する。その作品の中で、そのシーンの中で、観客となる視聴者に何を伝えるのか。そのためには、キャラクターに何が期待されているのか。そうして創り上げられる松本演じるキャラクターは、容姿こそ“松本潤”ではあるものの、『花より男子』(TBS系)の道明寺司も、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)の小動爽太も、『99.9』の深山大翔も、それぞれ確立したキャラクターとしてハッキリと思い出すことができる。


 それは、松本自身が俳優業をする上で最も意識している部分と言えそうだ。雑誌『MORE』(2013年11月号)の1万字インタビューで、「(アイドルと役者の両立で)ひとつだけマイナス点があるとしたら、お芝居っていうフィクションな世界に入った時にパーソナルな松本潤とか、これまでのイメージをいかに消すかっていうこと」と話していた。役者自身のパーソナルイメージが確立されていないほうが、観る人にとっては役柄と同化させやすい。しかし、ありがたいことに国民的アイドルとしての人気を誇る松本の場合は、もともとの“松本潤“のイメージが浸透している上で、物語を紡ぐ1人にならなければならない。


 しかし、そのデメリットと感じられる部分も、松本にとっては「どんなアプローチをしていくか」とワクワクさせるものなのかもしれない。先の香川のインタビューで「難しい役どころである深山というキャラクターを、周りとのいい関係性の中で彼自身が面白がりながらあっという間に作り上げてしまった。非常に魅力的な主人公をね」とあったように、目の前のミッションが難しければ難しいほど挑むことを面白がれる。もしかしたら、それが様々なことにチャレンジし続けなければならないアイドルに求められる素養なのかもしれない。


 ドラマ『となりのチカラ』では、失敗ばかりの男を演じるという松本。脚本・演出を手掛ける遊川和彦が「今まで見たことのない情けない男をやらせたい」と練った企画書を読んで、「おもしろいですね」と笑顔で快諾したというエピソードを聞く限り、また新たな挑戦にワクワクしていることが伝わってくる。


 大河ドラマ『どうする家康』で描かれるのは、脚本家の古沢良太いわく「今さら大河ドラマでやるのがちょっと恥ずかしいくらいの超ベタな偉人」である徳川家康。だが、私たちの知る歴史上の人物像とはまた一味違った、人間臭い家康が見られるようだ。


 「主演の松本潤さんは、華やかさと親しみやすさを持ち合わせ、私の描きたい主人公像“ナイーブで頼りないプリンス”にまさにピッタリ」と話すところからも、松本の新境地を切り拓く作品になるに違いない。松本の「心血を注いでみんなとモノづくりができるなら、この大きな挑戦をしてみたい」「今までとは違う新たな家康を一緒に作っていけたらと思っています」のコメントも実に力強い。


 チームをまとめる情熱と冷静な作り手の視点、そして常に新しい自分を見せていくことへのチャレンジ精神。俳優・松本潤の真価をまざまざと見せつけられる日々に、驚かされたり、感動したりと、やはり我々も忙しくなりそうだ。


(佐藤結衣)


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