GRスープラ3台ペナルティの劣勢ムードに明るい兆し。14号車ENEOSがSW70kg搭載で驚異の予選2番手/第6戦GT500予選

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2021年10月23日 21:11  AUTOSPORT web

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写真年間3基目のエンジンを投入することになり、3台のGRスープラが決勝でペナルティを受けることになったが、14号車が予選で驚きの速さを見せた
年間3基目のエンジンを投入することになり、3台のGRスープラが決勝でペナルティを受けることになったが、14号車が予選で驚きの速さを見せた
 スーパーGT第6戦オートポリスの予選、ダンロップ勢の2台が速さを見せたなかで、一番とも言える驚きとなったのがポイントランキング実質4位でサクセスウエイト(SW)70kgを搭載する14号車ENEOS X PRIME GR Supra が予選2番手に食い込んだことだった。GRスープラ勢のなかでも2番手に1秒差を付ける圧倒的な速さを、70kgの重いウエイトを搭載して見せた14号車。GRスープラ陣営は前回のSUGOでのエンジン関連のトラブルにより、3台のマシンが3基目のエンジンを投入することで決勝でペナルティを受けることが決まっているが、14号車がその暗い雰囲気を一掃するような速さを見せた。その14号車とともに、ライバル勢たちの予選後の声を集めた。

 第6戦のオートポリスは、次の第7戦からウエイト係数が軽くなるため、シリーズのなかでもっとも重いサクセスウエイトを搭載してのレースとなる。つまりはSWが軽いクルマのアドバンテージがもっとも大きくなることから、ランキング下位のチームが軒並み優勝候補に上げられていた。その状況のなかで、予選Q1でいきなり14号車の山下健太が3番手タイムをマーク。周囲を驚かせた。

「朝のフリー走行でクルマに乗ったときのフィーリングとしては良かったのですけど、こんなに予選上位に行けるほどとは思っていませんでした。予選で乗って1分31秒台のタイムが出て『速いな!』と。『こんなにいいのか』とビックリしました」と、Q1を振り返る山下。

 クルマのセットアップをまったく変えずにQ2でアタックした大嶋和也も、山下の3番手を見ていながらも、さらに驚きを隠せなかった。

「Q2のタイム(1分31秒770)、僕もビックリしました。予選のクルマはすごく良かったです。バランスもいいし、グリップ感もありました。アンダーが少し強かったけど、1周走る分には大丈夫でした」

 大嶋のアタック自体は、満足できる走りではなかったという。

「アタック自体、全然まとめられなくて。でも、逆に攻めて行った分でもあるので、どっこいどっこいなのかもしれないですけど、ちょっともったいない部分がいくつかありましたね。ですので、トップとのタイム差(0.007秒差)を聞いて、僕がびっくりしました。『えっ、今のアタックで!?』と。それくらいクルマは決まっていて速かったですし、もう1回アタックできればとは思います(苦笑)」と、本音も漏らす大嶋。

 今回の14号車の速さの背景には、担当の阿部和也チーフエンジニアの持ち込みセットアップの影響が大きい。その阿部エンジニアにとっても予選の速さは驚きだったようだが、そのクルマのコンセプトを聞いた。

「俺も驚きました。持ち込みからクルマが良くて、ほとんど触らずに予選まで行けました。予選はそんなに悪くはないかなと思っていて、ウエイトを考えてもQ2に残れれば、と思っていましたが、1000分の7秒、逆に悔しいですね(苦笑)。今回のクルマはオートポリスに向けて方向性を変えてきました。SUGOの反省を踏まえて、予選Q2にしっかり残れるように、これまでの良かったところを残して、予選一発で速さを出せるようセットアップを前後ともトライしました」と阿部エンジニア。

 その背景には、今季の開幕2戦で優勝、2位といきなりビッグウエイトを搭載して2リストリクターダウンすることになり、クルマの出来が掴みづらくなった背景があった。

「ウチは第3戦からウエイトを大きく積んでいて、ウエイトがあって予選で速くないのか、それともクルマの部分なのか、ウエイト換算で予想はできたけど、実際にはわかりづらかった。でも、ラスト2戦に向けてきちんと戦うためには、やっぱり予選のセットアップをいちから考えなければいけない。そのトライができるのが今回だけなので、前後ともセットアップを変えました。まだ、たまたま今日のオートポリスの路面に合っただけかもしれないけど、クルマは予想以上に速かったですね。他のGRスープラと比べても1秒以上違う。また明日、レースに向けても今日とは違った別のメニューを用意しているので、また変えます」

 14号車は予選で驚きの速さを見せながらも、決勝ではエンジン交換で5秒ストップペナルティを受けることになる。だが、ドライバーたちはまだまだレースを諦めてはいない。

「ペナルティは悔しいですし、普通に考えれば簡単には追い上げられないでしょうけど、オートポリスはタイヤがタレないようなクルマとタレやすいクルマでは平気で1秒くらい違ってくるコースなので、僕らのロングランの調子さえよければ十分挽回できるチャンスがあると思っています。ペナルティストップの分のロスタイム約21秒も、ヤマケンが1周1秒くらい稼いでくるれると思います」と大嶋。

 プレッシャーをかけられたヤマケンこと山下も「ペナルティが出ても無視して走りたいくらいですけど(苦笑)、今日の感触だとロングも悪くないと思いますし、他のクルマの様子を見ているとタイヤのタレが大きくて1周1秒とか落ちてきている。ピックアップもグレイニングもいろいろ出てきている状況ですし、ウチがペナルティを消化したあとにセーフティカー(SC)が入れば帳消しになるので、そうなったらチャンスかなと思います。決勝できちんとポイントが獲れれば残り2戦のもてぎ、富士でも今日のような速さが出せると思うので、できる限りポイントを獲りたいです」と、決勝に期待をかける。

●GRスープラ陣営のエース、38号車ZENTの立川祐路の開発スタッフへの殊勝な言葉

 14号車と同じく、3基目のエンジン交換でペナルティを受けるのは37号車KeePer TOM’S GRスープラと38号車ZENT GRスープラ。そのなかで38号車はSW22kgと軽量なことから、予選では上位進出が堅いと思われたが、まさかの10番手でQ1ノックアウト。予選Q1は石浦宏明が担当したが、予選日のクルマの様子について立川祐路に聞いた。

「今回、クルマのジオメトリー的な部分で変えてきたのですが、それの影響なのか、自分が最初にフリー走行で乗った時はクルマがちょっとオーバーステアで、その改善をしていましたけど直りきらなくて石浦選手に代わりました。専有走行で石浦選手は走ったときは大丈夫そうで、予選ではいいところにいけるかなと思っていたのですが、予選でまたオーバーステアの症状が残っていたようです」と立川。

 38号車は決勝で5秒ストップのペナルティを受けることになるが、立川はGRスープラのエンジン開発を担うTRD/TCDのスタッフへの労いの言葉をかけた。

「ペナルティを受けることになりますが、TRDのみなさんも頑張って仕事してくれているなかでのトラブルなので、それはもう仕方がないですし、僕としては責めるつもりはありません。その分、今までたくさん勝たせて頂いている。エンジン開発のスタッフは『申し訳ない』と言ってくれましたが、そんなことを気にしなくていいような結果を決勝で残したいですね。そこは僕らの仕事ですので。普通に戦ったら当然厳しいですけど、前回のSUGOでも23号車がペナルティ受けながらもセーフティカーが入ったりして7位まで来ているので、オートポリスも予選どおりに行かない部分も多いので、可能性はゼロではないですので」と、GR陣営の開発ドライバーとして、殊勝な言葉を残す。

 GRスープラ勢の決勝でのペナルティを考慮すると、レース序盤のトップ3は16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、64号車Modulo NSX-GT、8号車ARTA NSX-GTとホンダNSX陣営が独占する形となる。ペナルティで劣勢にあるGRスープラ勢がどこまで巻き返すことができるのか。14号車のパフォーマンスとともに注目したい。

●23号車MOTUL AUTECH GT-R、相性のよいオートポリスで表彰台を狙う
ロニー・クインタレッリ 予選Q2担当/5番手
「練習走行からフィーリングが良くて、ベースのセットアップが決まっている感触がありました。予選も結果としてよかったです。今回持ち込んできた2種類のタイヤのうち、練習走行のタイヤはその後も路面温度が思ったよりも上がらなくて、ささくれやグレイニングが出そうなので悩みました。そして結局、レースを重視した方のタイヤを選びました。
 残り2戦でチャンピオン争いに残りために、今回のオートポリスで表彰台に上らないといけないので、レースのスタートポジションとしては十分狙える位置にいると思います。オートポリスはこれまでよい思い出の多いサーキットですので、明日は自分たちのレースに集中して、いつもどおりやれはいい結果は付いてくると思います」

●ニッサン陣営ランキング最上位の3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R、アンダーステアに悩まされる
千代勝正 予選Q1担当/15番手
「今回、持ち込みから練習走行からクルマが曲がらなくて、アンダーステア傾向がありました。逆に23号車がウチよりもクルマが良さそうだったので、予選に向けて23号車のセットアップを参考にして大幅に変更したのですけど、それでもアンダーが直りきりませんでした。ドライビングで詰められたとしてもコンマ1秒とかなので、今は原因を究明してもらっています。セクター3のアンダーが一番厳しいですね。SUGOまでは23号車よりもウチの方が前に行ってる状況でしたけど、今回はクルマのセットアップで外してしまいましたね」
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