私の地元は比較的結婚が早く、同世代の親戚たちはちょうど結婚・出産ラッシュ。みんな赤ちゃんや小さい子どもを連れています。私もそれにならったはずが、違う人生になってしまって……。
私の祖母は昭和ひとけた生まれ。優しくて、穏やかな人です。
私以外の孫はみんな自分の子どもの世話に追われているので、なんとなく私が祖母の車いすを押す役目に。伯父夫婦は「おばあちゃん、最近認知症が進んでるんだよね。何に対してもおぼろげで」と言っていましたが、今日の結婚式だけは特別だったようです。孫娘のウエディングドレス姿に目を細め、心から喜んでいました。
式が終わると、親戚のみんなは黒留袖を着替えたり、赤ちゃんに授乳したり、ぐずる子どもをあやしたり、とバタバタしはじめました。
私は子どももおらず、着物で来たわけでもないので、ずっとロビーで祖母の側に付き添っていました。
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「アヤネちゃんキレイだったね。旦那さんも優しそうな人で良かった。ふたりともすごく幸せそうだったね。……いいな」
すると祖母は……。
「大変だったね、辛かったね……! どうしてあなたがそんな目に……こんなに優しくていい子なのに……!」
「おばあちゃん……」
祖母はぼーっとした様子から一変して、急にしゃんと私に語りかけたのでした。親戚のみんなは、離婚には触れないように触れないようにとしていたけれど、祖母は直球で切り込んできたのです。でも全然嫌じゃありません。むしろ嬉しかった――。
後編へ続く。
脚本・大島さくら 作画・べるこ 編集・秋澄乃
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