日本でリメイクする意義 映画『CUBE 一度入ったら、最後』生配信レポート(2)

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2021年10月26日 16:30  ORICON NEWS

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写真映画『CUBE 一度入ったら、最後』(公開中)清水康彦監督(C)ORICON NewS inc.
映画『CUBE 一度入ったら、最後』(公開中)清水康彦監督(C)ORICON NewS inc.
 菅田将暉、杏、岡田将生、田代輝、斎藤工、吉田鋼太郎が出演する映画『CUBE 一度入ったら、最後』(公開中)。公開初日の22日夜に、ORICONのYou Tubeチャンネルで、同映画の清水康彦監督を招いた公開記念特番&オリジナル版『CUBE』(1997年)同時再生鑑賞生配信を実施。密室サスペンスの先駆けとして、今なお全世界でカルト的人気を誇るヴィンチェンゾ・ナタリ監督のオリジナル版『CUBE』を「今、なぜ、日本でリメイク?」、その疑問に清水監督が答えた。

【動画】清水康彦監督が語り尽くした生配信のアーカイブ

 生配信は、清水監督と、オリジナル版公開時の熱狂をよく知る映画ライターのよしひろまさみち氏、フリーアナウンサーの荘口彰久氏が司会を担当。オリジナル版『CUBE』の同時再生鑑賞会では荘口氏から、中井貴一のものまね芸人として知られるきくりんにバトンタッチし、日本版『CUBE』の制作秘話やオリジナル版との相違点など、それぞれ思うところを語り合った。

■閉じ込められているのが全員日本人であることにリメイクの意味がある

 オリジナル版『CUBE』も、日本版『CUBE 一度入ったら、最後』も、根幹は一緒。気がついたら〈謎の立方体=CUBE〉の中に閉じ込められていた男女6人。そこがどこなのかも、閉じ込められた理由も、生きて出られるのかも、何もかもわからないまま、脱出を試みるが…。そんな彼らを熱感知式レーザー、ワイヤースライサーや火炎噴射など、殺人的なトラップが次々と襲う。体力と精神力の限界、極度の緊張と不安、そして徐々に表れていく人間の本性…。恐怖と不信感の中、終わりが見えない道のりを、それでも「生きる」ためにひたすら進んでいく。果たして彼らは無事に脱出することができるのか?

 しかし、閉じ込められていた男女6人のキャラクターはオリジナル版と日本版ではだいぶ異なる。オリジナル版は、黒人の警察官、中年の女性医師、数学科の女子学生、7つの刑務所を脱獄した経験のある男、精神障害者の男、謎の部屋=CUBEがいくつもある建物の外壁の設計者だった男の6人。日本版は、エンジニア(菅田)、団体職員(杏)、フリーター(岡田)、中学生(田代)、整備士(斎藤)、会社役員(吉田)だ。

 清水監督は「閉じ込められた6人が全員日本人であることが、最大の変更点。そこに日本でリメイクする意味があるというか、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督が今回、初めてリメイクを公認してくれたのも、日本であれば異なる文化的側面を持ち込める、と思ってくれたことが大きい。オリジナル版が作られたカナダは、隣接するアメリカの影響も大きく、人種問題も描かれているんです。でも、日本で人種問題ってあまりリアルじゃない。それよりも世代間格差、経済格差の方が日本的だし、日本社会でもがきながら生きている人たちの本性をひん剥いた方が面白いんじゃないか、と。日本人がCUBEの中に入ったら、オリジナル版の持ち味を変えることなく、全く違ったものができる。そこに期待してくれたんだと思った」と語った。

 完全にオリジナルをなぞるのではなく、今の時代だからこそ描くことのできる日本人ならではの行動や思考を「CUBE」の世界に投影する。そこにナタリ監督も期待して、“公認”したそう。生配信では、ナタリ監督のオンラインインタビューの映像の一部も紹介。「ストーリーの転換は興味深かった。とても良かったね。エモーショナルなストーリーだ。痛烈に心を動かす瞬間がある。清水さんは『CUBE』はほかの要素と同じか、それ以上に人間ドラマか重要だと理解していたんだと思う。CUBEの中にいるキャラクターたちが、お互いの関係を発展させていく様を描くのが上手だと思ったね。これが映画の“エモーショナル・パンチ”になっている」と、日本版のドラマ部分を高く評価した。

 日本版『CUBE』にクリエイティブ・アドバイザーとしてクレジットされているナタリ監督は、オリジナル版で使用しなかったトラップのアイデアを「もし使えそうだったら、使ってください」とすべて提供。その上で、日本版について、「ほかのSF映画と同様に何ができるのかというアイデアを弾ませ、これを維持すること。トラップは内臓を揺さぶるような高いショック度と信ぴょう性がないといけない。自分が観客の立場になればなるほど映画そのものよりもキャラクターと一緒にその場所に自分がいるとより感じることができる。日本版の『CUBE』はこの点がうまくいっていると思うね」と、太鼓判を押した。

■日本版キャストに主役級をそろえた理由

 オリジナル版と日本版ではキャスティングにおいても大きな違いがある。よしひろ氏は、「オリジナル版のメイン6人は全員無名の俳優たちだったけど、日本版は主役級の俳優たちがそろいもそろっている」と指摘し、「オリジナル版ははからずも無名の俳優を起用したおかげで、CUBE自体の設定、脚本の面白さをより際立たせることになった。日本版は主役級の俳優たちの芝居合戦が面白い。LEDの色が変わるくらいで、ほとんど絵変わりしない立方体の部屋の中で、約2時間、同じようなことを繰り返していく。芝居で魅せていかないとどうしようもない状況に置かれて、俳優たちも頑張るしかなかったんじゃないか。それを楽しめる作品になっている」と、語った。

 これを受けて、清水監督は「キャスティングにこだわった、というのもあるけれど、芝居合戦になっちゃった、というところもあって」と撮影時を振り返った。「例えば、台本に《後藤(菅田将暉)、立ち尽くし、越智(岡田将生)を見ている》とあったら、だいたい菅田くんと岡田くんの2人だけの芝居で成立する。だけど、この作品は部屋の広さからしてほかの4人がどうしても映り込んでしまう。キャストは常にト書きに書かれていない芝居もせざるを得なかったんですよね。キャスティングしておいてなんですが、力量のある人たちでなかったらできなかったんじゃないかというのもあるし、映画を大勢の人たちと共有するバリューの面でも、彼らでよかったと撮影しながら思い知らされた感じでした」と打ち明けた。

 オリジナル版『CUBE』は上映時間90分と見やすい作品でもあり、「全く古さを感じさせない。めちゃくちゃアートだし、ポップ」と清水監督も感嘆。よしひろ氏は「すごくストイックに絞り込んでいるけれど、観終わった後にリッチな気分になれる。それはオリジナル版も日本版リメイクも同じだと感じました」とコメントした。

 最後に、改めて『CUBE 一度入ったら、最後』の見どころを清水監督が語った。「CUBEという得たの知れない空間に閉じ込められた6人をずっとのぞいていく映画です。死をもたらすようなトラップが待ち構えていて、それをどう回避していくのか。登場人物たちも全く知らない状態からはじまるので、観ている方も感情移入しやすいと思う。極限状態に追い詰められた登場人物たちがこれまで目をそらしてきたことに向き合うシーンに心揺さぶられるんじゃないかな。あぁ、やっぱり自分と向き合わないといけない瞬間ってあるのかもしれないなとか、外の世界に問題をなすりつけて、いつまでも自分と向き合わないでいるとこういう結果になるのかな、って。『CUBE』で伝えたいことって、すでに多くの人が気づいていることだったりすると思うので、『CUBE』を観て、自分もこういうことを考えていたとか、こういうことを叫びたかったんだとか、改めて実感するいい機会にしてもらえたらと思います」。


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  • 意義は菅田将暉で金儲けでしょ。分かってるくせにわざわざ記事にするとは
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  • 「一度入ったら最後」ってお笑い番組みたいな副題でふいた。リメイク黒歴史を刻む予感しかしない…
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