所得税ゼロ、マイナポイント3万円…衆院選の各党公約を分析した政府資料を独自入手 実現可能な政策は?

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2021年10月28日 08:00  AERA dot.

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写真日本記者クラブ党首討論会で並ぶ9党首(C)朝日新聞社
日本記者クラブ党首討論会で並ぶ9党首(C)朝日新聞社
 衆議院選挙も終盤戦となり、各選挙区で激しい戦いが繰り広げられている。与野党が掲げる主な政策について、争点はどこにあるのか。AERA dot.は、政府が各党の公約について分析した資料を政府関係者から独自に入手した。このなかで、家計の支援にかかわる政策についての評価を紹介する。あわせて、専門家にも各党が掲げる家計支援政策を採点してもらった。「理に適った政策」、「非現実的な政策」はどの政党のどの公約なのか。


【一覧】専門家による各党の政策の採点はコチラ<全2ページ>
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 「総理が総裁選で掲げた看板政策が弱まり岸田カラーが希薄化」


 AERA dot.が政府関係者から入手した資料には、自民党公約についてこう書かれている。一方、立憲民主党の政策に対しては「政権与党時代の教訓を生かすことなく、再び選挙目当ての『バラマキ』政策に走る」「具体策に全く触れない項目が多く、実現可能性に欠ける内容ばかり」と厳しい言葉が並ぶ。政府関係者はこう言う。


「総裁選では『令和版所得倍増』、『こども庁の創設』などと看板政策を掲げていましたが、衆院選の公約に反映されていません。公明党や立憲民主党の公約もバラマキ競争の様子を呈している。非現実的な政策も少なくありません」


 個別の政策についてはどのように評価しているのか。「家計支援」にかかわる政策に絞って、政府の分析を紹介したい。


 まず、与党・公明党は「マイナンバーカードを活用して『新たなマイナポイント』(一人当たり一律3万円相当)を付与」を主要政策の一つとして掲げている。マイナポイントとは、マイナンバーカード取得者が使える電子マネーだ。政府はマイナンバーカードの普及を目的に、指定のキャッシュレス決済を利用した場合、利用額の25%、最大5000円分のポイントが還元される事業に昨年9月から取り組んでいる。公明党の政策は、ポイントをつけることでマイナンバーカードの普及だけではなく、「消費喚起」や「生活の質向上」を狙うという。




 だが現状のマイナポイント事業には、疑問の声があがっている状況だ。今月11日に開催された財務省の財政制度等審議会の分科会で、8月末時点でカードの申請率は全国民の40%にとどまっており、マイナポイントによる普及効果は「限界がある」と指摘されていた。


 政府関係者の資料では、この指摘に触れた上で、公明党の公約について「政策目的と手法がチグハグな安易な政策。単なるバラマキで終わる可能性大」と厳しい評価だ。


 一方、野党・立憲民主党は「税率5%への時限的な消費税減」、「個人の年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税」など魅力的な政策を掲げる。


 これに対しても、


「計15兆円〜20兆円を『国債発行』で賄う方針だが、将来世代への負担となる赤字国債で現役世代の減税や現金給付を賄う手法は、『将来世代に過度な借金を押し付けない』とする党の方針と矛盾した無責任な政策」


 と辛らつだ。


 大胆な政策を掲げるのが、報道各社の世論調査で議席を伸ばすと予測されている日本維新の会だ。消費税や所得税の減税などとともに、「給付付き税額控除またはベーシックインカムを基軸とした再分配の最適化・統合化を本格的に検討」と独自色を出している。


 ベーシックインカムとは、全国民に現金を一律支給する制度のこと。最低限所得保障制度とも言われる。全国民に無条件にお金を配るため、多額の財源が必要となる。政府関係者の資料では「毎月7万円を国民に配れば、年間105兆円が必要(国の2021年度予算(106・6兆円)と同規模)」とある。


 これに対する評価は「財源を所得税で賄おうとすると、税率48%とする必要あり」、「『働き者が損をする、働かざるものが得をする』社会をつくるモラルハザードを引き起こしかねない重大な懸念」とこちらも厳しい見方をしている。


 各党の公約を、専門家はどう見るか。元財務官僚の小黒一正・法政大教授(公共経済学)と、政治・行政の現場に詳しい選挙アナリストの岡高志さんに評価を依頼した。




 表は、編集部で各党の政策パンフレットなどを参照し、生活者の収入や支出に関わる主な政策をまとめたものだ。「政策が国民に対し訴えるものになっているか」「政策が課題の解決につながるか」「財源や国会内での勢力の面からみて実現性はどの程度あるのか」の3つを、それぞれ「魅力度」「効果」「実現度」として、A〜Eの5段階で評価してもらった。


「家計支援」の政策が充実しているのは野党だ。立憲民主党は、先に上げた消費税の5%への減税と年収1千万円程度までの所得税ゼロに加え、低所得者への年額12万円の現金給付を掲げている。その他の野党も消費税や所得税の減税、給付金の支給などをあげる。


 小黒教授は立憲民主党の政策をこう見る。


「財源を国債発行(借金)で賄うのは政策としてあり得るが、その償還(返済)をどうするのか、道筋を見せる必要があるが、立憲の政策からはそれが見えてきません。コロナ禍で疲弊した低所得者に12万円の給付金を出すという政策はまだ理解できますが、年収1千万円程度まで所得税を実質的に免除するというのには、なぜ1千万円なのか、よくわからない。バラマキ的な狙いを感じます」


 他方で、小黒教授が評価したのが国民民主党の政策だ。国民民主党も一律10万円などの政策を掲げるが、同時に、一定以上の高所得者に対しては年度末の確定申告時に所得税を課税する「所得連動型給付方式」を掲げている。小黒教授は「一度全員に配ってから、給付の必要のない高所得者からはお金を戻してもらうという制度設計は、理に適っている。単なるバラマキとは一線を画しており、評価できる」と話す。


 維新が掲げるベーシックインカムについては、こう指摘する。


「仮に年間100兆円程度の財源が必要だとすると、消費税をさらに35%引き上げる必要がある。そのような増税はできないので、現在の社会保障給付費から財源をねん出するとなる。年金を廃止すれば57兆円をねん出できるが、それでも残りの43兆円をどうするか。医療保険や介護保険にも手をつけ、大幅カットするのか。いずれにしろ現在の社会保障制度を大きく変える必要があり、一つの政策としては否定しませんが、国民的合意が取れるかというと疑問が残ります」




 与党の政策はどうか。自民党の政策パンフレットを見ると、広く家計を直接支援する政策は「非正規雇用者・女性・子育て世帯・学生をはじめ、コロナで困っている人への経済的支援を行う」とあった。これに対して、岡さんの評価はこうだ。


「自民党の政策パンフレットでは産業支援などは細かく支援策が書かれていますが、家計支援という面では目立った政策がありません。『コロナで困っている人への経済的支援を行う』というのも、具体的な数字がなく、魅力に乏しいものになっている。生活者に響く政策は意識していない印象があります」


 公明党が掲げる「『新たなマイナポイント』(一人あたり一律3万円相当)を付与」の政策については、こう見る。


「マイナポイントを活用するというのは面白く、3万円のポイントは魅力的でもある。実現する可能性もあります。ただ、現金給付と比べると受け取れる人が限られ、効果には疑問があります」(岡さん)


 どの政策が国民の課題に向き合っているか。参考にしてほしい。


(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)


このニュースに関するつぶやき

  • 国民情報の海外流出に無関心・無責任な官僚。米国の要求にそれらを平気で提供する政府。こんな奴らに自分や家族の情報を3万円で売り飛ばせる訳がないexclamation ��2
    • イイネ!2
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  • そりゃ与党には実施責任があるからね。「負けてもともと」な野党の無責任な公約なんか信じる連中は、民主党政権を忘れたトリ頭なのかね。
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