◆ 経験豊富な貴重なベテラン
オリックスは1日、京セラドーム大阪で全体練習を行い、約1時間、非公開でサインプレーなどを確認した後、打者は3カ所での打撃などで調整した。
25年ぶりのリーグ優勝を果たし、シーズンを2位で終えた2014年以来のクライマックス・シリーズ(CS)進出となるオリックス。野手ではT-岡田や安達了一ら、投手では平野佳寿、比嘉貴幹というベテラン以外は、初めての体験。そんな中で、阪神時代にCSを経験している能見篤史・兼任コーチは「最初の試合の入り方が重要」と、若手などに指南するつもりでいる。
能見兼任コーチは「短期決戦で、トーナメントのようなもの。そこはレギュラーシーズンとは違うところ」と言い、「先に勝つことが大事。チームとして(気持ちの持ち方も含め)どのように持っていくかが重要」と、改めてCSへの入り方の大切さを強調した。
阪神時代の盟友で、同じように現役にこだわりロッテに移籍した鳥谷敬が先日、引退を発表。「いずれは誰にも来る。トリ(鳥谷)が自分で決めたこと」と、決断に理解を示しながら、「しっかりと守ってもらっていた。困ったときには、どのようにショートに打たせるかを考えていた」と、阪神時代に守備で盛り立ててくれた鳥谷に、感謝の言葉を口にした。
阪神で16年、ロッテでは2年間。通算2099安打をマーク、プロ歴代2位の1939試合連続出場果たしたことには「ショートという過酷なポジションで、あれだけの記録を残すのは、みんなにできないこと。トリが努力した結果だと思う」と、偉大さを強調。
グラウンドで喜怒哀楽を出すことが少ない鳥谷だったが、「基本的に熱い男」と能見。「周りが(イメージを)作り上げていたこともあるが、143試合、一喜一憂しすぎると疲れると思う。普通に守って毎日、元気な姿で試合に出るということは、なかなか出来ることではないと思う」と、変わることなく仕事を果たしてきたその姿に敬意を表した。
互いに新天地を求めた結果生まれた直接対決。今年5月18日のオリックス-ロッテ戦(京セラドーム大阪)では、代打・鳥谷を、最後は伝家の宝刀、フォークボールで空振り三振に仕留めた。
「まず1つは『お疲れさまでした』、あとは勝負して勝ったことを、僕の自慢にしておきます」。
CSファーストステージの結果次第では、ファイナルステージでの対戦も予想される。「お互いに日本シリーズのチャンスもあり、思うところはあるかもしれないが、全力でやるだけ。そこは感情なしで」。
実績がありながら、新しい環境を求め、厳しい道を選んできた2人だけにしかわからない勝負の世界。実現が楽しみだ。
文・写真=北野正樹(きたの・まさき)