◆ 驚異の4連続受賞!
10・11月度の『大樹生命月間MVP賞』が9日に発表され、パ・リーグの投手部門はオリックスの山本由伸が今季4連続(通算5度目)で受賞した。6月度、7・8月度。9月度に続く連続受賞。4連続は田中将大(2013年)の5連続以来。山本は「全力で勝利に向かい、日本一を」と、日本シリーズへの進出と優勝を見据えた。
10月は4試合に登板し、3勝無敗。完投は2試合で、うち1試合は完封と抜群の安定感を示した。中でも、圧巻はチームの今季最終戦となった25日の楽天戦(楽天生命パーク)。9回を4安打7奪三振、1四球。15連勝で今季18勝目をマークした。
勝てば、ロッテが残り3試合で1敗も出来なくなる状況に追い込める大一番。エースとして、託された負けられない試合を、これ以上ないという投球で期待に応えた。ロッテに与えたプレッシャーは計り知れない勝利だった。
山本が印象に残る試合として挙げたのも、このゲーム。「最後の1試合での、大事な勝利だった」といい、「勝った喜びがすごく大きかった。ボール(の質や内容)どうのこうのより、勝てたのが大きかった」と振り返った。
ストイックにボールの質の向上を目指し、投球内容にもこだわりレベルアップをはかってきた山本だが、この試合だけは、熱いハートでチームの勝ちだけにこだわったということだろう。この気迫が、楽天打線を封じた大きな要因でもあった。
「シーズン完走が(今季の)目的だった。最後の1カ月まで野球が出来たことがうれしい。楽しむことを忘れず、とにかく思い切ってやろうと決めていた」と、今季を振り返った山本。「『野球を楽しむ』とは、高校時代の監督さんの言葉。楽しむという原点を、今も大事にしている」という。
10日からは「2021 パーソル クライマックス シリーズ パ」が始まる。
「楽しむことを忘れず、全力で勝利に向かい、日本一を」。高いレベルでの勝負にこだわる一方で、自分を必要以上に追い込まず、心にも余裕を持ち、さらなる高みを目指す。ポストシーズンも、山本由伸の投球から目を離せない。
文・写真=北野正樹(きたの・まさき)