咳が8週間以上続く状態を放置すると約3割が「ぜんそく」に 大人は風邪が引き金

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2021年12月03日 09:00  AERA dot.

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写真※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)
 ぜんそくは子どもの病気と思われがちだが、大人の患者の8割近くは、成人してから初めて発症している。咳はよくある症状なので放置されやすいが、初期のぜんそくの可能性も。早期の見極め、治療することが重症化を防ぐ。


【データ】大人のぜんそく、かかりやすい年代や症状は?
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 新型コロナウイルスが流行してからは、ちょっとした咳でも不安に感じることが多くなっただろう。しかしコロナ禍前は違った。咳は呼吸器の症状のなかでも身近なもので、風邪を引いた後などに咳が長引いても、「たかが咳」と放置しがちではなかっただろうか。


 咳の原因として多いのは風邪だが、通常であれば、咳は1週間程度、長くても2週間程度で治まる。それが3週間以上続くようなら、ほかの病気が考えられる。マイコプラズマ肺炎や百日咳、結核など風邪以外の感染症のほか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺がんなどの場合もある。ぜんそくも、長引く咳の原因の一つだ。


 ぜんそくは潜在患者も含めると、日本人の10人に1人は発症しているといわれている。15歳までに発症する「小児ぜんそく」と、大人になって発症する「成人ぜんそく」に分けられる。小児ぜんそくが大人になって再発するケースもあるが、大人になってから初めて症状が出るケースが多く、成人ぜんそくの70〜80%を占める。


 代表的な症状は、繰り返す咳のほか、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒュー音がする喘鳴、息切れ、息苦しさなどだ。


 これらの症状は、空気の通り道である気管が、さまざまな刺激に対する反応などによって炎症を起こし、それが慢性化して気道が狭くなることで起こる。そして刺激に対して過敏になり、発作を起こしやすくなるという悪循環に陥る。炎症を放置すると気道の構造が変化し、気道が硬くなっていく。すると重症化し、治りにくくなる。


■疲れや環境変化が発症の引き金に


 小児ぜんそくは、ダニやホコリ、ペットのフケや毛など、原因物質(アレルゲン)を特定しやすい。一方、大人の場合は原因を特定しにくい傾向がある。国立国際医療研究センター病院呼吸器内科診療科長の放生雅章医師はこう話す。




「成人ぜんそくで圧倒的に多いのが、まず素因としてアレルギー体質があり、風邪が引き金となって発症するケースです。疲れやストレス、気圧の変動、職場や住居の変化などが加わったときに、特に発症しやすくなります。つまり、発症の要因は複合的なのです」


 80代で発症するケースもあり、年代は幅広い。一般的には40代で発症する人が多い。


「社会的な制約が多く、仕事や家庭でストレスを抱えやすい世代といえます。成人ぜんそくは女性のほうがやや多いのですが、これは妊娠や出産によるホルモンバランスの崩れや子どもから風邪をうつされやすいといったことも要因になると考えられます」(放生医師)


 咳がぜんそくによるものかどうか、見極めるうえでのポイントとなるのが症状の「変動性」だ。


「夜寝る前や朝起きたときに痰がからんだような咳が出るのがぜんそくの典型的な症状です。重症化すると夜中に咳で目が覚めたり、一日中症状が出たりすることもありますが、基本的には一日の中でも症状の軽い重いといった変化、『日内変動』があり、日中は症状が出にくいという特徴があります」(同)


 時間帯に加え、場所や温度の変化に伴って症状が出るなど、環境によって変動するケースも。人によっては、台風が多い季節の変わり目、花粉が飛ぶ季節、寒い季節など、症状が出やすい時季があり、「年内変動」が表れることもある。


 日本では、ぜんそくの前段階は「咳ぜんそく」と呼ばれる。咳が8週間以上続いている状態だ。ぜんそくと違って喘鳴や呼吸困難は伴わない。だが、放置すると約3割がぜんそくに移行するといわれている。つまり、咳ぜんそくのうちに治療すれば、ぜんそくに移行するのを防げるのだ。


■花粉症によって咳が長引くことも


 しかし、医大前南4条内科院長の田中裕士医師は「咳が長引いたとしても、咳ぜんそくではない場合も多い」と話す。


「長引く咳の原因が、風邪を引いた後の感染後咳嗽や花粉によるアレルギー性鼻炎だった、という場合も多いのです」




 同院を受診した40代の女性は、近隣の医療機関で咳ぜんそくと診断され、ぜんそくの治療薬である吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を服用していた。しかし症状が改善しなかったため、田中医師が詳しく検査をしたところ、呼吸機能検査では、ぜんそくは認められなかった。


「その患者さんは喘鳴を訴えていましたが、ぜんそくで気管支が狭くなった結果起きる喘鳴ではなく、アレルギー性鼻炎に伴う咽頭炎による症状でした。ぜんそくの治療薬はやめ、点鼻薬と抗アレルギー薬を服用してもらったところ、改善しました。咳ぜんそくやぜんそくは、ぜんそくの治療薬を1〜2週間服用すれば改善します。その期間で改善しなければ、ほかの病気の可能性が考えられます」(田中医師)


 そもそもぜんそくや咳ぜんそくの多くはアレルギーが素因になるので、アレルギー性鼻炎との合併も多い。ぜんそくは確定診断の方法がなく、診断が難しいのが現状だ。


「ぜんそく発作をどの程度繰り返しているのかといった病歴や呼吸機能を調べる検査、気管支の炎症の有無を調べる検査など、総合的に調べて診断します」(同)


 咳は誰もが経験する、よくある症状なので、特に大人の場合は、受診につながりにくい。


「咳が3週間以上続く場合や、市販の咳止め薬で症状がおさまっても薬をやめるとまた症状が出てくる場合は、呼吸器内科の専門医を受診するといいでしょう」(同)


(中寺暁子)

※週刊朝日  2021年12月10日号


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