レースペースを大幅改善も「そこそこの走りで終わってしまった」ライバル勢も大きく向上/ホンダ本橋CEインタビュー

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2021年12月08日 16:01  AUTOSPORT web

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2021年F1第21戦サウジアラビアGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
初開催のF1サウジアラビアGPでのアルファタウリ・ホンダは、初日から安定した速さを発揮。2日目の予選ではピエール・ガスリー、角田裕毅が前戦カタールに続いて揃ってQ3に進出。なかでも角田はデビュー以来初めて、ミディアムタイヤでトップ10に勝ち残ることに成功した。

 残念ながら決勝レースでの角田は接触事故でポイント獲得はならなかったが、ガスリーは6位入賞。カタールで課題だったレースペースの遅さも、大きく改善することができた。とはいえホンダF1の本橋正充チーフエンジニアとしては、「ライバルたちも決勝に向けてかなりペースを上げていた」「相対的な競争力がちょっと手薄だった」と、決して満足していない。

 今週末の最終戦アブダビGPは、本橋エンジニア始めホンダスタッフにとっては正真正銘最後のF1となる。「どんな状況でも対応できる体制で臨む」と、抱負を語っていた。

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──今回のサウジアラビアは、前戦カタール以上にまったく未知のサーキットでした。その状況でアルファタウリ・ホンダは初日から速さを見せていました。

本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):はい。カタールもそうでしたが、事前準備がしっかりできていたのか、車体もパワーユニットもイニシャルセッティングがうまくいっていましたね。

──コース自体、初日から意外にグリップがよかった。そこも特に想定外というわけではなかったのですか?

本橋CE:想定以上にグリップはありましたね。実際にコースを歩いた際にも、路面にオイルが浮いてる感触でしたし。それが走り出すと、思った以上にグリップした。そこはチームも我々も驚きました。

──エンジン全開率も、そこまで急激な上がり方ではなかった?

本橋CE:最初の全開率が思ったほど低くなく、そこからもちろん上がっていきましたが、予測を越える上がり方ではなかったですね。

──予選での速さはメルセデス、レッドブルに次ぐ3番手でした。イニシャルセッティングが決まったことのほかに、コース特性がアルファタウリのマシンに合っていたのでしょうか?

本橋CE:今季は特に得意不得意はないと思っていますが、とはいえ低速があまりないレイアウトの方が強みを発揮できている。その意味では一発の速さでいうと合っていた。今までの経験を活かして、いい方向でセットアップできていたと思います。

──レースペースも前戦カタールに比べると、かなり改善できていたのでは?

本橋CE:そう思います。初サーキットということで、いろいろ取り組んできました。カタールで予想を外した部分も踏まえて、しっかり見ていこうと。ただ今回に関していうと、ライバルたちも決勝当日に向けてかなりレースペースを上げてきた。我々もそこそこの走りはできていましたが、そこそこで終わってしまった。そんな印象です。相対的な競争力は、競合他車に比べてちょっと手薄だったかなと。

──そうですか。ガスリーを見る限りでは、フェラーリ2台を抑えて6位に入ったりと、十分健闘した印象ですが。

本橋CE:結果としていいと思っていますが、もっといいペースで走れたんじゃないかと。終盤にはダニエル・リカルド(マクラーレン)を追えたりしましたが、もっと上のクルマを見ると直線スピードひとつ取っても、まだやりようがある。見直すべき点は多いかなと。

──最終周まで表彰台圏内にいたアルピーヌのエステバン・オコンとか?

本橋CE:そうですね。

■アブダビGPはホンダにとってのラストレース「これまで以上にサポートできることがないか、さらに可能性を探る」

──ガスリーが前戦カタールでのレースペースが悪かった点について、「原因は究明できた。もう大丈夫」と言っていました。何か特定の問題があったというより、いろんなところを見直してレースペースを改善したのですか?

本橋CE:車体側のことは正直よくわかりませんが、何か一発外したというより、いろいろなことの見直しを積み重ねて、今回のレースに臨んだのだと思います。実際、週末の過ごし方も、タイヤの状況なり、レースをどう想定するかといった作業も、カタールの例を何度も引きながら話し合っていましたね。そこがレースで、まあ結果的にはグリッドポジションキープでしたが、できたのかなと。

──角田選手にしても、初日はハードタイヤに比べてソフトタイヤのタイム出しに手こずっていましたが、予選ではきっちり改善していましたね。Q3でトラフィックに捕まったのは残念でしたが。

本橋CE:そうですね。ソフトの改善に関してはパワーユニット側も何とかしようと、重箱の隅をつつくようにいろいろな可能性を探りました。車体側も過去の経験を活かして、セットアップに反映していました。週末3日間を通してのデータの活かし方も、かなりできていたと思います。

──レースでは最初のスタートで2台とも順位を落としましたが、理由はそれぞれ違っていたのですか?

本橋CE:いえ、スタート時のタイヤ温度だと思います。

──ホイールスピンさせすぎた?

本橋CE:グリップレベルに対して、うまくスタートが決まらなかったですね。

──最終戦は本橋さんたちホンダスタッフにとっては最後のレースになります。感慨深いと思いますが、どんな見通しですか。

本橋CE:頑張るしかないですが、ホンダとしてはこれまで以上にサポートできることがないか、先ほど重箱の隅という言い方をしましたけど、さらに可能性を探る。あとは取りこぼしなく、どういう状況でも対応できる体制ですね。そうすれば結果はついてくると思います。

──コース改修で特性はかなり変わっているという認識ですか。

本橋CE:そうですね。低速テクニカル区間がなくなって、割りと踏めて行ける印象です。ラップタイムも短くなっているでしょうから、エネルギーマネージメントも変わるでしょうね。

──アルファタウリ・ホンダには有利なコース変更?

本橋CE:どうでしょう。どこまで踏んで行けるかは実際に走らないとわかりませんが、このところイニシャルセッティングはうまくやれているし、あとは現場での対応ですね。

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