オリックスが大学生のアイディアで地域密着推進へ

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2021年12月22日 06:42  ベースボールキング

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「女性ファン向けファーム動画」を提案する関大チーム〈写真=北野正樹〉
◆ 今年で8回目を数えた産学共同の場に

 オリックスが、「大学生によるマーケティングプレゼンテーション」(ファーム来場者調査合同発表会)を今年も開いた。関西の大学と連携し、大学生のアイディアをファン獲得や集客などに生かす2014年から始まった試みで、今回も学生が様々な提案を行った。

 各大学でスポーツマネジメントなどを学ぶ学生が、球団経営にも直結する二軍に関するテーマについて、現地調査やファンから聞き取りをするなど、教室や研究室を飛び出して調査。大学にとって産学共同を実践できるほか、オリックスにとっても若い感性を生かしたアイディアを提案してもらえるという、相互にメリットがある試みだ。

 また、提案内容を参加した大学生の前でプレゼンテーションし、調査内容や実現の可能性などについて、相互に質問や感想を述べることによってデータ分析や発表方法などのスキルが上がる効果もある。

 8回目を数えた今回は「より地域密着ができる方法」をテーマに、大阪商業大学、大阪成蹊大学、大阪体育大学、関西大学、天理大学(発表は不参加)が参加。大学が所在する地域の球場で行われた、オリックスのウエスタン・リーグ公式戦で観客にアンケートをしたり、webでの調査を行うなど、各大学がテーマに沿ったアイディアを出し合った。

 「コロナ禍とプロ野球観戦に関するアンケート」をもとに提案したのが、関大。調査結果を観戦回数別、年代別、性別で分析。そのうえで、小学生の子供を持つ30、40歳代をターゲットに、球場近くに設けられたスポットを回って写真に収めるとビンゴゲームのように遊べるアプリ「フォトビンGO」(Photo BinGo)や、女性ファン向けの「ファーム動画」を提案した。動画には、二軍の選手による地域散歩などもあり、地域密着を図りつつ、女性ファンが多いものの一軍選手に比べて情報が少ない二軍選手を紹介することができるというもの。

 大阪成蹊大は、「野球以外のアプローチによる地域密着」を視点に、大阪府豊中市内の10店舗と提携し、選手がプロデュースした食事メニューを提案。定食屋には、山本由伸の出身地、岡山県の瀬戸内で獲れるサワラなどを使った「ヨシノブの海鮮丼」や、ハンバーガー店には、静岡県出身の紅林弘太郎の「紅林のウナギドッグ」などをメニューに加えてもらいつつ、コロナ禍で厳しい飲食店の経営改善につなげる狙いもある。

 豊中市では、コロナ禍のため試合開催はなく、観客への調査は出来なかったため、選手プロデュースメニューに沿った飲食店を調査するなど、足を使った労作。経営学部スポーツマネジメント学科の菅文彦学科長は「球団と地域にとってメリットがあり、多額のコストも掛からない。試合はなかったが、現地調査でフィールドワークもできた」と話す。

 最近、耳にする機会の多い「SDGs」(持続可能でより良い世界を目指す国際指標)を提案したのが、大体大。企業と球団がSDGsパートナーシップを提携し、企業が地域で持続的に発展することで経済的に地域貢献する試みだ。

 大商大は、野球人口の減少対策の一例として、公園をオリックスが管理する「Protect by ORIX」を提案。3年生の秋田蓮音さんは「問題点を解決することで、街が活性化し潤いも増す」と述べ、公園の実態を調査することで、「開発することで街を豊かにすることができる不動産関連の会社に進みたいと思うようになった」と、就活にもつながったという。

 オリックスの企画事業部ファーム事業グループ長の岡村義和さんは「今回も参考になる提案があった。なかでも関大の提案は、実現可能性がある」と話していた。


文・写真=北野正樹(きたの・まさき)

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