オリックス・山本由伸が地元凱旋し講演会「トップレベルで野球が出来たら」とリップサービスも

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2021年12月26日 20:54  ベースボールキング

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「備前市市民栄誉章」を受けるオリックス・山本由伸(左は吉村武司市長)〈写真=北野正樹〉
◆ 少年時代から変わらぬ“野球を楽しむ姿勢”

 オリックスのエース・山本由伸投手(23)が、出身地の岡山県備前市から市民栄誉章を贈られることが決まり、26日に同市市民センターで「市民栄誉章贈呈式・凱旋講演会」が開かれた。出身地からの顕彰は、24日の「岡山県県民栄誉賞」に次いで2度目。

 今夏に行われた東京オリンピックの野球競技で、同市出身者として初の金メダルを獲得。吉村武司市長は「五輪金メダルとオリックスのリーグ優勝に大きく貢献し、市民に勇気と感動を与えた」と、金メダルと25年ぶりのリーグ優勝を称えた。

 今回の凱旋は「いつも応援していただいているみなさんにお礼の言葉を伝えたい」という山本の希望で実現したという。8月末に話があり、リーグ優勝やクライマックスシリーズ・ファイナルステージ、日本シリーズと試合が続き、開催が決まったのは11月末。それでも、参加者募集は約20分で締め切るほどの大反響で、会場には少年野球の子供たちや市民ら約600人が集まった。
 
 参加者の中には、山本が小学生時代に所属した少年野球チーム「伊部パワフルズ」の指導者の姿も。当時の監督で、オリックスの頓宮裕真の叔父・頓宮卓也さん(49)は「小学6年で160センチはない小柄な少年だったが、投げる力、バットに当てる技術、走力という身体能力は高かった。また、プレーの判断能力も優れていた」と振り返る。

 今も「子供の頃、楽しんで野球をして、仕事となった今も、楽しんで野球を出来ていることが、いい結果につながっている」と、備前時代の楽しい野球が原点だと語る山本。頓宮元監督は「ワイワイと騒いで楽しむだけでなく、勝つためには日々の練習を大切にしてきつい練習もコツコツとやって、そこで培ったもので勝ってみんなで喜んだ」と当時を思い出し、「一緒に好きな野球を楽しんだだけ。ここまで来たのは本人の努力があったから」と、日本のエースに育った山本の成長を喜ぶ。

 山本を指導したコーチの幡上慎さん(52)は、6年の秋の大会を終えた山本が、小学3年以下の子供たちの練習に付き添い、グラブの使い方などをアドバイスしていた姿を思い出すという。「誰から言われたわけではないのに、教えてくれていた。後輩の面倒見はよく、そんなところでも野球を楽しんでいたのでは」という。

 講演に替わり行われたトークショーの質問コーナーで、子供から味方のエラーについて問われると「全く、腹は立たない。野球はチームプレーだから、助けてもらうこともある。普段から怒ったことはない。(人が温かい)備前で育ったので」と答える場面も。

 子供たちには「学生時代、普通の子供が、金メダルをとれた。みなさんに可能性がある。とにかく自分を信じることを大事にしてほしい」とメッセージを送った。

 また、将来の野望を聞かれ「トップのレベルのところで野球が出来ればいいなと思う」と、ドッキリ発言も飛び出した。イベント終了後の記者会見で、改めて真意を聞かれ「どうでしょう」とかわしたあたり、故郷でいつも声援を送ってくれる人たちへのリップサービスだったようだ。

 壇上から、知人らの姿を見つけ手を振るなど、終始、リラックスした表情で2時間近いイベントを楽しんだ山本。故郷の純粋な声援は、「今季を上回る成績を残す」と高みを目指す山本には、最大の援護になることだろう。


文・写真=北野正樹(きたの・まさき)

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