2021年のプロ野球「こんなこともありました」 大揉めに揉めた“あの試合”を振り返る

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2021年12月29日 07:13  ベースボールキング

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2021年のプロ野球、こんな事件もありました… (C) Kyodo News
◆ 「サイン盗み疑惑」?

 2021年も残りわずか…。1年の終わりに、プロ野球・2021年シーズンをしみじみと振り返っていきたい。

 今回は「大揉めに揉めたあの試合」と銘打ち、判定トラブルやサイン盗み疑惑などから、指揮官や選手たちが思わずブチ切れてしまった場面を紹介する。




 二塁走者の不自然な動作から“サイン盗み疑惑”騒動に発展したのが、7月6日のヤクルト−阪神だ。

 事件が起きたのは、4−0とリードした阪神の攻撃中。二死一・二塁の場面で打者はゴールデンルーキーの佐藤輝明。左腕の田口麗斗が初球を投げようとする直前だった。

 リードを取っていた二塁走者・近本光司が、膝に置いていた左手を横に真っすぐ伸ばして停止したあと、再び左手を1度、2度と動かした。見方によっては、捕手・古賀優大が内角高めに構えているのを、佐藤輝に伝達しているように見えなくもない。



 直後、三塁手の村上宗隆がグラブで近本を指差し、「何らかの伝達行為があるのでは?」と審判団にアピール。

 これに対し、阪神ベンチからは非難の声があがり、矢野耀大監督と井上一樹コーチも「ゴチャゴチャ言うなや」「絶対やってへんわ」と言い返した。

 すると、村上は2人を睨みつけ、そのままベンチに向かっていくではないか。阪神側から「動くな、こら!」の怒声が飛び、藤本敦士三塁コーチと白井一行三塁塁審が、村上の前に立ちはだかって制止した。


 事態を収拾するため、名幸一明球審も試合を止め、矢野監督とヤクルト・高津臣吾監督を呼び、話し合いをさせた。

 だが、サイン盗みの疑いをかけられた矢野監督は興奮状態。高津監督も「こっちもやるぞ」と一歩も引かない。試合は計4分中断した。

 この件について、阪神側は近本が帰塁の練習で二塁ベースとの距離を測るために手を動かしていたと説明。矢野監督は「現役時代、1回も自分自身やったことはない。一番そういう野球はしたくない」と言明したうえで、「(近本の動きが)紛らわしいというのは、もしかしたら、こっちも改善しないとダメな部分もあったのかも」と騒動に発展したことに反省の色を見せていた。


◆ 「まさかの珍併殺」

 つづいて、塁審がアウトの瞬間を見落としたことが原因で、大混乱になったのが9月13日の中日−ヤクルトだ。

 0−1の9回、ヤクルトは一死一・三塁のチャンスに代打・川端慎吾が二ゴロに倒れたが、一塁走者・西浦直亨に気を取られたセカンド・堂上直倫の送球が一瞬遅れ、一塁セーフとなった。

 だが、西浦は一塁アウトと勘違いしたのか、塁間にとどまったまま。ファースト・福田永将が二封を狙ってベースカバーのショート・京田陽太に送球すると、京田もよく状況をのみ込めなかったのか、「ベースを踏め」という福田の指示を聞かず、挟殺狙いで西浦を追いかけたあと、福田にボールを戻した。

 直後、福田が再度二塁に送球すると、京田はようやくベースを踏み、二死一・三塁になったはずなのだが…?

 嶋田哲也二塁塁審が封殺の瞬間を見ていなかったことから、事態はますます混乱する。


 二塁アウトが宣告されないため、なおも一二塁間の追いかけっこが続く間に、三塁走者・古賀優大が同点のホームを狙うが、堂上が本塁に送球し、タッチアウトになった。

 そして、二死一・二塁で試合再開…という時になって、中日・与田剛監督が「京田が二塁を踏んで、封殺が成立しているのでは?」とリクエストを要求。二封アウトが認められ、まさかの珍併殺で試合終了となった。


 当然、ヤクルト・高津臣吾監督は納得ができない。

 「二塁塁審がフォースアウトを宣告していれば、三塁ランナーは本塁に走らなかったのでは」と15分にわたって抗議した。

 だが、このようなケースでは、審判に判定変更の理由について説明を求めることができても、判定は覆らない。

 不手際のとばっちりで絶好のチャンスを潰し、敗れて3位転落となった高津監督は「大事なひとつの勝ち負けだったり、ひとつのアウトだったりというところ、全力で戦っているのでね。もうちょっとハッキリしたジャッジをしてほしかったですね」と苦言を呈していた。


◆ 楽天・浅村栄斗が死球で激怒!

 最後はひとつの死球をめぐり、あわや乱闘の騒ぎが勃発した9月29日の楽天−日本ハム。

 5−0とリードの楽天は8回二死、浅村栄斗が鈴木健矢から左太ももを直撃する死球を受けた。ふだん感情を表に出さない浅村だが、珍しく怒りをあらわにしてマウンドに向かって行こうとするも、球審に促されて渋々一塁へ。だが、途中で唾を吐くなど、苛立ちを隠さない。

 しかし、出塁後も浅村の怒りは収まらず、代走と交代してベンチに戻る際、声を荒げて再び鈴木に詰め寄ろうとした。

 ここで日本ハムベンチからもロニー・ロドリゲスが飛び出し、浅村に突っかかろうとしたのを合図に、両軍ナインが集まり、揉み合いとなった。


 鈴木健は帽子を取って謝罪の意を示したが、浅村は「お前は関係ないだろう」と言いたげに右手の掌を上にしてロドリゲスを挑発するなど、ゴタゴタが続く。

 その後、浅村は岡島豪郎になだめられて引き揚げ、ようやく鎮火。警告試合が宣告され、5−0で楽天が勝利したあとも、後味の悪さが残る試合となってしまった。

 密を避けなければいけないコロナ禍においても、死球をめぐるトラブルは尽きないようで…。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)




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