「もっともっと捕手を突き詰めて…」オリックス・伏見寅威、“寅年”の誓い

2

2022年01月05日 22:00  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

オリックス・伏見寅威 [写真=北野正樹]
◆ 「常に正捕手を目指す」

 丑(うし)年の2021年、25年ぶりのリーグ優勝を果たしたオリックス・バファローズ。

 リーグ連覇と、昨年届かなかった日本一を目指して挑む2022年。寅(とら)年の今年、プロ10年目を迎える伏見寅威は「もっともっと捕手を突き詰めていきたい」と意気込む。




 昨季はキャリアハイとなる91試合に出場。リーグ優勝に貢献した31歳は、年末の契約更改で1850万円増の4500万円(金額は推定)という評価を勝ち取った。

 「守備面でかなり評価してもらえた」という背番号23だが、もちろん満足しているわけではない。

 「常に正捕手を目指し、100試合以上出場を目標としているので、そこは超えたい。この数字では(正捕手とは)違うかなと思う。体に柔軟性をつけて、もっともっと捕手を突き詰めたい」と、さらなる飛躍を見据えて貪欲に語る。



◆ 捕手として勉強を重ねた1年

 しびれるゲームが続いた昨季の終盤戦。伏見にとって、正捕手への手ごたえとなったのが、9月下旬から10月初めにかけてのロッテ3連戦(ZOZOマリン)と、ソフトバンク戦(京セラドーム大阪)の計4試合だった。

 このカードで1敗でもすれば、相手に優勝マジックが点灯するという崖っぷちで迎えたロッテ戦。印象的なT−岡田の逆転3ランもあって3連勝を果たすと、ソフトバンク戦では後半戦でやや苦しんでいた宮城大弥が8月以来となる12勝目をゲット。伏見はこの4試合すべてで先発マスクをかぶっている。

 「(チームとして)相手に負けないという雰囲気があった。1球1球、球場が沸くすごくいい緊張感の中で、いい経験が出来た」


 捕手として勉強を重ねた1年でもあった。

 調子の上がらない時期の宮城に対し、「いつも通りの配球で調子が上がるのを待とう」とリードしていた際、中嶋聡監督からは「今日の(宮城の)感じなら、フォークボールを使った方がいいのでは」というアドバイスを受ける。

 「ブルペンでの出来からフォークは要所で使えないイメージがあり、僕にとっても宮城にとっても順位が低い球だったが、使ってみたらめちゃめちゃ低めに決まって、そのままなら失点する場面でいい投球を引き出せた」

 経験豊富な“捕手の大先輩”から、このポジションの奥深さを改めて知らされた瞬間。

 「投げ方やリリースポイントを見て、『今日ならいける』というひらめきがあったのだろうか。僕にはないところを学ばせてもらっている」

 身近なお手本の偉大さをひしひしと感じながら、一歩でも近づきたいと心を躍らせる。


◆ 新人王・宮城を導いた印象的なシーン

 捕手には、強い思い入れがある。

 2019年6月の巨人戦(東京ドーム)で、左アキレス腱を断裂した。膝を曲げての捕球に、一塁へのバックアップなど、重労働かつ俊敏な動きが求められるポジション。「もう捕手は無理」という部外者の声も聞こえたが、「必ず捕手で復活する」とリハビリに耐え、1年後には捕手としてグラウンドに戻ってきた。


 それだけに、投手への接し方にも工夫を凝らす。例えば、昨季2年目の宮城には個別のミーティングはしなかった。

 スコアラーから相手打者の傾向と対策を聞くミーティングの後、通常は先発投手に「あの打者にはこのボールが有効になる」など、捕手目線で会話を交わす。しかし、宮城には「オレのサインで投げてきたらいい。嫌なら首を振っていい」とだけ。

 「初めてローテーション入りした19歳、20歳。考え過ぎてもダメなので、そういうところを気にしてほしくなかった。考えることは、こっちに任せろという感じ」


 開幕2戦目の西武戦(メットライフ)では、宮城が西武の主砲・山川穂高をカーブで泳がせ、空振り三振に仕留める場面があった。当初のサインはスライダー。しかし、宮城は「前の打席で打たれているスライダーより、カーブの方がいい」と投げる直前に切り替えたのだという。

 宮城の直感がこのケースでは正解だったことは、山川が膝から崩れるように倒れ込んだことからも明らか。10歳以上も離れた先輩のサインに縛られなかったというのは、宮城の良さを引き出すために投げやすいようにした伏見の配慮があったからだろう。


 「若月(健矢)のリードは大胆で、投手のいいところを引き出してあげるのがすごく上手。僕は慎重になって構えすぎる。ケースバイ・ケースだが、困った時こそ大胆に攻めることも必要だと学ばせてもらった」

 正捕手を争うライバルからも謙虚に学ぶ。

 切磋琢磨することで、チームはさらに進化することだろう。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)




【動画】不死身の伏見 〜復活までの足跡〜

このニュースに関するつぶやき

  • 打撃がクソ化してもたからな。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定