劇的な幕切れ“WRC新時代”最初の勝者はローブ。勝利目前のオジエはパンクに泣く/開幕戦モンテカルロ

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2022年01月23日 21:41  AUTOSPORT web

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セバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1) 2022年WRC第1戦モンテカルロ
1月23日、WRC世界ラリー選手権開幕戦モンテカルロの競技最終日、デイ4のSS14〜17が行われ、Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームから今戦にスポット参戦した元選手権9連覇王者セバスチャン・ローブ/イザベル・ガルミッシュ組(フォード・プーマ・ラリー1)が総合優勝を飾った。この勝利で47歳10カ月28日の史上最年長優勝記録を打ち立てたローブ。彼のモンテカルロ制覇は通算8度目となり、ともに優勝を争ったセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が持つ最多優勝記録に並んでいる。

 2022年シーズンよりWRCは新しい車両規定である“ラリー1”レギュレーションを採用し、最高峰クラスを戦うラリーカーにプラグイン・ハイブリッドシステムの搭載を義務付けている。トヨタ、ヒュンダイ、Mスポーツ・フォードがそれぞれ開発した新型マシンのデビュー戦となった今戦は、シーズンのオープニングであると同時に“WRC新時代”の幕開けを告げるイベントとなった。

 そんな2022年のラリー・モンテカルロは競技初日からオジエとローブが優勝を争いを繰り広げ、新旧王者“セバスチャン対決”が最大の焦点に。2本のSSで争われたデイ1では、2021年大会の覇者で現シリーズチャンピオンであるオジエが両ステージを制して総合首位に立った。

 一方のローブは、総合2番手で迎えたデイ2で4連続ベストタイムを記録しライバルを逆転。2日目を終えた段階でラリーリーダーとなった。2日目にペースが落ち首位を奪われたオジエだったが、翌日のデイ3はふたたび2本のステージでトップタイムを記録するなどスピードを取り戻す。再逆転して迎えたSS13では、ローブとまったく同じタイヤ選択をとり直接対決で15秒先行。トータル21.1秒のギャップを築いて最終日を迎えることとなった。

 90回目の開催となった2022年のラリー・モンテカルロは最終日も好天に恵まれた。路面は一部に湿り気や凍結が見られるものの、おおむねドライコンディションだ。

 この日のオープング、SS14は総合2番手につけるローブが反撃の狼煙を上げる走りでベストタイムを記録したが、わずか1.1秒差でオジエが2番手に続いたため、両者の差は20秒とほぼ変わらず。反対にSS15ではオジエがティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 Nラリー1)に次ぐ2番手タイムを記録した一方、ローブはトップと6.5秒差の5番手となり、その差は24.6秒に開いてしまう。

■モンテマイスターに悲劇。パンクチャーで首位陥落

 残るステージはあとふたつ。ここでトップ争いにドラマが生まれた。SS14の再走ステージということもありローブが好走を見せた直後、トップのオジエがまさかのスローダウン。原因は左フロントタイヤのパンクだった。これにより前年王者は、ベストタイムをマークしたローブから34.1秒遅れてのフィニッシュとなり総合でもトップの座を明け渡すことになった。なお、このステージでは勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)がSS15に続き、2ステージ連続で3番手タイムをマークしている。

 首位ローブ、9.5秒差の2番手にオジエというトップ2オーダーで迎えた最終パワーステージでは、オジエが再逆転を信じ気迫の走りを見せた。しかし、タイム自体は全体ベストだったがスタート時にわずかに動き出しが早くジャンプスタートの裁定が下る。これにより10秒のペナルティが科され万事休す。

 対するローブはオジエのひとつ前、ステージ4番手でフィニッシュした。この結果、先週までカラールラリーを戦っていた47歳の元王者が10.5秒差で前年王者を下しWRC通算80勝目をマーク。シトロエンからスポット参戦した2018年第12戦スペイン以来、4年ぶりの勝利を飾った。ローブのモンテカルロ優勝は2013年以来、8年ぶりだ。

 白熱した“セバスチャン対決”の後方では、Mスポーツ・フォード移籍1年目のクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)が3位表彰台を獲得した。なお、トップとのタイム差は1分39秒8と大差がついている。4位はパワーステージを制しボーナスの5ポイントを追加獲得したカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)、5位にガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)が続き、ヒュンダイ勢で唯一、最終日まで生き残ったヌービルが6位となっている。

 彼のチームメイトのひとりであるオリバー・ソルベルグは、前日のコースオフの影響もあり総合48番手で最終日を迎える予定だったが、この数日間ヒュンダイi20 Nラリー1の車内に排気ガスが流入するトラブルに見舞われていた彼が体調不良を訴えたため、チームはソルベルグがラリーからリタイアすることをデイ4の午前中に発表している。

 TOYOTA GAZOO Racing WRT・ネクストジェネレーションから2022年のWRCにフル参戦する勝田は総合8位で開幕戦を完走し、初戦で4ポイントを獲得した。

 WRCの次戦、フルスノーラリーとなる第2戦ラリー・スウェーデンは2月24〜27日に開催される予定だ。

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  • 47歳でWRC優勝とは、凄すぎる。・・・が、しかし、同時にラリーがF1やMotoGPよりは、肉体的負担が少ないことも証明してしまった感はある。
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