伊達朱里紗は声優からプロ雀士に。麻雀アニメを見てハマり、「見て、打って、ボロクソに言われる、の繰り返し」で上達

0

2022年01月27日 19:11  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

Mリーグ女流雀士インタビュー(3)
伊達朱里紗@前編

◆伊達朱里紗さんの厳選フォトギャラリー【全7点】はこちら>>
◆Mリーグ女流雀士インタビュー(1)「岡田紗佳」から読む>>

 4年目を迎えたMリーグに新たな風が吹いている。その発生源となっているのが、選手入れ替えルールによって2021-2022シーズンから加わった新加入選手たちだ。

 EX風林火山に加入した松ヶ瀬隆弥選手(RMU)はMリーグ記録に並ぶ4連勝を飾るなど、19試合に登板して6勝をあげて個人合計ポイントの個人ランキングで3位につけている。

 だがリーグ前半戦、この松ヶ瀬選手の活躍が霞んでしまうほどの輝きを放った選手がいる。Mリーグ史上初の10万点超えの最高スコアを叩き出した伊達朱里紗選手(日本プロ麻雀連盟)だ。今季からKONAMI麻雀格闘倶楽部に加入し、Mリーグに強烈な旋風を巻き起こしている伊達選手の強さの秘訣とは......。

   ※   ※   ※   ※   ※




---- 伊達選手は声優さんですよね?

「そうです。声優は10年くらいやっていますね。麻雀プロは2年半くらいになります」

---- プロ雀士としてのお話を聞く前に、声優になった経緯を教えてください。

「小学生の頃から歌うのが大好きだったんですね。それと、小学校の国語の授業で先生から朗読を褒められたんです。台詞を噛んだら次の人が読むルールだったのに、まったく噛まずに読めて。『歌う+何かを読む』を、声優は仕事にできると友だちから教えてもらって、『それしてみたい!』という感じで。

---- 感情移入も得意だったんですか?

「いや、そこは得意じゃないです(笑)。声優になる前は演技に興味がなかったんですよ(笑)。養成所に入ったら声優は演技が一番大事だと言われて、そこがもっとも苦労しました」

---- 麻雀との出会いはいつ頃にどういう経緯で?

「高校生の時に麻雀アニメの『咲-Saki-』を見て麻雀を知りました。そこから麻雀に興味を持つようになって。不思議なことに、声優として初めて受かったオーディションが咲の続編である『咲-Saki-全国編』だったんです」

---- なぜ麻雀プロとしても活動されるようになったのですか?

「声優だけをやっていた頃に、ネット番組の企画で麻雀を打つことになったんですね。もともと麻雀はやっていたんですけど、それを機にもっともっと勉強しようと、さらにのめり込んでいきましたね」

---- それですぐに麻雀プロに?

「実際にプロ雀士になろうと思ったのは、さらに時間が経ってからでして。『オクタゴン』というノーレート雀荘があって、そこで競技麻雀と真剣に向き合う人たちに出会ったんですね。『麻雀を知っているつもりになっていたけど、こんなに奥が深いんだ!』と感銘を受けて、『私も本気でやりたい』と麻雀にさらにさらにハマって。それでオクタゴンに通って1年くらいでプロ試験に通りました」

---- 1年くらいでプロ雀士になれるものなんですか?

「人によりますね。私の場合はもともと土台があって、オクタゴンでめちゃくちゃ勉強しました」

---- 麻雀の勉強は本を読んだりされるのですか?

「私はあまり本を読まなくて。見て、打って、ボロクソに言われる、の繰り返し(笑)」

---- 詳しく教えてください。

「麻雀に強くなるのは経験が大事だと思うんですね。私の場合は放送対局を見られるだけ見て、インプットをしまくって。あとはアウトプットで、実際に麻雀を打って、打って、打ちまくる。その時、強い人にうしろから自分の打ち筋を見てもらって、対局後に「あそこは違ったんじゃないか」と言ってもらって。あとは感覚を磨くことですね」

---- これから麻雀を覚えようとしたら、どういうステップを踏めばいいのでしょう?

「まずは役を覚えて、次はちょっと複雑ですけど点数計算ですよね。そこまで覚えたら、自分の手をいかにまっすぐ組むか、アガりというゴールに向かって真っすぐ進むことが最初の課題になってきます。それをクリアすると、今度は相手に放銃(自分の打牌を他家がロンしてアガられること)せずにアガりきるにはどうしたらいいのかを考える。

 その次の課題は、『この局は攻めるのか、守るのか』の判断ですね。これは難しいですけど。そこまでできると、『この牌(ハイ)を切れば放銃になるけど、放銃自体は悪ではない』というところまで考えなくてはいけなくなるんですね。麻雀の目的は半荘が終わった時、トータル点数でトップに立って終わることなので」

---- 目先の放銃を避けるよりも、放銃しておいたほうが半荘を終えてみたらいいケースもあるということですね。伊達選手は2019年4月にプロ雀士になられて、今シーズンからMリーグで戦っています。昨年までMリーグをどう思われていたんですか?

「プロ試験を受けている頃は、無知すぎて『入れないかなぁ』と軽く考えていたんですよね(笑)。でも、プロの世界にいざ足を踏み入れてみたら、実力と知名度を含めて、Mリーグのコンセプトである『熱狂を外へ』という麻雀を外に広めていくことを実現するには、自分という人材はなんて中途半端なんだろうと思うようになって。私がMリーグに入るのは難しいなって感じていました」

---- それがプロになられてからの2年半の活躍が認められて、今シーズンから晴れてMリーグの一員になりました。どんな気持ちだったんでしょうか?

「ドラフトされてから開幕するまでは、『Mリーグに入っちゃうんだ』ってずっと思っていましたね。開幕してから成績が悪かったら無茶苦茶、言われるだろうなとも思っていて。自分では『声優は声優、麻雀は麻雀』と完全に分けて考えているのに、そうは見てもらえないから、声優というフィルターは邪魔だなとも感じていました。

 プロ雀士にも会社員をしながら、という方もいるのに、それが声優だと遊び半分とか広告塔とかっていう目で見られてしまう。だから、ここまでの成績には安堵しています。でも、ここからも驕り高ぶらず、麻雀をちゃんと打ちたいと思っています」

---- その今季の戦いですが、Mリーグルールと伊達選手の所属する日本プロ麻雀連盟の公式ルールとではだいぶ違うものですが、すぐに対応できている理由はなんですか?

「連盟公式ルールは一発も裏ドラも赤もなしで、Mリーグは一発も裏ドラも赤もありなんですが、私はその中間にある『一発と裏ドラはあり、赤はなし』という最強戦ルールをオクタゴンでずっと打っていたからです。麻雀の基盤を最強戦ルールでつくって、その後に連盟とMリーグのルールに対応した勉強をした感じですね」

---- 伊達選手は10月8日にMリーグデビューを飾ると、3戦目の10月22日の試合でMリーグ初トップを取りました。

「初戦が2着、次戦が3着で、早く1勝目をあげてホッとしたかったので、よかったです。今年は新加入選手が5人いて、いつまでもひとりだけトップが取れなかったりしたら、何を言われるかと怯えていたので(笑)」

 伊達選手、松ヶ瀬選手のほかにも、EX風林火山に二階堂瑠美(日本プロ麻雀連盟)、セガサミーフェニックスに東城りお(日本プロ麻雀連盟)、TEAM雷電に本田朋広(日本プロ麻雀連盟)という3選手が今季からMリーグに加入した。

 新加入選手で最初にトップを取ったのは本田選手で、開催3日目の10月7日。翌日に松ヶ瀬選手が初トップを決めると、開催9日目の10月18日に東城りお選手、開催12日目に伊達選手、開催13日目の10月25日に二階堂瑠美選手がMリーグ初トップの船出を切った。

(後編につづく>>)


【profile】
伊達朱里紗(だて・ありさ)
1991年5月10日生まれ、兵庫県出身。声優を目指して上京し、2013年より声優事務所「81プロデュース」に加入。2014年に麻雀を題材としたアニメ『咲-Saki- 全国編』への出演をきっかけに麻雀に本格的に取り組み、2019年4月に日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士になる。2021年、KONAMI麻雀格闘倶楽部からドラフト全体3番目指名を受けてMリーガーとなった。

    ニュース設定