◆ 「まずは身体をしっかりと作って」
オリックスのセサル・バルガス投手(30)が大阪市内の球団施設で取材に応じた。
昨年8月に途中入団も、5試合の登板で1勝1敗1ホールドという成績に終わった右腕は、自信をつけつつあるシンカーで投球の幅を広げ、力を発揮できなかった日本シリーズでのリベンジと日本一を誓った。
昨年はメキシコ代表の一員として東京五輪にも出演していたバルガス。五輪後の8月21日にBCリーグ・茨城アストロプラネッツからオリックスに加入した。
レギュラーシーズンでは5試合の登板で防御率は11.00も、ロッテと戦ったクライマックスシリーズのファイナルステージ第3戦では最速159キロの速球を投げ込む好投を披露。
その後の日本シリーズでは2試合の登板で計3失点を喫したが、オリックス残留が決まった。
メキシコでは身体を休めることに主眼を置いて過ごしていたそうで、1月15日に来日後、入国者隔離措置を終えて始動した自主トレでも、キャッチボールやウエイトトレが中心。
「まずは身体をしっかりと作って、しっかりと準備をしたい」と言い、仕上がり具合を見ながらのスロー調整となりそうだ。
◆ 2年目の変わり身に期待
それでも、2年目のマウンドにかける気持ちは強い。
昨季はシーズン途中からの加入で、「日本の打者の情報やデータが分からず、探り探りやってきた。スイングがどういう軌道で来るのか、どういうボールを狙っているのか分からなかった」と振り返るが、「オフにVTRを見直して改良出来つつある」とのことで、日本の打者の傾向と対策は頭に入っている。
日本では投げることの少なかったボールも、2年目の飛躍を支えそうだ。
「動く直球、カットボール、ツーシームは昨年投げていい感じだった。今年はシンカーも生かしたい」とバルガス。
これまでのキャリアの中で投げてきたシンカーだが、オリックス入団後に初めて投げた試合で打たれたことで、良くないボールというイメージがあり封印。しばらくして投げてみたところ、「改めて使えるなと思った。少しずつ自信が芽生えてきた。キャンプ中に使えるようになれば、投球スタイルに役立つ」と本格的に取り組む。
キャンプからチームに合流してシーズンを迎えることが出来るのも、明るい材料だ。
五輪後に加入した昨年は、満足な調整が出来ていなかったという。「五輪前にしっかりトレーニングが出来る施設がないまま出場し、オリックスに来たときは準備が十分ではなかった。今年は最初からチームに参加できるので、チームのことも日本の野球のことももっと深く知ることが出来る」と、万全な状態での調整に自信を深める。
起用方法は未定だが、「先発でも中継ぎでも、求められればどこでもチームの勝利に貢献したい」とバルガス。
「日本シリーズでは打たれてしまった。昨年出来なかったシリーズで勝ちたい」
トレードマークの長い髪をなびかせて打者を仕留め、日本一を目指す。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)
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