◆ 「とにかくいい時間を過ごしたい」
連覇と昨年果たせなかった日本一を目指すオリックスの選手やスタッフが30日午後、空路、宮崎県入りした。
昨季、主要なタイトルを総なめにしたエース・山本由伸投手(23)は「現段階ではいいオフを過ごせたと思う。投げる準備は出来ている」と、キャンプインを前に意気込みをみせた。
2年ぶりの有観客で行われる宮崎キャンプ。宮崎空港でもオリックスナインの来県を告げるアナウンスが館内放送され、ファンや空港利用者らが到着ゲート付近に集まるなど、歓迎ムードに包まれた。
宿舎で代表取材に応じた山本は、「いよいよ始まるな。キャンプインだと実感しています」と表情を引き締めた。また、有観客で行われるキャンプについて「2年ぶりですね。練習を見ていただけることは、お互いにうれしいこと」と、ファンが来場できることを喜んだ。
キャンプでの調整は、「ブルペン入りは10日くらい」と、例年よりやや遅めの設定をしているようだ。ただ、自主トレ期間中もマウンド以外の傾斜を使ったトレーニングは重ねてきており、早くなることはあるという。
最後まで熾烈な優勝争いに加え、東京五輪、CS、日本シリーズとタイトなスケジュールで、体を休める期間が短かったことを心配する向きもあるが、「時間はすごく短かったが、しっかりと体を整えながら、トレーニングもしっかりと出来た。現段階ではいいオフを過ごせたと思う」と、調整が順調に進んでいることを強調した。
よほど、オフの過ごし方に手応えを感じているのだろう。球数を多く投げ込まない調整方法を聞かれても、「特に投げ込みをするつもりはない。(100球以上でも)投げれば投げられると思う。それくらいの準備は出来ている」とキッパリ。
先発転向に挑戦した2019年のキャンプでは、130球を投げ込んだ日もあったが、それは調整の一環であると同時に、周囲のスタミナ不足を懸念する声を払拭する意味もあったとみられる。
掲げた目標に向かい、ブレることなく自分を高めて来た山本。
「チームを引っ張る意識はない。しっかりと自分のことに集中してやっていきたい」と言いながらも、「(聞かれたことには)もちろん。僕も学ぶことがたくさんある。とにかくいい時間を過ごしたい」と、切磋琢磨してチーム力を上げていくことを改めて誓っていた。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)
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