◆ ハタチの誓いとプロの覚悟「自分の力を出したい」
オリックスの高卒3年目の紅林弘太郎が7日、20歳の誕生日を迎え、「プロでやっている以上、安泰というのはない。毎年、毎年、定位置争いは勝負」と、決意を新たにした。
チームに合流して3日目。練習前には、平野佳寿や伏見寅威らBグループのメンバーから祝福の拍手を浴びていた。
打撃練習では「いい打者は逆方向へ強い打球が打てる。そこを意識した」そうだが、「打った感じと感触が合わない。まだ3、40点」と、ちょっぴり不満顔。
中嶋聡監督からは「ゆっくりと上げていけ」と声を掛けてもらったそうで、「キャンプで出遅れたのは初めて。やり過ぎてけがをしても仕方がない。これもいい経験」と、プラスにとらえている。
代表取材では、インタビュー中にサプライズの誕生祝いも用意され、同期の宮城大弥がケーキを持って登場した。ともに、オフに車の免許を取得し、一緒にドライブをする仲。昨年8月に20歳になっている宮城から「二十歳の自覚を行動で示してもらいたい。僕が確認する」と突っ込まれた紅林は、「昨年よりいい成績を残し、日本一になって2人で監督を胴上げしたい」と、模範解答で返していた。
全体練習後には、「キャンプで守備をきっちりとやってきたい」と、サブグラウンドで高卒4年目の宜保翔と内野守備練習に取り組んだ。
この日は、遊撃を争うAグループの新人・野口智哉(ドラフト2位、関大)が、実戦形式のフリー打撃でバックスクリーン左へ、チーム第1号となる本塁打。中嶋聡監督が見守る中、打撃をアピールした。
また、打撃が課題の宜保も、打撃練習で柵越えを放つなど、若手選手による内野手争いは激しくなりそうだが、「プロでやっている以上、ドラフトで選手が入ってくるし、安泰というのはない。毎年、毎年、勝負だと思っている。人のことを気にせず、自分の力を出したい」と、表情を引き締めた。
チーム外にも、奥川恭伸(ヤクルト)や佐々木朗希(ロッテ)ら同世代で活躍する選手も多い。
「僕は監督に出させてもらったが、宮城も含め奥川や佐々木は、実力で勝ち取った。僕も実力で(定位置を)勝ち取りたい」。二十歳の自覚、プロとしての自覚と覚悟を胸に、3年目の本格的なスタートを切った。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)