BTS JINから生まれる新たなコミュニケーション グループに欠かせない存在である理由

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2022年03月27日 10:01  リアルサウンド

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BTS「Permission to Dance」

 BTSのJINが、日常生活において左手人差し指を負傷。緊急外来を受診し、指の腱の一部が損傷していることがわかった。現在は、無事に縫合手術を終えて退院し、自宅で安静に過ごしているとのことだ。


(関連:BTS、なぜコンサートで多くの人を魅了? JIN&J-HOPE&V&JUNG KOOKの生配信やインタビュー発言から紐解く


 BTSは、4月3日にアメリカの音楽授賞式『第64回グラミー賞』のステージ、そして4月8〜9日、15日〜16日にかけて4日間のオフラインコンサート『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE – LAS VEGAS』を予定(いずれも現地時間)。華々しいステージに向けて、早期回復を願うばかりだ。


 世界中のARMY(ファン)が心配するなか、3月19日夜にJINを除く6人がV LIVEに登場。その日、全員で会ったというJINの状態について「ARMYのみなさん、あまり心配せずに!」(J-HOPE)、「短い手術だったし、正直大丈夫です」(RM)と報告。JUNG KOOKが「(JINの)代わりにこの子が来ましたね!」と、JINが考案したBT21のキャラクター“RJ”のぬいぐるみを手にニッコリ笑って見せると、JIMINが「JINさんがよろしく伝えてと言ってました」続けた。


 これまでもBTSはメンバーのケガや病気によって、誰かが休まざるを得ない状況が何度かあった。だが、そのメンバーがいないときにこそ、いかに日頃からお互いを思い合っているのが伝わってくるのもBTSらしいところ。7人のうちの誰が欠けても成立しないと、改めて感じることのできる瞬間でもある。


 最年長でありながら、いつもいじられ役を買って出るJIN。『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE』公演では、アンコールのたびに髪飾りや被り物をつけて再登場し、ARMYを喜ばせてきた。ソウル公演の前には「もうネタがない」なんて弱気な言葉を漏らしながらも、やはりしっかりとその期待に応えてくれたのが印象的だった。


 自らツッコまれるような隙を作って、笑わせてくれる。そういう意味では、メンバーのInstagramに、積極的に絡んでいく姿もJINらしさが感じられた。J-HOPEがアップした残像を活かしたおしゃれな写真に「おかしな写真上げるなよ」なんてコメントしてみたり、Vの幻想的な風景写真に「お、ブ」「ブイ」とだけ意味深に呼びかけてみたり……。そこから、メンバー同士の会話が生まれること、そしてそのやりとりの様子をARMYがツッコんで盛り上がる。JINがいるからこそ、新たなコミュニケーションが生まれるのだ。


 また、ときには自身で「ワールドワイドハンサム」と称するなど、ナルシストな発言で楽しませてくれることも。ところが、自分で言ったあとに顔を赤くしたり、笑って見せたりとちょっと照れている様子が窺えるのもJINの愛らしさ。さらに、Instagramでもステージ裏の階段に座りクールにキメた王子様ショットから、着ぐるみを頭に装着した愛嬌たっぷりのキュートな表情まで様々な写真をアップ。なかには、大きなエビを耳に当てて「もしもし?」とボケてみせる写真も。


 “どんなツッコミもウェルカム”とでも言うようなJINの器の広さこそ、彼がBTSの中で欠かせない存在になっている理由だ。努力家で、真面目で、ともすればストイックに追い込みがちなBTSのメンバーたち。そんな弟たちにとって、少しでも息抜きができる時間を自ら作っていく、JINには年長者の余裕や愛情深さを感じるのだ。そして、その心の中をやさしく吹く風は、JINがいないときにもBTSをふんわりと包んでいるようだ。


 今回の生配信でもJINの存在を感じながらメンバーが「暖かくなってきたから油断してるときにケガしやすいと思う」(JIMIN)、「僕が思うに油断したんだ」(V)と、ツッコミを入れて、事態を深刻にしすぎない空気を作る流れがあった。このJIMINとVのやりとりに「人それぞれケガする月があるんだよ、僕は11月、12月。だから僕は年末にすごく気をつけてるよ。できるだけ何もしないようにしてる」と自分ごとに落とし込んでいったのが、BTSの次男にあたるSUGAだ。


 そんなSUGAの言葉を聞いた“黄金マンネ”こと末っ子のJUNG KOOKが、素直に「僕はいつかな?」と振り返っているのも、長男JINのもとですくすくと育った証かもしれない。さらに、しっかり者のリーダーでありながら、そそっかしい一面のあるRMが「僕は1年に10カ月くらいかな」なんて言って見せ、J-HOPEが「お前は常に気をつけて(笑)」と注意して笑いを誘うのも微笑ましい限りだ。


 JINがいないときにこそ、彼が耕してきたBTSの土壌が見えてくる。そんな風景に雑誌『GQ』でJINが「今後僕が引退をすることになったら、静かな田舎の村に住むのもいいかな」と話していたことを思い出す。そして「僕は普段から考えごとをしすぎないようにするタイプなんです」とも(※1)。


 食物を育て、釣りをして、庭にテントとバーベキューグリルを置いて、たまにパーティーをして……。まるでリアリティ番組『In the SOOP BTS ver. 』で披露した、和やかな休日のように過ごすJINの姿が思い浮かんだ。


 自然をそのまま受け入れていくこと。そして自分自身に対してもありのままを愛することの大切さを知っていること。その上で誰かを喜ばせることが好きで、その穏やかな心持ちが気づけば周囲にも影響していく。それをごくナチュラルに続けて来られたのが、JINの持つ“愛され力“と呼ばれる魅力なのかもしれない。


 BTSを取り巻く環境は、まだまだ穏やかとはいえない。24日にはJ-HOPEが新型コロナウイルスに感染したことが報じられた。それでも彼らならきっと困難を一つずつクリアしていってくれるだろうと信じることができる。完璧を目指しながらも、ツッコミを入れたり笑う隙を作り、心がいっぱいいっぱいにならないように。そんなJINが見せてくれる無理のない“頑張り方“は、閉塞的な生活を続けている私たちにも活かすことができそうだ。


※1:https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220322-bts-cover-jin(佐藤結衣)


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