『インビジブル』で炙り出される“見えざる悪” 要潤の“表裏”を演じ通す器用さに注目

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2022年04月30日 06:01  リアルサウンド

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『インビジブル』(c)TBS

 爆弾が仕掛けられたビルから窓を打ち破って川に飛び込み命拾いしたり、粉塵爆発を起こして犯人の元から逃げたりとアクロバティックすぎる飛び技の数々を見せてきた刑事・志村貴文(高橋一生)。そんな彼が、今度は犯人をプールに沈め感電させるというまさかの手段を迷いなく選択した『インビジブル』(TBS系)第3話。


【写真】何かを叫んでいる磯ヶ谷(有岡大貴)


 今回登場した凶悪犯罪者“クリミナルズ”は“演出家”。遺体をアート作品に仕立て上げ展示するという極めて悪趣味かつサイコパスな人物のようだ。演出家もとい天野役の要潤は、“表の顔”と“裏の顔”を無理なく行き来するような器用さで、このなんとも難しい人物像を立体的に見せてくれた。


 この“演出家”の完璧主義、プライドの高さを逆手にとり、彼の殺害事件の犯人として敢えて志村が誤認逮捕される展開を作り出した犯罪コーディネーターでインビジブルのキリコ(柴咲コウ)。“演出家”からすればこれは紛れもない“盗作”であり、彼のプライドを大きく傷つけ苛立たせる行為だ。この時のやりとりを見ても、志村はキリコの意図するところを瞬時に正確に汲み取り、阿吽の呼吸で連携できているのが印象的だ。


 そして凶悪犯罪を起こすクリミナルズの事件現場には必ず何らかのメッセージ性が込められているわけだが、彼らは過去にどんなことがあり、何がきっかけでこのようなことに手を染めてしまうようになったのか、そのバックグラウンドが毎回気になってしまう。


 今回の事件では、看護師とキャバクラオーナーが殺害されたが、依頼者は例によって看護師が働く病院の院長だった。ここでもキリコが言う“見えざる悪”が炙り出される結果となった。


 さらにキリコの「あなたの探しているものが見つかるかもよ」という言葉通り、“演出家”の自宅には特徴的なデザインのナイフが展示されていた。しかし、ナイフのデザイナーもしていたという“演出家”の手元に、3年前の通り魔事件で使われたナイフがあるのではないかというキリコの予言は初めて外れる。自分の目の前で後輩の安野(平埜生成)を殺めたその凶器のデザインを、何度も何度もフラッシュバックするあの光景の中で不気味に光るその鋭利なナイフを志村が忘れるはずがない。3年前の通り魔が使っていたナイフが、その当時の犯人、あるいは別の者によって“演出家”の元から持ち出されたのだろうか。パズルのピースはどう繋がり、志村をどこに導いてくれるのか。


 そういえば、“演出家”の居場所を探るためにドラッグの顧客情報をもらいに売人に接触した際に、キリコは「インビジブルはじいさんだと思っていた」と言われていた。もしかすると、キリコも元々はインビジブルではなかったが、大切な誰かをインビジブル、さらには3年前の通り魔事件と同一犯に奪われたことがあり、その復讐のために目的を共にできる志村に接近したなんてことはないだろうか。次週、いよいよこの通り魔事件の犯人に一気に近づけそうな展開が見られるようだ。


(佳香(かこ))


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