『やんごとなき一族』掘り起こされる根深い闇 渡邊圭祐×松本妃代、政略結婚の成れの果て

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2022年05月06日 06:31  リアルサウンド

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『やんごとなき一族』(c)フジテレビ

 真実の愛を貫く結婚か、家のための結婚か。究極の選択を描いた『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の第3話では、大介(渡邊圭祐)とリツコ(松本妃代)夫婦の不破と政略結婚の成れの果てが描かれる。


【写真】メガネモードの健太(松下洸平)


 健太(松下洸平)は専務として重要なプロジェクトを任されるようになる。しかしそのプロジェクトを円滑に進めるには、弟の大介が政略結婚した相手・リツコの実家であるザラスホテルグループと円満でいなければならなかった。問題の大介とリツコは愛のない夫婦。それゆえ大介は浮気を繰り返し、リツコは満たされない心に苦しんでいた。健太のプロジェクトの進行中に、大介の何度目かの浮気が発覚しリツコは離婚を決意する。佐都(土屋太鳳)はそんな大介とリツコの心を慮って離婚のため背中を押すが、それが健太のプロジェクトの足を引っ張ることにもなってしまう。


 お金はあるが愛がない大介とリツコの夫婦関係。深山家のようにビジネスが家柄と大きく関わってくると、政略結婚をしなければならないケースも実は未だに残っているだろう。しかしあまりに現代の価値観とかけ離れた大介とリツコの夫婦関係は、継続していくのが難しいものかもしれない。特に、リツコのように何不自由なく暮らせて、欲しいものはなんでも手に入る環境にもかかわらず、たった一つ、一番そばにいてほしい相手の“心”が手に入らないというのは何より苦しいことだろう。大介もリツコもお互いに愛し合おうと歩み寄ったが、結局、その気持ちが叶うことはなかった。リツコの寂しさは、お金を使ってどれだけ物を買っても拭えないものだ。大介との出会いは「一目惚れ」だったと語るリツコの切ない瞳に心が痛む。


 恋愛結婚を押し切った健太と佐都夫婦と対比のように描かれた大介とリツコ夫婦。健太と佐都の夫婦円満ぶりを見ると、愛を貫き結ばれることの充足感が身に染みる。しかし、それで終わらないのが深山家なのである。


 佐都がこの離婚劇のために圭一(石橋凌)に啖呵を切って、リツコの心を支えたことが、愛する健太にとって裏目に出てしまう。佐都が自分らしく生きることは、深山家の調和を崩すことでもあり、果ては深山家の一員として動く健太にとっても、なんらかの影響を与えてしまうのだ。


 第3話では個性と調和というものの難しさも鍵となる。健太が好きになった佐都の真っ直ぐで素直な個性は深山家とは相入れない価値観であるために、それが健太の足を引っ張ることにもなる。そんな中、健太の隣には有能な秘書であり、仕事を支えてくれる泉(佐々木希)の存在も。泉の物言いたげな目を見るにつけ、心がどうにもざわついてしまう。


 これまで個性的な価値観の一族の刺激的なシーンを描くことにフォーカスしてきた『やんごとなき一族』も、いよいよ深山家の根深い闇が掘り起こされ、真の意味での「改革」がはじまったようだ。大切なプロジェクトを外されてしまった健太と、「出て行け、二度と深山家に顔を見せるな」と圭一から怒鳴りつけられた佐都。なんとも手ごわい深山家にどう立ち向かっていくか。


(Nana Numoto)


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