風男塾、新メンバー迎えて再び7人体制に 新たな青春の1ページ目を刻んだワンマンライブレポ

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2022年05月07日 12:11  リアルサウンド

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風男塾(写真=武 裕康)

 長年、男装ユニットのパイオニアとしてシーンを牽引し、今年9月には始動15周年を迎える風男塾。4月にメンバー2人の卒業ライブを行った彼らが、5月3日・渋谷ストリームホールにて新体制での初ライブ『風男塾 LIVE 2022 〜RESUME〜』を開催した(ニコニコ生放送でも配信)。本公演には、柚希関汰、英城凛空、葉崎アランという既存メンバーに加えて、胡桃沢鼓太郎、赤星良宗、天堂太陽、凰紫丈源という新メンバーが登場。2部編成で行われたライブのうち、本稿では第1部の模様をレポートする。


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 アランのテンション高めな影アナウンスによって、開演前から期待と興奮が充満した場内。先輩たちが歌唱する楽曲(BGM)に耳を澄まし、風男塾が辿ってきた道に思いを馳せていたところで、待ちに待ったライブが開演した。ステージスクリーンに各メンバーの紹介が映し出されると、7人は1人ずつステージ中央へ。初代風男塾を彷彿とさせる制服姿で、新メンバーに関しては、少し緊張した面持ちが入学式の新入生を思わせた。それでも、オープニングナンバー「風一揆」に突入すると、すぐさま瞳に闘志が宿る。突き上げる拳に、新生風男塾として進んでいく覚悟を重ねて歌う様は、じつに堂々としたものだ。


「新たな風男塾の……幕開けだ!」


 関汰の一声から始まったのは、“あらまく”こと「新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲〜キミがいればオレたちも笑顔∞〜」。これまでも歴代風男塾の魅力を凝縮して伝えてきたこの曲は、本公演でも「俺ってイケメンですよね?」(丈源)「うん そうだねー」(アラン)というコミカルな掛け合いや、元気いっぱいな太陽のラップパートなど、7人の個性とチームワークが光る1曲に。いつもは身長の低さをいじられている関汰も、高い歌唱力とダンススキルでメンバーをリードし、大いに存在感を発揮していた。続くMCタイムでは、新メンバーの自己紹介中に凛空とアランが愛のあるガヤを入れ、歓声を上げられない風王(ファン)の分まで盛り上げる場面も。そんな先輩らしい気遣いに、加入してから約1年という早さでグループを引っ張る立場になった3人の頼もしさと努力を実感した風王も多いことだろう。


 その後も、幕開けの日にふさわしい楽曲たちが時代を越えて次々にステージに現れた。鼓太郎のあざと可愛い〈トテテテ〉や良宗のクールな〈さぁ おいで〉など、多数のキメ台詞が風王を虜にした「男装レボリューション」。やんちゃな笑顔が眩しい凛空の「行くぞー!」に煽られる中、多彩なハーモニーとフォーメーションダンスで元気を届けた「Dash&Daaash!!」。クラップの練習をしてから臨んだ「テノナルホウヘ」や懐かしの初期楽曲「17’s STAR」では、メンバーの言葉に導かれるようにカラフルなペンライトが波打ち、心地よい一体感を生み出していく。歴代メンバーたちが紡いできた風王との絆を、今一度、固く結ぶように。その一方で、低音イケボの良宗をはじめとする新メンバーの歌声が、ボーカルの幅をグッと広げ、いちだんと鮮やかに楽曲を染め上げる。171cmというグループ1の高身長・丈源が加わったことも、良い意味で7人の個性を際立たせ、パフォーマンスに新鮮な風を吹き込んでいた。


 本編中盤のMCも、すっかりお兄さんになった関汰の進行でトークが弾む。前半のMCでは少し固い表情だった太陽も、この頃には緊張がほぐれたようで「めちゃくちゃ楽しんでます」とニッコリ。丈源は「めちゃくちゃ“ちむどんどん”してます! 心が高鳴ってドンドンしてるよって意味です」と地元・沖縄の方言でコメントし、沖縄トークで盛り上げた。だが、同公演で一際大きな笑いを起こしたハプニング王はこの人、葉崎アラン。関汰が「来年はお花見ロケとかしたいね」と切り出すと、アランがレジャーシートを「レシート」と言い間違え、ニコ生の視聴者からもツッコミが入る。以前のインタビューでも「お笑い担当じゃないのに、しゃべるとなぜか笑いが起こってしまうんです」と話していた彼だが、やはり笑いの神に愛されているようだ。


 本編後半にはメンバーの特技を活かしたパフォーマンスが炸裂した。笑い溢れるステージに和太鼓の音が舞い込むと、「祭りだーーー!」という凛空の叫びを合図に、鼓太郎が和太鼓を叩きながら登場。直前までのキュートな姿からは想像もつかない、真剣な眼差しと見事なバチさばきで、風王の視線を独り占めする。また、太陽が安定感のあるソロ歌唱を響かせると、桜の花を片手に全員で「桜のYELL」を歌い踊り、桜をフラッグのように振り回して「勇気のFLAG」に繋ぐ。「勇気のFLAG」の曲中には、高身長の丈源と凛空がダイナミックな側転を繰り広げるパートもあった。前作「BLESS」のMV撮影でアクロバットに挑戦し、「俺はまた機会があったらアクションをやりたいなって思いました」と意欲を見せていた凛空にとって、この演出は大きな一歩となったのではないだろうか。


 さてここで、メンバーを代表して関汰が今の想いを語り始める。新メンバーが決定するまでの不安や葛藤、再始動が決まった喜び……さまざまな感情を整理しながら、丁寧に言葉を紡ぐ関汰。


「今、生きててよかったー!ってめちゃくちゃ感じてます。今この瞬間はみんなが、生きててよかった!って同じ気持ちになってくれたらいいなと思いながら、このステージに立ってます。みなさん、待っていてくださってありがとうございます!」


 そう言い添えて歌唱したのは、いつの時代も風男塾と風王を繋いできた「同じ時代に生まれた若者たち」だった。マイクスタンドにかぶりつくように全力で歌う7人の気迫が、画面越しにも伝わってくる“おなじだ”から一転、続く「青春」では、爽やかな笑顔でアイコンタクトを交わすメンバーたち。かつて涙を堪えながら先輩を送り出した卒業ソングが、新たな仲間を迎え、新生風男塾の青春の1ページ目を彩っていく。アランのラップパートも、いつも以上に軽快だ。そんなアランが、間奏中、「青春」が既存メンバーにとって初めてMVを撮影した楽曲であることを話し始めると、3人は「あの時も今と同じ7人でした!」(アラン)、「今日は俺たち3人にとっても、新たなスタートの日です!」(凛空)、「これから、この7人で風男塾の歴史を繋いでいきます。応援よろしくお願いします!」(関汰)とリレーのように宣誓。本編ラストは、1カ月という短い期間ながらも、7人で必死に準備してきた日々を束ねて「七色の鳥」を歌い上げた。


 さらにアンコールでは、6月22日にリリースを控える最新曲「Hello Hello」を初披露。〈TikTok〉や〈バーチャル〉など、現代ならではのワードを散りばめながらも、風男塾らしい明るい応援歌が飛び出した。そして、全員の挨拶を挟むとラストナンバー「いい男」へ。憧れの風男塾の一員になるという夢を叶えたメンバーや、dreamBoat研究生からチャンスを手にしたメンバーなど、さまざまな経歴の7人が肩を組みながら楽しそうに歌う姿が微笑ましい。その姿を見ていたら、MCで凛空が語った「こんなに素敵な4人が入ってくれて、最強で最高の同期がいて、まだまだ大丈夫だなって、これからだなって思いました!」という言葉が、スッと心に染み込んできた。そう、彼らの青春はまだ始まったばかり。先輩たちもそうであったように、メンバー一人ひとりが自分だけの色を見つけ、最高を更新していくことで、風男塾はどこまででも高く飛べるのだ――。最後に清々しい笑顔で「ふっばーい!」と手を振り、立ち去る7人の背中が、少し大きく見えた公演だった。(斉藤碧)


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