堀田茜が救われた『インビジブル』のチームワーク 男勝りなキャラは素の自分とフィット?

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2022年05月13日 06:01  リアルサウンド

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堀田茜『インビジブル』(c)TBS

 金曜ドラマ『インビジブル』で、TBS連続ドラマ初レギュラー出演中の堀田茜。高橋一生演じる主人公の志村を慕う刑事・五十嵐夏樹役を演じている。今回、堀田茜へのインタビューでは、初の刑事役、五十嵐の男勝りなキャラクターを演じる上での役作りや、「100%は楽しめていない」と明かす俳優業への今の感覚について話を聞いた。(編集部)


【写真】堀田茜アザーカット


■役作りは「兄とケンカした時を思い出すように」


――これまでの撮影で、印象的だったシーンを教えてください。


堀田茜(以下、堀田):第1話の渋谷の爆破は印象的でした。実際に渋谷で撮影したわけではなくて、ちょっと都心から離れたオープンセットで撮影したのですが、自分たちも渋谷にいるんじゃないかと錯覚するくらいの規模感で、エキストラさんの数も多くて。出来上がった映像を観たときは「こうなるんだ」とCGのすごさに驚きましたし、そのリアリティにちょっと怖くなるところもありました。あとは、第2話の調教師というクリミナルズの回で、小麦粉が爆発した別荘でのシーンもよく覚えています。初めて拳銃を持ったり、手錠を使ったり、装備品を扱うシーンだったので、「しっかりと刑事役としての務めを果たさなきゃ」と背筋が伸びましたね。


――初の刑事役を演じるにあたって、どんな準備をされましたか?


堀田:男社会で生きるかっこいい女性を演じたいなと思い、まずは姿勢を意識するようにしました。それから最近キックボクシングを始めたのですが、キックボクシングをやると自分の中の野性が目覚めるというか(笑)。アグレッシブな気持ちになれるし、ヨガやピラティスとはまた違ったアプローチで筋肉をつけることができるので、少しは役に立つかなと思って回数を増やしました。


――ふだんよりも眉毛がキリッとした印象に見えますが、メイクにもこだわりが?


堀田:初めて気づいてもらえて、すごく嬉しいです(笑)。いつもは髪の毛と一緒に眉毛を染めていますが、今回はちょっと眉毛を染めずにいってみようかなと。気持ち的にもキリッとした感じで、野暮ったさが出るといいなと思ってトライしてみました。


――五十嵐夏樹というキャラクターに、裏設定などはありますか?


堀田:最初に夏樹のキャラクターを聞いたときに、プライベートの自分とフィットするところがたくさんあるなと感じました。夏樹は少年漫画が好きなんですけど、私も兄から影響を受けて『週刊少年ジャンプ』(集英社)を読んでいたり、漫画が好きでした。男勝りで勝ち気なところも素の自分と同じなのですが、あまり見せないようにしていた部分でしたので、兄とケンカした時を思い出すようにしました。頭が切れるキャラクターですし、セリフも一つ一つ意志が出るように意識しながら演じています。


――まわりからの反響はいかがですか?


堀田:「今までとは違うキャラクターで新鮮」と、よく言ってもらえます。“女性らしく”とか“上品に見えるように”と、気にしなくていいので逆にこっちのキャラクターの方が演じていてラクだったりもしますね(笑)。


――他の現場にも影響がありそうですね。


堀田:雑誌の撮影では、スカートを履いたら足を閉じて“ガーリーに”という見せ方をすることが多いのですが、そういった時にも足を閉じなくなってしまったり、座り方が少し雑になってしまったというのは、感じたことがありますね(笑)。


――(笑)。夏樹を演じる上で、監督からのリクエストは?


堀田:本当に一言一言、その場で調整していただいています。夏樹は志村さんへのリスペクトがすごくあるキャラクターなんです。志村さんの向こう見ずに事件に飛び込んでいくところとか、居ても立ってもいられなくて自分で捜査してしまう熱っぽさみたいなエキスをきっと夏樹も継いでいるんだろうなと思いましたので、そういうところを意識しないといけないなと思っています。


――高橋さんのお芝居を参考に、ご自身に取り入れる部分が多い?


堀田:そうですね。でも、まったく同じにするのではなくて、そのエキスを自分の中に落とし込んだときに「このセリフを(夏樹が)言ったらどうなるかな」という感じで挑んでいます。


■「向上心を忘れずにお芝居を楽しめる」


――有岡さんから「高橋さんのアドリブに反応して臨機応変に動く」というお話を聞いて、かなり鍛えられる現場なのかなと感じました。


堀田:最初の頃に「あ、その場で作っていくものなんだ」と感じたシーンがあって、それは衝撃だったというか、びっくりしました。でも本当に勉強になりますし、たしかに鍛えられる感じもありますね。私達も最後にどうなるのかはまだわからないですし、原作のないオリジナル作品の魅力ってこういうところなんだな、とも感じています。


――主演の高橋さんと、共演シーンが多い有岡さんの印象も聞かせてください。


堀田:高橋さんはその役と向き合って、動きや言葉をしっかりと話し合いながら作っていく姿が印象的で、刺激を受けています。有岡さんは、テレビで見る印象と本当に変わらないです。飾らないし、誰にでもフランクに話しかけて場を盛り上げてくださいますし、ちょっと天然なところが垣間見えるところが磯ヶ谷そっくりだなと思いながら、いつも楽しく撮影させてもらっています。


――高橋さんへの尊敬は、志村を慕っている夏樹と共通する部分ですね。


堀田:それはすごくありますし、やりやすいです。高橋さんも本当に素敵な方なので。しかも、悩みを言うと、「じゃあ、これをやるといいよ」と解決策を教えてくださって、現場のみんなが助けられていると思いますね。とことん詰めるところは詰めるという姿勢が、志村そっくりだと思いますね。


――物語は緊迫感がありますが、カメラが止まった瞬間は和気あいあいと?


堀田:緊迫感も大事にしつつ、空き時間とか待ち時間にはオフモードになって、「昨日は何時間寝れた?」とか「今日は何食べた?」とか、リラックスできる話をみんなでほんわかしています。


――チームワークがそこで築かれていると。


堀田:そうかもしれないです。ムードメーカーが多くて、桐谷(健太)さんも面白いですし、(原田)泰造さんも有岡さんもたくさんお話ししてくださる方なので。初めての刑事役で緊張していたので、すごく救われました。


――俳優としての活動が増えている“今”と“俳優を始めた頃”では、お芝居に感じる面白さに違いはありますか?


堀田:全然違いますね。もちろん面白いですし、やりがいしかありませんが、まだ心底楽しめるところまではいっていなくて。それは緊張もありますし、「もっとこうすればよかった」という後悔もあるので、自分が納得いく地点までは辿り着けていないという意味で。俳優を始めた頃はその意識がもっと強くありました。緊張したまま気がついたら終わっていたり、役に入り切れずに終わってしまったり。でも今は、それが少しずつ減ってきていると感じますし、楽しめる分量も徐々に増えてきています。ただ、満足できない状態が一生続くことは、向上心を忘れずにお芝居を楽しめるということなのかなとも思うんです。100%は楽しめていない、今の感覚が心地よくもありますね。


(取材・文=nakamura omame)


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