ちょっと未来の私へ。多発性骨髄腫患者さんの想いを伝える「こころレター」

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2022年05月19日 17:10  QLife(キューライフ)

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(ヤンセンファーマ提供)

 血液がんの一種である多発性骨髄腫の患者さんを対象にした「こころと話そうプロジェクト」の発表イベントが3月24日に開催されました。製薬会社のヤンセンファーマが推進するこのプロジェクトは、多発性骨髄腫患者さんが自分の想いや将来の希望を「こころレター」にしたためて少し未来の自分へ送り、自身でそれを受け取れるというもの。

 イベントには、近畿大学医学部血液・膠原病内科教授の松村到先生、夫婦漫才コンビ「宮川大助・花子」の宮川大助さん、多発性骨髄腫患者さんの3名が登壇しました。

長期の治療生活、自分らしさを大切に

 多発性骨髄腫は形質細胞という免疫にかかわる細胞ががん化することで発症する血液がんです。現在の医療では完治が難しいとされていますが、近年、治療法の進歩により1990年代と比較すると2000年代の生存期間が約2倍に延びています1) 。一方、患者さんは症状がよくなったり悪くなったりを長期にわたり繰り返す治療生活を余儀なくされています。


松村先生(ヤンセンファーマ提供)

 ヤンセンファーマの事前調査から、65%の患者さんが治療をするうえで、「医師の意見を取り入れ、自分自身で治療を決定したい」、「医師と一緒に治療を決定したい」、「自分の意見も取り入れ、医師に決定してほしい」という意向を持っていることが明らかになりました。また松村先生も「治療には医師と患者のコミュニケーションが大切」とし、患者さんが納得して治療を続けるために、治療への要望を積極的に周囲に伝えてほしいことを強調しました。

 そこで、患者さんが自分の希望や意見を言葉にする第一歩として、自分にあてて手紙を書くことを提案したのがこのプロジェクトです。実際にこころレターをしたためた多発性骨髄腫患者さんは「自分の想いを文字にすることで、自分が何を大事にし、望んでいるのかがはっきりしたと思う」と語りました。

こんなに苦しい思いをしてるんや、負けてたまるか!

 イベントに参加した漫才師の宮川大助さんは、相方であり妻である花子さんの闘病生活について話されました。花子さんは発症当初、首から下がマヒし、危険な状態だったそう。闘病生活が始まってからは、夫婦のありがたさや日々一緒に過ごせていることの幸せを感じ、今は1日も長く生きていてくれることが喜びだと語りました。


宮川大助さん(ヤンセンファーマ提供)

 花子さんがしたためた「こころレター」も紹介されました。辛い闘病生活を乗り越え、1か月後の自分はきっと体験談を大勢の前で語っているだろう、と治療に前向きに取り組み生活を楽しんでいる様子を想像する内容でした。

 また、花子さんからは多発性骨髄腫患者さんへ向けて励ましのメッセージも寄せられました。

 「自分の身体を、人生を粗末にしてはいけない。多発性骨髄腫と向き合うことははっきりしている。負けるわけにはいかない。闘っていこう。励まし合おう!こんなに苦しい思いをしてるんや。負けてたまるか!」

 言葉にするのが難しいと感じる方でも、自分あての手紙なら、想いを素直に表現できそうです。手紙を読み返して自身の希望を再確認すれば、きっと周囲に伝えることもできるようになるでしょう。よりよい治療の第一歩へ、こころレターの取り組みをご紹介しました。(QLife編集部)

1)Suzuki K.: Jpn J Clin Oncol. 2013; 43(2):116-124.

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