悔しさを感じつつバトルを通じ自信を深めた勝田貴元。ラリー1では「左足ブレーキを多用」/WRC

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2022年05月25日 12:21  AUTOSPORT web

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WRC第4戦ポルトガル終了後、ドライバーズランキング3番手につけている勝田貴元(TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーション)
5月19日から22日にかけてポルトガル北部の大都市ポルトを中心に開催された、WRC世界ラリー選手権第4戦『ラリー・ポルトガル』において、2022年シーズンの自己ベストリザルトに並ぶ総合4位となった勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)。このラリーでベテランのダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)と3位表彰台争いを繰り広げた日本人WRCドライバーの彼は、「難しい週末ではあったものの、4日間を通して安定した走りができました」と今大会を振り返った。

 今季第4戦として開催されたラリー・ポルトガルは、プラグイン・ハイブリッドシステムが搭載された“ラリー1”規定に基づく新型ラリーカーで争われる最初のグラベル(未舗装路)イベントとして今月19日(木)に戦いの火蓋が落とされた。

 その初日を総合7番手で終え、翌20日(金)には総合4番手に順位を上げた勝田は21日(土)のデイ3で総合3番手に浮上。トヨタのチームメイトであるカッレ・ロバンペラ(総合優勝)、エルフィン・エバンス(総合2位)とともにワン・ツー・スリー体制を築く。しかし競技最終日となったデイ4、勝田は4番手ソルドの猛追を受け、最終ステージで逆転を許してしまい総合4位でのフィニッシュとなった。

 週明けの24日(火)にオンライン取材に答えた勝田は、「全ドライバーにとってラリー1カーでの初のグラベルラリーとなりましたが、そのなかで4日間をとおしてある程度安定した走りができ、競争力のあるタイムを出せたステージもあった一方で、トップとの差を見てもやや離されすぎたステージもあったりして、なかなか難しい週末ではあったものの、大きなトラブルもなくクルマもどのステージでも安定したいいパフォーマンスを発揮できていたと思うので、それが好成績につながったと思います」と自身の戦いを総括した。

 印象的な3位表彰台争いの結果については、自身の力が不足していたことを「悔しい」としながらも、最終日だけでなく週末を通じてバトルが続いたなかで「クルマをゴールまで運べたというのは、自分にとっても自信に繋がりました」と述べている。

「個人的には表彰台に上がりたかったという気持ちが大きかったです。土曜のデイ3で総合3番手に上がって、いい流れではあったのですが最終的には2.1秒という差で最終ステージで逆転されてしまい4位となりました」と語った勝田。

「戦っていた相手が経験豊富なダニ・ソルド選手。彼は過去14〜5年ラリー・ポルトガルに参戦しており、最終ステージの“ファフェ”についても知り尽くしているドライバーです。そんな選手が大きなリスクを負ってプッシュしてきたときに対抗できなかった。自分の力不足が少し悔しい気持ちのひとつです」

「ただ、この週末を通してコンマ何秒という差で戦い、最後までクルマをゴールまで運べたというのは、自分にとっても自信に繋がりましたし、ひとついいパフォーマンスを前戦のクロアチア(総合6位フィニッシュ)と比べて発揮できたと思います。ですが、個人的にはまだペースを上げられる部分があると思うので、そこは自分の今いる立場を考えた上でどこまでリスクを負っていいのか、どこまでプッシュしていけるのかを見極めながら今後やっていきたいと思います」

■ラリー1初のグラベルラリー、ドライビングとセッティングでアジャスト

 前述のとおり、今戦はハイブリッドの搭載が義務化された“WRC新時代”に登場したラリー1カーでの最初のグラベルラリーとなったが、その走らせ方は昨年までのWRカー(トヨタ・ヤリスWRC)と比べてどのような点で異なるのか、これについて問われた勝田は次のように説明している。

「昨年の車両(WRカー)と比べると、どうしても重さだったりクルマの大きさもそうですし、グラベルの上での挙動はやはり変わってきた部分が大きかったです」と勝田。

「それに対してドライビングでアジャストする部分はもちろんあり、またセッティングの部分でもたくさんありました」

 新規定車であるラリー1カーは、マシンの開発および製造コストを削減する観点からパドルシフトやセンターデフの使用が禁止されている。今戦の結果、ドライバーズランキングで3番手に浮上した勝田によれば、この点もグラベルラリーにおけるドライビングスタイルに影響しているという。

「(GRヤリス・ラリー1で)ラリー・ポルトガルを走った上で昨年以上に思ったのは、ヤリスWRCよりも左足ブレーキを多用しないといけないかな、ということです」

「そこはやはりセンターデフがなくなった分をドライビングで補う。ペダル操作などでグリップを稼いだり、クルマの挙動を安定させたりとか、そういったところをこれまで以上に意識して多用しないといけないかな、と感じました」

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