新型Zの初優勝をCRAFTSPORTS Zが達成。千代&高星も揃ってGT500初優勝【第3戦決勝レポート】

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2022年05月29日 19:00  AUTOSPORT web

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写真2022スーパーGT第3戦鈴鹿 前戦の大クラッシュから復活し、GT500クラスを制した千代勝正と高星明誠(CRAFTSPORTS MOTUL Z)
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 前戦の大クラッシュから復活し、GT500クラスを制した千代勝正と高星明誠(CRAFTSPORTS MOTUL Z)
 5月とは思えぬ酷暑のコンディションで開催された2022年のスーパーGT第3戦、鈴鹿サーキットでのGT500クラス決勝は、まさに“筋書きのないドラマ”を演じ切った3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正と高星明誠が、フルコースイエロー(FCY)やセーフティカー(SC)の入り乱れる大混戦を制して今季初優勝。ファンを凍りつかせた第2戦富士での大クラッシュを乗り越え、高星が最高のカムバックを果たすとともに、今季デビューの新型ニッサンZ GT500も初勝利、そしてニッサン/ニスモとしても鈴鹿4連勝を成し遂げた。

 同じく快晴のもと争われた土曜予選日に続き、全国的に季節外れの真夏日となった日曜は、三重県鈴鹿市も午前から強い日差しが照りつけグングンと気温が上昇。午後の決勝は例年どおりの300km勝負ながら、ドライバー、マシン、そしてタイヤにとっても厳しい条件でのレースが予想された。

 前日土曜の予選時でも路面温度が45度に達したなか、新型Zの車両特性と暑さを好むミシュランタイヤのキャラクターが合致し、前戦の大クラッシュから奇跡の復活劇を遂げた3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zと、ヨコハマタイヤを装着する19号車WedsSport ADVAN GR Supraがポールポジション争いを展開。最終的に19号車WedsSport ADVANの国本雄資がGT500で初の最前列を射止めるとともに、チームに第2戦富士に続く連続ポールをもたらした。

 そこに割って入ったのが同陣営内でブリヂストンを履く37号車KeePer TOM'S GR Supraで、宮田莉朋がミスを挽回する意地の連続アタックでフロントロウを確保。3号車を挟んで2列目4番手にはダンロップタイヤ装着の16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが続くなど、タイヤメーカー4銘柄が混在する上位グリッドに。

 スタートから各社、各陣営が選択したタイヤのロングラン性能がどう推移するかはもちろん、ここ鈴鹿で無類の強さを誇った先代GT-Rの遺産を受け継いだZと、ラップタイムに寄与するコース前半区間で明らかに性能向上を果たしたGRスープラ、そして決勝コンスタントラップと燃費性能に定評があり、レースで確実に上位進出を果たしてくるNSX-GTがどう戦うか。多くの要素が絡み合う勝負が期待された。

 天気予報どおり、13時10分のウォームアップ走行開始時点で路面温度は40度を超えてきたが、ここでGT300車両で大きなクラッシュが発生したことで、走行開始わずか12分ながら赤旗掲出からセッション終了に。

 前日のトラブルにより予選未出走となっていた38号車ZENT CERUMO GR Supraは、エンジン換装から3周ほどの走行と満足いく作動確認ができず。その他の陣営ともにこのセッションでのタイヤを見て、決勝に向けた戦略策定とその判断を下す材料が乏しい状況となってしまった。

 破損したガードレールやコース設備復旧作業を進め、10分遅れでスタート進行が開始され、GT500各車は14時40分にフォーメーションラップへ。2周を経て気温30度、そして路面温度もついに50度に達するなかスタートが切られた。

 するとやはりグリップ発動の早いミシュランタイヤの特性を活かし、3番手のCRAFTSPORTS千代勝正が早々と仕掛けてターン1、2で37号車KeePerのサッシャ・フェネストラズをオーバーテイク。続いて首位の19号車WedsSport ADVAN国本に迫ると、130Rのイン側から鮮やかに前へ抜け、オープニングラップで早くも首位浮上を果たす。

 その後方でも動きがあり、シケイン進入でKeePerフェネストラズがアウト側から19号車を捉えて2番手へと復帰。さらに5番手発進だった17号車Astemo NSX-GT、松下信治が1コーナーで16号車Red Bull MOTUL MUGENとの同門対決を制して4番手へ、続くシケインで19号車も捉えて3番手に上がって来る。

 するとその直後、7番手からスタートを切った12号車カルソニック IMPUL Zが突如スローダウン。逆バンクでマシンを止め、ここでFCYが宣言される。

 迅速な車両回収を経て4周目にFCYが解除されると、16号車Red Bull MOTUL MUGENの笹原右京が4番手を取り戻すとともに、決勝前のグリッドへの試走時点で黄旗区間での追い越し検証となっていた36号車au TOM'S GR Supraにドライブスルーのペナルティが言い渡される。

 中団では9周目にGT300車両のバックマーカーで混み合う裏ストレートで、クラス最大46kgのサクセスウエイト(SW)を搭載する14号車ENEOS X PRIME GR Supraが、前を行く39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraを捉えて6番手へ。スタートドライバーの山下健太はさらに5番手の19号車に迫っていく。

 すると11周目には、最後尾から追走を期した立川祐路の38号車ZENTのエキゾーストから白煙が上がり、S字で早めの判断からマシンを止めることに。同時にGT300クラスでもアクシデントが発生したことから、今度はSC導入となる。

 ホームストレートでの隊列整理を経て15周目にレースが再開されると、レース距離3分の1となる17周目を終え、4番手の16号車Red Bull MOTUL MUGENや8号車ARTA、そしてペナルティで最後尾に下がっていた36号車auが同時にピットへと入ってくる。すると、大湯都史樹に後退した16号車はピットアウト時のクラッチミートでバランスを崩し、あわや……の場面を演じてしまう。

 続く周回では37号車KeePerが35.7秒の静止時間で宮田莉朋へ。同じ周回では64号車Modulo NSX-GTが、翌21周目には17号車Astemoが30.6秒で塚越広大へ、さらに23号車MOTUL AUTECH Zもと、各車が立て続けに“ミニマム”の戦略で入ってくる。

 そして22周目には首位の3号車CRAFTSPORTSが30.0秒のピットタイムで高星明誠をコースに送り出し、実質的に首位をキープ。折り返しの27周目を過ぎ、最後までステイアウトを選択していた39号車DENSOが中山雄一へスイッチすると、17号車Astemoの前となる3番手で復帰したところで、この日2度目のFCYが宣言される。

 ここで表彰台圏内にポジションを上げたかった39号車DENSOだが、直後の28周目にFCY解除となると、やはりアウトラップのグリップ発動に苦しんだ中山はスプーンカーブで17号車Astemo、37号車KeePerにも前に出られてしまう。

 首位を行く3号車CRAFTSPORTS高星は30周時点で18秒ものマージンを築き、後続をジリジリと引き離す。その一方でトップ10圏内を争う23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生は、FCY解除のタイミングでGT300車両と接触し右フロントカウルにダメージを負いペースを上げられず。34周目には6番手走行中だった16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが2度目のピットへ。依然として50度を維持する路面温度により、サバイバル戦の様相を呈してくる。

 レース終盤に向かおうかという40周目を前に、3回目のピットを出た16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがヘアピン手前でGT300クラスの車両と接触しクラッシュ。FCYから2度目のSCランへと切り替わり、これで各車のマージンが再びリセットされる展開に。

 42周目の隊列整理を経てレースは残り9周で再開。10秒以上あったリードを失った3号車高星は後続を牽制しながら日立Astemoシケインでスパート。たった1周で2.815秒のマージンを稼ぎ出す。

 ここで決着のついた勝負は、その後も5秒前後のギャップを保った3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zが前戦の大クラッシュからドラマチックな復活劇を演じての完全勝利。千代はもとより、事故の当事者だった高星にとってはレーシングドライバーとしての完全復調も証明するGT500初優勝となった。

【追記】レース終了後、18時45分に公開された暫定リザルトで23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生に対して「FCY中の追い越し」により、競技結果に対して40秒が加算された。
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