大阪カジノ「住民投票」賛同署名が法定数超えも、維新・松井&吉村は投票実現阻止へ! 都構想では「究極の民主主義」と言っていたのに

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2022年05月29日 22:20  リテラ

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リテラ

日本維新の会HPより

 吉村洋文知事・松井一郎市長の維新コンビが暴走を繰り広げている大阪カジノに対し、府民の民意が示された。カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の賛否を問う住民投票の実施を求める署名運動が25日に活動期間を迎えたが、署名運動をおこなう市民団体は26日、住民投票実施の条例案を吉村知事に直接請求するために必要な法定数約14万6000筆を超える15万7716筆の賛同署名が集まったと公表。現在、署名の回収・確認作業がおこなわれているというが、27日には18万3719筆とさらに増加している。



 大阪カジノをめぐっては、松井市長が2016年に「カジノに税金は一切使いません」などと説明していたにもかかわらず、昨年12月になってカジノ建設予定地の夢洲の土壌汚染対策費790億円を大阪市が全額負担すると発表するなど、市民・府民を欺きつづけている。こうした横暴な姿勢に対し、今回、府民は「住民投票によってカジノ誘致の賛否を府民に問うべき」と突きつけたのだ。



 ところが、住民投票の賛同署名が法定数を超えたことについて26日の定例会見で問われた松井一郎・大阪市長は、さっそく、この示された民意を否定する発言をおこなったのだ。



 今回の結果について毎日新聞の記者から質問を受けた松井市長は、「やっぱり(大阪カジノに)反対の方もいるんだろうなとは思う」と言い、「もう議会の議決を得て国に申請しているわけですから、そういうみなさんがいま懸念されている問題点、リスクをしっかりヘッジしながら進めていきたい」と発言。さらに記者が「国への申請に与える影響についてどう考えているか」を問うと、こんなことを言い出したのだ。



「影響? いまはもう事務的手続きで国といろいろやっていますから、そういうみなさんの思いというものはしっかり受け止めますけども、手続きになんらかの影響を与えるということにはならないと思います」



 府民は住民投票の実施を求めていることが示されたのに、「影響はない」と言い切る──。挙げ句、松井市長はこうも述べた。



「手続きとしては、議会制民主主義のなかで議決をいただいて物事を動かしていくというのが、我々に与えられている使命」



 ようするに、松井市長は今後、吉村知事に住民投票実施の条例案が直接請求されても、府議会で過半数を占める維新ならびに公明党の“数の力”によって否決すればいい、と考えているのだ。



●「大阪都構想」では住民投票を「究極の民主主義」と言い2度も強行したくせに



 ふざけるのもいい加減にしろ、という話だろう。というのも、松井氏と維新はこれまで、「大阪都構想」の賛否を問う住民投票について「究極の民主主義」と言い、2度にわたって住民投票を強行してきたからだ。



 実際、2015年の「都構想」住民投票の告示日の街頭演説で松井氏は「大阪の役所の仕組みをみなさまの一人ひとりの意思で変えたい。究極の民主主義で大阪は変わっていける」と発言し、否決の結果が出たときも「(市民が)本当に悩んで判断した結果。この結果を真摯に受け止める。究極の民主主義で決まった」と述べていた。



 にもかかわらず、松井氏は否決されてわずか5年しか経っていない2020年に、またも「都構想」住民投票を推進。同年8月におこなわれた大阪市と大阪府の臨時議会では、コロナ感染防止のために住民説明会などの説明の機会が十分持てないことから住民投票の強行に反対の声があがったが、ここでも松井氏は「大阪の未来をみなさんに判断いただく究極の民主主義だから、住民投票は現時点では11月を目指しておこないたい」と強行。こうして100億円超の公金がつぎ込まれた2度にわたる住民投票が実施されたのだ。



 ところがどうだ。現時点で20万人近い府民が住民投票によって大阪カジノ誘致の賛否を問うべきだという民意を示すなか、住民投票を「究極の民主主義」と強調してきた張本人である松井氏は歯牙にも掛けず、住民投票実施の条例など府議会で潰してしまえ、という姿勢をあらわにしたのである。



 松井氏といえば、2019年にもTwitterで〈憲法を改正するか否かは、究極の民主主義である国民投票で判断されるもの〉などと投稿していたが、民意を無視しようとする今回の態度をみればわかるように、松井氏は都構想や改憲といった自分たちが推進したいものにだけ「究極の民主主義」という言葉を用いているだけで、実態は徹底して民主主義を軽視しているのだ。



●カジノ賛否を問う住民投票を求める府民の声を無視し封じ込めようとする維新の横暴



 そもそも、松井氏率いる維新は、今回の署名運動に対して嫌がらせのような行動にまで出ていた。というのも、署名運動の活動期限だった25日に市民団体側は17時から阿倍野区の天王寺駅にほど近いあべのキューズモール前で「これまでの集大成」として署名ステーションを設置したのだが、これに対して維新は、署名ステーションから徒歩5分ほどの場所にある天王寺MIO前で、休日でもない平日だというのに17時から街頭演説会を実施。なんと吉村知事まで駆けつけたのだ。どう見ても署名活動への嫌がらせとしか思えないが、嫌がらせも虚しく署名数が法定数を超えると、今度は「影響はない」などと言い放ったのである。



 維新にとって「1丁目1番地」である都構想については「究極の民主主義」と掲げて住民投票を2度も強行しておきながら、法定数を超える府民の署名を集めた大阪カジノ誘致の賛否を問う住民投票の実施は議会の数の力によって否決しようとする──。このご都合主義の二枚舌こそが、松井氏ならびに維新の本質・実態なのだ。



 もちろん、この松井氏と維新の蛮行を伝えることこそ、メディアの責務だ。吉村知事による新型コロナの失策によって大阪府のコロナ死亡者数は全国の都道府県ではじめて5000人を超えたが、なおも吉村知事の責任を徹底追及する報道はほとんどおこなわれていない。一方、今回の署名運動についても、在阪メディアは活動期限を迎えるまでほとんど報じようとしなかった。しかし、それでも法定数を超える署名が集まったという事実は、府民の大阪カジノに対する関心の高さをよく表している。この民意を、維新ならびに在阪メディアがスルーすることは、けっして許されないだろう。


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  • 大阪都構想の時は、2度も住民投票をしたくせに。
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