保護者に進路を反対されたら…?「やりたいこと」をあきらめないための考え方と対処法

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2022年06月07日 00:11  スタディサプリ進路

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スタディサプリ進路

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「行きたい学校があるのに、保護者に反対されている…」「あこがれている職業の話をしたら、保護者に全否定された…」「保護者が決めた大学しか認めないと言われている…」

保護者に進路選択を反対されて悩んでいる人は意外と多いのでは?

そこで、保護者の反対を乗り越えて進学した先輩たちに、高校卒業後の進路について保護者から反対された理由、エピソード、説得方法を聞いてみたよ。

さらに、教員歴37年の進路指導のエキスパート、龍谷大学高大連携推進室の堀浩司先生にアドバイスをもらった。


【今回教えてくれたのは…】
堀 浩司先生

出典:スタディサプリ進路

滋賀県の公立高校(守山高校、草津東高校など)で教員歴37年。
「行き先指導ではなく生き方指導」「家から近い大学ではなく夢から近い大学」などを大切にした、3年間の体系的な進路指導を推進。
現在は、龍谷大学高大連携推進室フェロー、旺文社 蛍雪アドバイザー、さんぽう外部講師としても活躍中。

保護者が進路選択に反対するのはどんなとき?

大学生の2割が保護者に進路を反対されたと回答

スタディサプリ進路が大学生309人にアンケート調査を行ったところ、「高校卒業後の進路について保護者から反対されたことがありますか?」という質問では、約2割の人が「保護者に進路を反対されたことがある」と答えている。

保護者に進路を反対されたら…?「やりたいこと」をあきらめないための考え方と対処法
出典:スタディサプリ進路

※2022年4月スタディサプリ進路調べ 大学生309人にアンケートを実施

保護者に進路を反対された理由は?

高校卒業後の進路について保護者に反対されたことがあると答えた67人に、進路を反対された理由を聞いてみると、

保護者に進路を反対されたら…?「やりたいこと」をあきらめないための考え方と対処法
出典:スタディサプリ進路

※2022年4月スタディサプリ進路調べ 大学生67人にアンケートを実施(複数回答あり)

保護者が進路を反対する理由として、圧倒的に多かったのが「お金がない」という経済的な事情。

高額の学費が出せないから国公立大学や学費のかからない学部学科を選んでほしい、ひとり暮らしをする生活費が出せないから自宅から通える学校にしてほしい、といった高校生には反論できなそうな理由が多い。

その一方で、子どものことを心配するあまり、進路を反対する保護者も少なくない。
★from堀先生★

「保護者が進路を反対する理由としては、

・経済的に厳しい

・子どもを手元に置いておきたい

・子どもの発想があまりに幼稚で視野が狭い


などが挙げられます。

経済的な理由の場合、保護者から具体的な金額を示されないまま、漠然と『お金のかからない学校にしてね』と言われ、どこまで出してもらえるのか判断に困っている高校生もいるようです。

ひとり暮らしを反対する保護者は、純粋に子どもの安全面や生活を心配しているケースが多いのですが、なかには保護者が子離れできていないケースもあります。

保護者が特定の大学や学部学科を勧めたり、なりたい職業について反対したりするのは、子どもが見えていない社会の現実や厳しさを、先輩社会人の立場から「大人」としてアドバイスする場合が多いでしょう。

その一方で、大学の知名度や偏差値などに対する保護者の思い込みや偏見が原因のケースも一部にはあります。

いずれにしても、保護者は子どものためを想って意見を言っていることが多いと理解してほしいですね」
★Real Voice★ 進路を反対されたエピソードで一番印象的なのは?(友人知人の話もあり)

・「友達が国公立大学の前期試験を受けた後に、まさに自分の学びたいことが学べる専門学校を見つけたが、保護者に大学を卒業してから行きなさいと専門学校進学を反対されていた」(18歳女子・鹿児島)

・「偏差値の低い大学で特待生を狙っていた私に対して、母親から、良い学習環境に身をおいてほしいから偏差値の高い大学を目指すように言われた」(18歳女子・愛知)

・「将来なりたい職業を母に伝えたら、その仕事はお金が稼げないと反対された」(18歳女子・千葉)

・「医薬系の学部は学費が高いので、私立大学の併願を保護者に許可してもらえず、やむを得ず国公立大学のみを受験した」(18歳男子・千葉)

・「第一志望の大学に合格したが、地方でひとり暮らしをしないといけないため、反対され、合格を辞退して浪人した」(18歳女子・東京)

出典:スタディサプリ進路

保護者との話し合いの前にどんな準備をしたらいい?

保護者に進路を反対された人は、その後どうした?

スタディサプリ進路が大学生309人に「保護者に進路を反対された人は、その後どうしましたか?

そのような経験がない人は、もし保護者に反対されたらどうしますか?」と聞いてみると、約8割の人が「保護者と相談した(相談する)、説得した(説得する)」と答えている。

なかでも、「保護者を説得して、自分の意見を通した(通す)」が35.%で最も多く、次いで、「保護者と相談して、お互いの折衷案を取った(取る)」が33.%、「保護者と相談して、保護者の意見に従った(従う)」が12.3%だった。

どうやって保護者を説得・相談すればいい?

保護者に進路を反対されたとき、保護者を説得した、あるいは相談した、と答えた人に、どうやって説得・相談したのか聞いてみた。
★Real Voice★ どうやって保護者を説得・相談しましたか?

・「大学に入ったらアルバイトをしてできる限り自分で払えるものは払うし、奨学金も自分で返済するから、と必死に言い続けた」(18歳女子・千葉)

・「なぜその進路を選んだのか、きっかけ、将来何をしたいのか、どうやって実現するのかを語り、説得した」(18歳女子・愛媛)

・「自分の人生だから、自分の好きな選択をして、後悔のないようにしたいと説得した」(19歳男子・兵庫)

・「ひとり暮らしを反対された友人は、こまめに連絡を取って現状の報告をするという条件で許可を得ていた」(18歳女子・岡山)

・「自分の学力に相応の大学が東京に多いということを模試の結果や資料を見せて説明した」(18歳女子・北海道)

・「私と母と父の3人で、LINEのグループチャットで話し合った。お互い文字を打つ間に冷静になれたので、納得のいく理由を見つけることができた」(18歳女子・東京)

・「この大学ではこんなことができるんだ!と大学のホームページやパンフレットを駆使して説得しました。熱意が伝わって受け入れてもらえました」(18歳女子・福岡)

まずは学校について調べて自分のビジョンを明確に


★from堀先生★

「保護者を説得したり、相談したりするには、まず資料を集めることが肝心です。

経済的な理由で反対しているのなら、受験料・入学手続き金・初年度の納付金など、いくらかかって、それぞれいつまでに支払うのか、具体的に調べてから、保護者に明確な数字を示して相談してみましょう。

さらに、奨学金を利用したいと考えているなら、いつ、いくら支給されるのか確認するとともに、スカラシップ制度や教育ローンについても調べておくと、説得するための材料になります。

ひとり暮らしをしたい人は、どんなところに住んで、生活費がいくらかかって、どのような環境で暮らすことができるのか、下調べをしたり、先輩の話を聞いたりしてシミュレーションしておくといいですね。

志望校を反対されている場合は、自分のビジョンを明確にして、その学校や学部学科について、どんな勉強ができて、どんな就職先があるのか、その学校や学部学科に進学することが自分の将来の目標に向かう道なのだとプレゼンテーションできるくらいの資料を集めましょう。

ただ、口では偉そうなことを言っていても、毎朝起こされないと起きられなかったり、部屋が散らかりっぱなしだったり、勉強する姿勢が見られなかったりしていては説得力がありません。

自分自身の日常生活を見直し、自立できる兆しと目指す進路に向かって努力する姿勢を見せてほしいですね」
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保護者にどう伝えればいい?目的別対処法

経済的な理由で進路を反対された人は?


★from堀先生★

経済的な理由の場合は、保護者と腹を割って話してほしいですね。

保護者に『うちはお金がないから』『国公立しか無理だから』と言われると、それが絶対的なものだと思い込み、あきらめてしまう子がいます。

しかし、『それくらいの金額なら何とかなったのに』と後から保護者に言われるケースも少なくないのです。

メンツを保とうとして保護者が、具体的にいくらまでなら出せると言わない状況だと、子どもが『学費のかからない学部学科にしよう』『すべりどめの私立大学を受けるのはやめよう』と気を遣うことがあります。

子どもからは言いづらいかもしれませんが、『どの時期に、いくらまでなら用意してもらえる?』とストレートに聞いておきたいですね。

まずは、保護者と進学費用を明確な数字で共有すること。

リアルな予算を確認したうえで、自分が調べた受験料・入学手続き金・初年度納付金がそれぞれの納付時期に納められるのかを計算。

足りなかった場合、奨学金やスカラシップ制度、教育ローンの利用が可能か、アルバイトをした場合のアルバイト料など、自分がいくら上乗せできそうなのかをシミュレーションしてみましょう。

保護者に出してもらうのはいくら、自分で用意できそうなのはいくら、と冷静に対等に数字を共有して、その範囲内でベストな選択ができるよう考えてから、説得や相談をするといいですね。

保護者にもプライドがあって、家の経済事情を子どもに話したくない場合もあるので、謙虚な立場で、保護者への気遣いを忘れず、横柄な態度をとらないことが、本音を聞き出し、ケンカにならないコツです。

お金の話は早いうちに相談しておきたいので、遅くとも高校3年生の夏休み前の三者面談のタイミングで、しっかり予算を確認しておきましょう」
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ひとり暮らしを反対された人は?


★from堀先生★

「ひとり暮らしを反対する保護者の場合、子離れできていないケースが多いので、自立した自分の姿を見せるのが一番の特効薬。

『自分は○○大学を目指している。

○○大学の△△学部では、こんな勉強ができて、こんなところに就職している卒業生がいる。

自分の将来のビジョンにピッタリだから、ひとり暮らしをしてでも通いたい!』

と具体的に熱く語ってみましょう。

ここまで考えているんだ、と自立の兆しを見せておくことが大切です。

口だけではなく、朝は自分で起きてくるようになったり、夕食の後片付けを手伝ったり、日常生活でも、ひとり暮らしができるところを見せるといいでしょう。

ひとり暮らしをしたら、毎日こまめに連絡をとって現状報告する、スマートフォンのビデオ通話で自宅の中や暮らしぶりを見せる、といった保護者の心配を解消できるような約束事を決めて提案をする方法もあります。

ポイントになるのは、ひとり暮らしをする理由をしっかり伝えつつ、態度で示すこと。

自立していく子どもの姿は、うれしくもあり、さみしくもあり、その積み重ねが子離れにつながっていくものです。

自分のことが何もできていないのに、感情的に自分の意見だけを言うと、ケンカになって、保護者は子どもが何を言っても強固に反対してしまいます。

自立に向けて、殻を破ろうとしている自分を保護者に見せること。

保護者に子離れしてもらうためには、自分も変わらなくてはいけないのです」


出典:スタディサプリ進路

志望校を認めてもらえない人は?


★from堀先生★

「まずは、保護者の話をしっかりと聞くことが大事です

なぜ自分の選んだ志望校を反対するのか、理由を詳しく聞いてみること。

保護者に教えを請う姿勢で、保護者の意見にも耳を傾けてみましょう。

人生経験を積んだ大人だからこそ、社会人の先輩だからこそ、憧れだけで現実を知らない子どもにアドバイスをしてくれているのかもしれません。

まずは保護者の社会人としての経験をリスペクトし、冷静に進路を反対する理由を聞いてみて、一理あると思ったら考え直すことも必要です。

しかし納得できない、それでも自分の決めた道を進みたいと思ったら、自分で調べた資料を見せて具体的かつ論理的にプレゼンテーションをして、自分の熱意と覚悟を伝えましょう。

『偏差値が低いからダメ』『専門学校ではなく大学へ行きなさい』などと、学校の知名度や偏差値だけに固執している場合は、第三者的な立場である担任や進路指導の先生と一緒に話をすることをおすすめします。

保護者の偏った価値観は、熱意や覚悟だけで覆すことが難しいので、先生から説得してもらいましょう。

専門学校への進学を反対しているなら、実際に専門学校へ進んだ先輩の例を進路指導の先生に話してもらうとか、大人の力を借りることも一手です。

担任の先生が若くて、保護者に意見できそうにないなら、ベテランの進路指導の先生にお願いしてみる。

保護者の価値観を変えるのは難しいことですが、反対されても、くり返し、ていねいに、あきらめず、ねばり強く、熱意と覚悟をプレゼンテーションしてください。

同じ大学の中でも学部によって偏差値が違うし、偏差値が低い大学でも面倒見が良くて就職率が高い場合があります。

自分でもしっかり調べてみて、保護者に納得してもらえる材料を探し、いろいろな学校を比較検討したうえで選んだ道だと示して、自分の思いを伝えていきましょう」
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出典:スタディサプリ進路


保護者を説得できる「想い」「視野の広さ」「見通し」をもつ


★from堀先生★

「『よく調べもしないで、覚悟もないまま、良いところだけ見て、楽なほうへ飛びつこうとしているんでしょ』という理由で反対する保護者も多いようです。

保護者が自分のことを思ってくれているからこそのアドバイスであり、社会人の先輩としての提案であることをわかったうえで、子どもが大人の対応をしていくことが必要だと思います。

保護者の言うことに聞く耳をもたず、感情的になってしまうと、ケンカ別れをするだけ。

保護者を説得できるくらいの『想い』『視野の広さ』『見通し』をもってください。

保護者との話し合いは自立への第一歩。

保護者のプライド、見栄、偏見が見え隠れするかもしれないけど、そこはグッとこらえて口には出さず、熱意と覚悟と具体的なビジョンを伝えることが大事です。

平行線になりそうだったら、担任や進路指導の先生など第三者の大人の助けを借りましょう。

自分がしっかり考えて覚悟を持って選んだ進路なら、きっと保護者に理解してもらえるはずです」
★Real Voice★ 保護者に進路を反対されている高校生へ、先輩からのアドバイス

・「まずは自身に何を学びたいのか、なぜ学びたいのか、学んだことを将来どう役立てたいのか、将来どういった人になりたいのか、などと問いかける。そうして自身の進路を自信を持って決め、学費や生活の仕方、学べる内容や学びたい理由を調べあげ、まとめたうえで、丁寧に素直に話すべきであると思う」(18歳女子・兵庫)

・「親に反対されても行きたいと思う大学なら、絶対に最後まであきらめないで勉強して入学して欲しい。入学後に後悔しても、それはすべて君の責任だから」(19歳男子・千葉)

・「自分の気持ちを素直にまず話してみること。ただ自分の意見をつらつら話すのではなくて、保護者の意見もしっかり踏まえたうえで考えを述べることが大事だと思う」(18歳女子・滋賀)

・「必ず自分の意見を貫き通すべき。絶対にこれがやりたいという強い意志があるなら、考えていることをそのまま伝えればいいと思います。自分のことをきちんと思ってくれている保護者なら話を聞いてくれるはずです。どうしても無理なら、担任や進路指導の先生、信頼できる塾の先生と三者面談をするといいと思います」(18歳女子・岡山)

・「まず、なぜ反対されているのかを考える。そして、なぜその進路を選んだのか、じっくり考えて、保護者の問いかけに答えられるように自分の中で答えを見つけておく。どうして反対するのかではなく、こういう理由があるから頑張りたい、応援して欲しいと伝える」(18歳女子・愛媛)

・「保護者に反対され、進路を変更して後悔する未来が見えるなら、変更しないほうがいい。また、どうせ反対されるからといって話し合いをしないのは絶対にやめてほしい」(18歳女子・沖縄)

・「感情的ではなく論理的に話すために、自分に有利な資料や情報を揃えておく。何を言われても、へこたれない気持ちで話す」(18歳女子・埼玉)

・「保護者はどうして反対するんだろう、と相手の立場になって考えて、自分が譲歩できる部分は譲歩する。相手の考えを真っ向から否定するような言い方はしない」(18歳女子・北海道)
保護者に進路を反対されると凹んでしまうけど、本当に自分が行きたいと心から思って決めた道なら、あきらめないで!

冷静に具体的に論理的に、保護者と本音で話して、自分の覚悟と熱意を伝えることができれば、きっとわかってもらえるはず!
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取材・文/やまだみちこ 監修/堀 浩司 イラスト/野田節美 デザイン/桜田もも 構成/寺崎彩乃(本誌)


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