親子関係と受験シーズン、子への関わり方の注意点

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2022年06月17日 14:11  ノーツマルシェ

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ノーツマルシェ

地区予選にインターハイ予選、さらにはインターハイ本選など、ひとりひとり、それぞれの青春を突っ走ってきた子どもたちが部活を引退し、いよいよ大学受験シーズンに突入です。本格的に受験に向き合った時、何ともいえない閉塞感に悩むであろう子どもたちに、親としてどう向き合ったらよいのでしょうか。今回は、受験生親子が今後感じるイライラ問題の解決方法をお伝えします。


 


親の先走りは厳禁!

受験を希望している子どもを持つ親としては、部活の引退後、速やかに受験勉強に励んでほしいと思うのは当然かもしれません。筆者も受験生の子どもを持つ親の一人として、その気持ちはよくわかります。でも、親の先走りは厳禁です。


「もう部活を引退したんだから」「そろそろ勉強しなさい」「入学できるところがなかったらどうするの」など、心無い一言が子どものやる気をそぎ落とすことも。言いたいことは山ほどあっても、まずは子どもの動向を見守りましょう。そして、夏休み前に実施される三者面談などのタイミングで、子どもが自分の希望や気持ちを安心して話せる心の状態でいられる家庭環境を作っておきましょう。


 


子どもの人生を狭めないために

子どもの人生を狭めないために注意したいのは、子どもより先に親が子どもの進学先を決めつけないことです。受験は子どもの人生であって、親の人生ではありません。子どもが自分で決めた人生を歩んでいくためには、子ども自身が最終的な決断を下す必要があります。親のエゴや経済状況で子どもの希望を却下しないでほしいのです。まずは、子どもの希望を確認することが最優先。なぜ、その進路を希望するのか? 卒業後、その先にどんな人生を思い描いているのか? 子どもの話に耳を傾けてみましょう。真剣に人生設計をしているのか、ただ遊びたいだけの理由なのか、話を聞けば判断できるのではないでしょうか。その希望を聞いたうえで、親の希望を伝えましょう。


 


金銭面についても話し合うことが重要

そして、金銭面についても話をしておきましょう。現実問題として、進学には多額の費用が必要です。経済的に余裕のある家庭ばかりではありません。進学するための準備金としていくら必要なのか、進学後の入学金、在学中の授業料、その他もろもろどれくらい必要なのか、具体的に話をするのです。


親として最大限できることを提示し、それ以上の費用についてどう賄っていくか一緒に考えていきましょう。今は、低所得世帯だから進学できない時代ではありません。2020年4月からスタートした文部科学省の「高等教育の修学支援制度」により、経済的な理由で進学を諦めることがないよう大学、短大、高等専門学校、専門学校への進学を支援する制度も整っています。ただ、完全無償化ではなく上限が定められていたり、中間所得層には恩恵が受けられないなどの課題もあったりしますが、奨学金制度を利用することで学びたい学校で学ぶことができる可能性は広がっています。


 


子どもがイライラする理由

高校受験を経験していても、それとは比べ物にならない心的ストレスを感じるのが大学受験ではないでしょうか。ストレスが心をいっぱいにしてしまうと、どうしてもイライラの感情がわきやすくなります。慢性的にイライラ状態が続いていると、些細な出来事がきっかけでスイッチが入ります。その結果、怒りが爆発してしまうので暴言や暴力に及んでしまうこともあります。


これらの言動を引き起こすイライラや怒りの感情は、第二次感情と言います。第一次感情である、不安、しんどさ、もどかしさ、疲れ、辛さ、寂しさ、面倒さ、緊張感、切迫感といった、受験によって感じるマイナスな感情が心いっぱいになることで、第二次感情の怒りを誘発するイメージです。通常、第一次感情を減らすことができればイライラはおさまりますが、受験生の場合はそう簡単にはいきません。受験が終わるその日まで、この感情と付き合っていかなくてはならないからです。


 


子どものイライラに感化されない

そんなイライラと共存しながら過ごす子どもに、親としてできることはただ一つ。それは、親までイライラしないことです。怒りは性質上、伝染しやすい感情です。でも、決して子どものイライラに感化されてはいけません。それでなくても心にはマイナスな感情が満タン状態の子どもたちです。そのうえ、親のイライラまで背負い込んでしまうと、受験勉強に向かうエネルギーは激減してしまいます。どんなに子どもがイライラしていても、「この子は今、自分の気持ちを調整しながら受験に立ち向かっているんだな」と、思うようにしましょう。


もちろん、親にも心配、不安、もどかしさなど、子どもを思う愛情からくるマイナスな感情がわいてくるのも分かります。ただ、この1年は、イライラの感情を増幅させない努力をする方が、子どもにも自分にも得策と言えるのです。


 


イライラ解消法

とはいえ、人間ですから親だってイライラしますよね。そんなときに使える、とっておきのイライラ解消法を準備しておきましょう。


イライラ解消法の数は、多ければ多いほど自分を助けてくれるアイテムになります。解消法は何でも構いません。例えば、コーヒーを飲む、カラオケに行く、ウォーキングをする、カフェで読書をする、ウィンドウショッピングをする、スイーツを作る、アロマをたく、マッサージに行くなどなど。「これをすれば自分のイライラが楽になる」アイテムをたくさん書き出してください。5分バージョン、1時間バージョン、半日バージョン、1日バージョンなど、所要時間に分けてリストアップしておくのもよいでしょう。


イライラを感じたら早いうちに解消法でリセットしてください。早期発見、早期解消がポイントです。ただし、暴飲暴食や深酒、また悪口大会などはNGです。体調やメンタルにおいて健康的でないものは避けましょう。


 


まとめ

親が子どもの受験におおらかに向き合っていれば、子どもが親と必要としたとき、必要なサポートをしてあげることができます。子どもが受験トンネルを抜け、未来の光を笑顔で浴びるその日まで、子どもと自分のイライラ感情と上手に付き合いながら親の受験シーズンを乗り切りましょう。案外、親にとっては自分が受験するより、子どもの受験の方が精神的ストレスは大きいかもしれません。でも、子どもの受験は子どもの人生の通過点です。親は土足で入り込まず、子どもの希望や気持ちを尊重しつつ、子どもが視野を広げられるアドバイスができるといいですね。受験生のお子さんをお持ちの皆さん、一緒に乗り切っていきましょう!


[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]


※画像 : ダイ / PIXTA(画像はイメージです)


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