HIKAKIN「もう満足だ、と思ったことはない」 ライバルはじめしゃちょーとの“違い”

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2022年06月25日 11:00  AERA dot.

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写真HIKAKIN「時代が変わるなら、それに合わせて僕は180度変える」。撮影の終盤、おなじみのポーズを披露すると、現場で歓声が上がった(撮影/蜷川実花)
HIKAKIN「時代が変わるなら、それに合わせて僕は180度変える」。撮影の終盤、おなじみのポーズを披露すると、現場で歓声が上がった(撮影/蜷川実花)
 YouTubeの日本語版がスタートして、今年でちょうど15年。子どもの将来の夢が「YouTuber」なのも、何ら不思議ではなくなった。その「変化」を築いた先駆者こそ、チャンネル登録者数1千万人超のHIKAKINだ。AERA 2022年6月27日号では、そのHIKAKINにインタビュー。トップYouTuberの飽くなき追求に「満足」の文字はなかった。


【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾ったHIKAKINさんはこちら
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──2011年に「HikakinTV」を開設し、本格的に動画投稿を開始した。14年にはチャンネル登録者数が100万人達成。瞬く間に駆け上がりました。


HIKAKIN:当時、一気にスマホが普及して、その波に乗れたのを覚えています。ガラケーからスマホになって、YouTubeがブラウザでしか見られなかったところからアプリが出て、再生数もぐんと増えていきました。僕は日々同じことを全力でやっているんですが、自分の頑張り以外のところでYouTubeを見る人自体が増えていった。それは嬉しかったし、どうなるんだろうという勢いを感じていましたね。


──市民権を得てきた実感は、いつ頃から?


HIKAKIN:やっぱり「好きなことで、生きていく」というYouTubeのテレビCMでがらっと変わりました。僕も出させていただいたんですけど、渋谷の駅に巨大な看板も出て。10〜11年頃は「なんで芸能人でもないのにカメラに一人で喋ってるの?」みたいな感じがありました。ブログは流行(はや)っていたんですけどビデオブロガーはまだ知られていなくて。そういうところから段々、商品紹介なんかも映像だからよりうまく伝わる、と認められるようになって、ゆっくりと普通になっていった。今でも、お子さんが「YouTuberを目指すんだ」と言った時に、全員が「よし頑張れ」と言うかはわかんないですけどね(笑)。ただ、だいぶ変わってきてるんじゃないかなと思います。


企画も編集もチームで


──かつて、動画制作は企画から編集まで全部一人でやっていた、と。




HIKAKIN:そこから大きく変わって、今はチームでやっています。編集も企画も、みんなで頑張っている。最初から最後まで自分で作り上げる場合、自分のこだわりが全部に行き届くから濃いものができてファンがついていくという面もあります。好き勝手に一人でやっていた頃と比べて、チームでやるのは別のスキルも必要になってくるので大変ではありました。でも動画を出す頻度が上げられたり、変わっていく環境の中で、自分も変えていけたから今の自分があると思っています。周りを見て、それにちゃんと合わせて変化していく。すごく難しいんですけどできているかなと。


──HIKAKINさんは、チームでは管理職的な立場に? 


HIKAKIN:僕は演者でもあるんですが、自分の脳内で“撮りたいイメージ”があって、それをみんなに伝える役目です。最初は「マジかよ」と思われるぐらい編集で細かいことまで全部伝えて。今は毎日編集してくれるスタッフがいるんですが、僕のそういうこだわりが伝わって、もう僕より上手くなってくる。「自分じゃないとできない」なんて幻想なんだと思いました。でも仕上がったものは最後に絶対しっかり自分で見て、直してから出します。それだけは一生やめたくないです。


周りが見たいならやる


──例えばどんな直しですか。


HIKAKIN:普通の人だったら気付かないような、やらなくてもいいんじゃないか、というところを直してしまいますね。テロップの色とか、声のボリュームが小さいところを一カ所ずつ上げていくとか。変顔する時にもうちょっと早くズームかけたいなとか。細かいことですが、うまくいっているうちは、やる意味があると信じてやっています。企画を選ぶのも直感なので「なんでこれはだめなの?」と言われても理屈では説明しづらい。「ずっとやってきたからわかる」としか言えないんです。十何年やってきて、視聴者の求めるものが感覚でわかるという感じです。


──これまでに影響を受けてきたクリエーターは?


HIKAKIN:常にYouTube全体を見て、時代に合わせる、流行りに合わせるっていう感じで特定の誰かを見続けることはあまりないんですが、(YouTuberの)はじめしゃちょーは仲間であり良きライバル。まだ頑張れる、もっと頑張んなきゃと思わせてくれたのは、彼ですね。




──はじめしゃちょーが爆発的に伸びたのは15年頃でしょうか。


HIKAKIN:それまでソロのYouTuberでライバルみたいな人はあんまりいなかったんです。それがロケットみたいなスピードで上がってきて、清々しく僕を抜いていった。「あ、やっぱそういう時期が来るよな」という感覚でした。そういう経験はその時が初めて。悔しい気持ちも多少ありましたが、どちらかというとそれがあったからここまで満足することなくやってこれたのかなと思います。


──はじめしゃちょーとHIKAKINさんの違いは?


HIKAKIN:時代に合わせて変化することについては、もしかしたら僕は彼より頑固じゃないかもしれないです。彼は本当にやりたいことを自分のやりたいようにやるタイプで、僕は周りが見たいならやる、っていうタイプ。芯はブレたくないけど「時代がそう変わるなら、僕は別に180度変えるけど」と思っているので。


──今後、時代が変わってもそれに合わせていける自信は?


HIKAKIN:いま33歳ですが、気分は27、28歳みたいなところで止まっていて。どれくらいの年でいよいよズレてくるのかわかんないですけどね(笑)。でもその年齢なりの合わせ方もあると思うので、まだまだやれると思います。


「参加」がもっと普通に


──長期的な戦略がありますか。


HIKAKIN:あまり先のことを考えないタイプで、とりあえず今月頑張ろうぐらいの感じでずっと来ています。YouTubeは毎日触っていても追いつけないぐらい機能が増えるし、仕様がどんどん変わるんです。ストーリー機能、ショート動画、コミュニティ投稿など、どんどん増えていく。それが僕にとっては新鮮だし、変わると楽しい。これにチャレンジしたらまたバズるんじゃないかって。それが好きですね。


──YouTubeはメディアとして成熟期を迎えたともいえる時期にあります。今後どうなっていくと思いますか。


HIKAKIN:例えば、同じ100万回再生でも、高評価ボタンの押される比率とかは増えています。アカウントでログインしないとコメントしたり高評価ボタンを押したりできないんですが、昔はアカウントを持っていない人も多かった。今はアカウントを持っていてコメントしてくれる人も多いし、そうやって誰もが「参加する」のが今よりもっと普通になっていくんじゃないかな。



──登録者数や視聴回数、もう満足されたのでは?


HIKAKIN:まだまだ足りないですね。再生回数とか高評価ボタンは全力で上げていきたいです。だからといって何百億再生いきたいとか具体的な数字はないんですけど。「もう満足だ」とは思ったことはないですね。周りのみんなが頑張っているからかもしれません。


限られた「時間」の中で


──映画や音楽など、YouTube以外のものからアイデアをもらうことはありますか?


HIKAKIN:映画とかこの10年で本当数えられるぐらいしか見ていなくて。それぐらいYouTubeだけに時間を割いてきました。そもそもYouTubeという世界があまりにも広く、コンテンツが膨大なので、その中でインプットも完結していますね。海外にもスゴい人がいるので、自分より数字を持っているYouTuberの動画からヒントを得ることはあります。何を言ってるかわからなくても、編集の仕方とか。


──タレントや芸人がYouTubeチャンネルを持つことも、近年ぐんと増えました。


HIKAKIN:今はもう戦国時代。ツイッターのアカウントを持つくらいの感覚でチャンネルを持つのが普通になりました。プロの制作が付いてる人もいて、そういう中で横並びになる。例えば、面白いバラエティーグッズの店に行けば昔はそれだけで企画が成り立っていましたが、今はそれじゃ企画として弱い。ハードルが上がっています。


──ネタ切れしませんか?


HIKAKIN:それはなくて、むしろ全部できないので、限られた時間の中でどれをやっていくか、バズりそうなものを選んでいます。新しいYouTuberもたくさん出てくる中で人気になって3年も最前線にいたら、すごいことだと思いますよ。


──HIKAKINさんは3年後も最前線に。


HIKAKIN:そうですね、結構、頑張ってると思いますよ(笑)。


(構成/編集部・高橋有紀)


※AERA 2022年6月27日号


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