BTS、それぞれが成熟するために歩み出したソロ活動への道のり J-HOPEやJUNG KOOKには早くも動きが

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2022年06月26日 10:01  リアルサウンド

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BTS『Proof』

 BTS、新たなチャプターへ――。6月14日にYouTubeチャンネル『BANGTANTV』で「真・防弾(バンタン)会食」の動画をアップしたBTS。そこで語られたのは「長く続けたい」「もっと強いBTSになるために」と、今後メンバーがソロ活動を精力的に行なっていくという内容だった。人気絶頂期での大きな決断に、当然のことながら驚きの声が上がった。だが、その勇気ある一歩こそがBTSらしさのようにも感じた。


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 そのままでもうまくやっていくことはできたかもしれない。だが、何かが壊れるまで走り続けることよりも、一度立ち止まることも視野に入れて考えながら進むこと。“SDGs(持続可能な開発目標)”という言葉が頻繁に囁かれる昨今、それはアーティストたちの活躍にも通じるものがあるかもしれない。次から次へと瞬間的に消費していく時代から、将来的にも豊かに過ごすためにペースを考えて選択していくという時代に。そんな新しい風向きがBTSの決断にも通じているように思えた。


 デビュー以降、BTSの表現の主軸は彼ら自身の物語だった。RMは動画内で、2020年2月にリリースされた「ON」(アルバム『MAP OF THE SOUL : 7』)までが、BTSにとって“チャプター1”の一区切りだったと明かす。しかし、その計画はパンデミックの影響で変更せざるをえなくなってしまう。ワールドツアーもキャンセルされ、思うようにライブ活動ができず、辛い時期を過ごしたとも。


 そんな混乱のなかで「Dynamite」「Butter」「Life Goes On」と世界的ヒットソングに恵まれ、さらに彼らを取り巻く環境は激変。RMは「キャリアの最高点にいるタイミングで、世界で何かをしたい……でもその何かを考える時間がない」と語り、RMと共に多くの楽曲をプロデュースしてきたSUGAも「一番難しかったのは歌詞を書くこと。言うことが何もない」と続けた。


 自分たちのストーリーだったはずの音楽が、その手を離れていく……そんな感覚を抱きながらも、今の彼らなら走り続けることができたはず。だが、方向性がわからないまま突き進んだ先に、どんな未来があるのか。「将来何をしますか?」と自分自身に問い、「私達がやりたいことをやって生きましょう」「この変化は非常に重要なステップ」と今回の決断に至ったのだ。


 しかし、これまでも大きな変化にぶつかりながら、スターダムを駆け上がっていった彼らのこと。このソロ活動へのシフトも、きっと将来的にBTSという大きな物語を彩る必要不可欠な分岐となるに違いない。実際、すでに発表されている彼らのソロ活動は非常にワクワクとさせられるものばかりだ。


 J-HOPEは、トップバッターとしてソロアルバム『Jack In The Box』を7月15日にリリース。さらに、アメリカ三大野外ロックフェスと言われる『ロラパルーザ』の最終日公演に、韓国人アーティストとして初の大トリを飾ることが発表されている。改めて、6月16日にオンエアされた『M COUNTDOWN』(Mnet)のComeback Stage「For Youth」でのソロパートの様子を見れば、実力と自信を備えた余裕のある表情と「ダンス隊長」の異名を持つフィジカルの強さを窺わせる柔らかな身のこなしに、ソロステージが楽しみで仕方なくなる。“BTSの一員“とは異なる形で新たな魅力が多くの人に見つかることだろう。


 そしてJUNG KOOKは、チャーリー・プースとのコラボ曲「Left and Right (Feat. Jung Kook of BTS)」をリリースしたことでも注目を集めている。6月17日にチャーリー・プースがSNSに投稿したムービーでは、2人で「歌ってみて」「もちろん!」とフレーズを歌い合う微笑ましいやりとりが話題に。持ち前の透明感ある歌声がフィーチャーされるのはもちろんのこと、マイクの反対側に移動する際にピョンと跳んで見せる可愛らしさも映し出されており、JUNG KOOKの良さがより広く知れ渡ったはずだ。


 また、JIN、JIMIN、Vもソロアルバムの制作準備を進めているという言及もあった。もちろんRM、SUGAも、十分にインプットと思考する時間を得て、新たな楽曲作りに取り掛かることだろう。彼らが納得のいく形で発表される作品たちが今から楽しみでならない。まさにBTSの最新曲「Yet To Come」で謳われている通り、彼らの最高の瞬間は“これから”なのだ。


 それぞれが成熟するために歩み出す、ソロ活動の道のり。だが、心はいつだって7人と共に。そんな決意を感じさせる“7”の友情タトゥーにも胸を熱くさせられた。よく見ると、様々な形の“7”が刻まれているのがわかる。まるでアルバム『MAP OF THE SOUL : 7』のデザインで、それぞれのイメージが異なるフォントの“7”で表現されたときのように。いつかまた個性豊かな“7”が重なり、新たな物語へと繋がる時期を待ち望みながら。そして、末永く活躍するBTSの将来を願いながら。7人の「新しいことを楽しんで体験してあなたの前に戻ってきます」の言葉を信じて、その歩みを見守っていきたい。(佐藤結衣)


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