室井佑月「軍備拡張の闇」

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2022年06月30日 06:00  AERA dot.

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写真室井佑月・作家
室井佑月・作家
 作家の室井佑月氏は、自民党が求める防衛費の増額に異論を唱える。


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*  *  *


 参議院選、自民党の公約が発表された。そこには、防衛力を抜本的強化すると書かれていた。GDP比2%以上も念頭に、だってさ。


 そういえば、5月21日の「毎日新聞」電子版にびっくりするような世論調査の結果が載った。


「毎日新聞と社会調査研究センターが21日に実施した全国世論調査では、防衛力強化についても質問した。自民党が、GDP(国内総生産)の2%を念頭に増額を政府に求めている防衛費については、『大幅に増やすべきだ』との回答が26%、『ある程度は増やすべきだ』は50%で、合わせて8割弱が増やすべきだと答えた」


 ロシアのウクライナ侵攻のニュースを観て、そのように考える人が増えたのだろう。


 しかし、防衛費を増額するということは、ほかの予算を削る、もしくは税金を上げる、ということにほかならない。


 このことについて非常にわかりやすかったのは、6月16日に配信された「女性自身」の「消費税12%、医療費6割負担…防衛費5兆円増で生活苦の未来」という記事である。


 まず、「’22年度の防衛費はGDP比約1%で約5兆4000億円。これを2%にした場合、あらたに5兆円が必要となることに──」だという。政府はその財源についてはっきり答えていない。


 記事の中で「暮らしと経済研究室」主宰の山家悠紀夫さんはいう。


「狙うのは年金、医療、福祉など社会保障費です」「かりに防衛費の倍増分を税収でまかなうためには、2%の消費増税が必要に」


 そして、上智大学の中野晃一教授(政治学)は、こういっている。


「(増額した防衛費で)潤うのは国民ではなく、アメリカの軍需産業です。保育や教育など社会保障に税金を使う人への投資は、いずれ税収が増えたり、納税者人口が増えたりするなどの相乗効果が期待できます。ところが、防衛費を増やして、武器を買っても雇用も生まれず、維持費だけがかかる。私たちの経済や暮らしが好転していくことはないのです」




 あたしもその通りだと思う。超少子高齢化で2030年からはガクンと労働人口も減る。税収も減る。そんな中、無理矢理、軍拡することにどんな意味があるのか。


 その分野が、未来の経済の発展につながるならまだわかる。しかしそうではない。なら、今この国に生きている人のために使ってこその税金だ。


 記事は最後にこう締めくくられていた。


「上昇し続ける物価、上がらない賃金。国民の生活を第一に考えるのならば、軍備拡張よりも優先すべきことがあるだろう」


 メディアは軍備拡張の闇、その弊害についてもこうやって書くべきだ。


室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2022年7月8日号


このニュースに関するつぶやき

  • 自衛隊って予算拡大っていうても「人手不足」なんですが・・定員割れ常態化の。そっちの方の話を全然しない自民もアホ。アンドロメダみたいな装備でも拡充する?AI搭載の無人兵器やロボットとかね
    • イイネ!23
    • コメント 1件

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