「失敗来い、のメンタルでありたい」 俳優・鈴木亮平が失敗を糧につかんだ内なる変化 「バズ・ライトイヤー」公開インタビュー

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2022年06月30日 18:27  ねとらぼ

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写真「スペース・レンジャーっぽいポーズを」との要望にはこのポーズで
「スペース・レンジャーっぽいポーズを」との要望にはこのポーズで

 ディズニー&ピクサーによる「トイ・ストーリー」シリーズ最新作「バズ・ライトイヤー」が7月1日から全国公開。日本版では、鈴木亮平さんが主人公バズ役の声優を務めています。



【画像】猫型友だちロボットのソックスとキュートにポーズ



 同作は「トイ・ストーリー」シリーズで描かれてきたアンディ少年の“おもちゃ”としてのバズではなく、アンディが夢中になった映画の主人公で、“人間”のバズ・ライトイヤーがスペース・レンジャーとして活躍する作品。ワクワク満載の冒険映画としての側面だけでなく、NASAが協力した細かな考察要素も備えていて、心理描写の面でも人間バズの苦悩をしっかりと描くことで、大人にも楽しめる内容となっています。



 日本語吹替でバズを演じる鈴木さん自身もシリーズ全作を鑑賞した「トイ・ストーリー」ファン。これまでのシリーズでバズ役を演じていた所ジョージさんの演技について「マネできない、あの声の表情は素晴らしいと思います。バズといえば僕の中ではあの声」とリスペクトを強調しています。先人のイメージが強く残る中、鈴木さんはどうやって“バズ”の声を作り上げたのか。若かりしころのエピソードと合わせて聞きました。



●「所さんってちょっと特殊」 抜け感に強さを足して生まれた“鈴木亮平のバズ”



 オリジナル版でバズ役を務めるのは、「キャプテン・アメリカ」でも知られるクリス・エヴァンス。かねて出演作は見ていたという中で、あらためてクリスの芝居をじっくり研究することは「同世代の俳優をここまで真剣に研究したことはなかったので非常に面白かった」と役作りの過程を話しています。



―― 鈴木さんにとって2度目の声優挑戦で、初の吹替となる同作。今回はビジュアルからのアプローチができない状況でバズの“声作り”はどのように行われたのでしょうか。



鈴木亮平(以下、鈴木) バズがどういう人間かを内面から考えました。彼はなぜスペース・レンジャーになり、人生で何を求めていて、何を成し遂げようとしているのか。



 作品へのアプローチは基本的には他の作品の場合と一緒なんですが、日本版ということで、自分の演技解釈に固執するよりは、クリス・エヴァンスさんの演技を日本語に解釈するという翻訳に近い作業もありました。



―― 例えば「無限の彼方へさぁ行くぞ」というおなじみのせりふひとつ取っても、さまざまなバリエーションで演じていましたね。



鈴木 僕らの知っている所さんの「無限の彼方へさぁ行くぞ!」とは違うものにしないといけない。でも違和感があってもいけない。さらにクリス・エヴァンスさんの英語版を聞いてからは、人間のバズは「あっ! こんなリアルに言うんだ」という驚きも含めなければと考えました。



 他の言語のバズに比べて、所さんってちょっと特殊だと思うんです。抜けてる感があるというか。だから僕の場合はほんのちょっとだけ強さを足しました。英語だと母音がバァッと乗るんですけど、日本語は声にある程度の力を入れないと成立しない言語なので、何ミリか強めに「さぁ行くぞ」って。



―― 英語が堪能な鈴木さんならではの微調整ですね。実写で演じることと、声のみで演じることに違いはありましたか?



鈴木 実写の作品ではいつも役の解釈を声だけで表現しないようにしています。嫌みといいますか、すごく大げさなお芝居になってしまうので。でも今回は逆に、声だけでやらなきゃいけない。バズは今どういう気持ちなのか、前半と後半のバズはどう違うのか、せりふでつなげなきゃいけないんですよね。



 かといって、いわゆるアニメっぽい表現をしてしまうと、リアル志向のバズには合わなくなるのでそこが難しかったです。



 面白いのが、収録後に違う映像作品でお芝居をしたらアニメみたいなお芝居になってしまって、「(芝居がかったいい声で)なんだって!?」みたいな(笑)。あぁいかんいかん、捨てていかないとと思いましたね。やはり声優と俳優は似ているようで違う部分もあるから面白いなと。



●「自分は思っているより優秀じゃない」 勘違いしていた20代後半で得た気付き



 今回の作品で、バズは自分の力を過信したために生じたミスで1200人もの乗組員と危険な惑星に不時着。責任感から地球へ帰還するための困難なミッションに挑む中で、個性豊かな仲間や思いもよらぬ敵と出会い、人間的に成長していきます。



―― 1人で困難に立ち向かい、周囲を頼らず問題を解決しようと奮闘するバズに、どんな印象を抱きましたか。



鈴木 僕とちょっと似ているなと。バズみたいに、若いころには「自分で何でもできる、自分が一番分かっている、監督は何も分かっていない」と、よくある勘違いをしていた時期があった。でも20代後半から自分1人でできることはすごく小さいし、自分は思っているより優秀じゃないことにようやく気付いたんです。バズと同じような成長をしてきました。



 今の僕は、頼れる人や相談できる人がいたら積極的に相談します。やっとそれができるようになってきた。話すことで失敗が成功になると思うんです。自分だけで失敗を抱えているより「こんなことがあったんだけど、どうしたらいいと思う?」と共有すれば周りが助けてくれて、学べることが増え感謝もできるんです。



―― 具体的に、ここで気が付いたというきっかけはあったんでしょうか?



鈴木 そういうのがあれば分かりやすいんですけどね。ないんですよ。ただ単に年齢を重ねたっていうことなのかもしれません。



 ただ、1つ覚えているのは、あるドラマで自分は効果的だと考えてたっぷり間を持って演技したら、オンエアではバッサリカットされていたことがあったんです。当然なんですよ、僕は間をとっていい役じゃなかった。そもそもお芝居の意図を監督と共有できていなかったんです。



 それまで演技は俳優1人のものだと思っていたけれど、そうじゃない。みんなで作っているんだから意図を共有しないと、僕だけでは何も作れないんだと思いました。それからは現場で監督や共演者とコミュニケーションを取るようになりました。



―― その気付きはバズにも重なりますね。鈴木さんが変わったことで、環境に何か変化はありましたか?



鈴木 すごく変わりました。俳優ってカッコつけていなきゃだとか、現場では重く見られたいとか、そう考えていた時期がありました。でも無理して虚勢を張るのではなくて自然体でいるようになってから、関係者から次の作品へ、次の作品へとつながる機会が多くなりました。



―― 今の成功の呼び水になったんですね。鈴木さんがバズのように困難に直面した場合は、どのような気持ちで立ち向かうのでしょうか?



鈴木 いつも思うのは、これを乗り越えた先で自分はもっと成長できるということ。成功しなくてもいい。むしろ失敗した時の方が学べるから「失敗来い!」というメンタルでありたい。



 失敗って実は成功だと思うんです。この方法ではダメだと分かるから。それに僕の場合は失敗しても、バズみたいにみんながとんでもない星に取り残されちゃうなんてことはないし、何回でもやり直せるので。



―― バズより先に気付きを得た立場として、側にいたらどんな言葉をかけますか?



鈴木 (長く考えて)何も言わないです。特に前半のバズには。彼は自分で気付いていける人だし、自分しか見えていない人には何を言っても聞かない気がするので。自分で気付いていくしかない。



 本当に彼が助けを求めるときは、自分から聞いてくると思うんです。だからそっと傍で見守って、失敗しそうになったら助けてあげたい。



―― 今では数々の作品で主演を務める立場になりましたが、現場で座長を務める上で大切にしていることはありますか?



鈴木 ダメなところを隠さないことです。カッコつけて引っ張っていくとか、無言で背中を見せるとかではなく、愛してもらう方が僕には合っているんじゃないかなと。ダメなところも含めて好きになってもらうしかない(笑)。



 僕が何か失敗したら、それを見て大笑いしてもらえるくらいの関係性を早く作ってしまった方が僕も楽だし、結果としてみんなも団結できると思っています。



●シリーズの新たな人気キャラに? 猫型友だちロボットのソックス



 同作に登場する新しいキャラクターの中で、特に注目されているのが猫型友だちロボットのソックス。超ハイスペックな友だちロボットで、あらゆる面でバズをサポートする存在で、日本版では「かまいたち」の山内健司さんが声を担当しています。



―― ソックスはかなり優秀で物語の“キーキャット”です。印象を聞かせてください。



鈴木 めちゃくちゃいいですよね! (興奮気味に)めちゃくちゃいいですよね!!



 ストレスの多いスペース・レンジャーの相棒としてよく考えられている。「何かあったら話を聞くよ」「ああ、それは大変な1日だったね」と声をかけてくれる存在はすごく大切だと思うんです。例えば宇宙に行くとして、誰を相棒に選んでも人間同士だったら絶対に喧嘩が起こるじゃないですか。ソックスとなら起こらない。あとBGMもかけてくれるし(笑)。



 もしかしたら未来では、ソックスのようなロボットが必要になるんじゃないかな。あれだけの完成度で再現できればですけど。



―― 一家に1台ソックスという時代がくるかも。鈴木さんならどう付き合っていくでしょうか?



鈴木 どうなんだろうな……(長く考える)。しゃべるのかな? 結局、最初のうちは面白がってしゃべるけど、そのうちいるだけでいい存在みたいになってしまうのかも。長年連れ添った夫婦じゃないですけれど、いてくれるだけでいいと。何でもできるからこそ。



 ズルいですよね! 機能も多いし、かわいいし。愛すべきキャラクターです。



―― 気が利きますよね。「かまいたち」山内さんのお芝居にはどんな印象を抱きましたか?



鈴木 必ずしもみんなが思うロボットの声、猫の声ではないのに、俳優にも声優にもできない絶妙な表現をされるので、聞いてるうちにクセになっていく。それは本当に山内さんの持って生まれたものだと思います。愛嬌(あいきょう)といいますか。



 所さんのバズも同じで、俳優にも声優にもできないせりふまわしが強烈に印象に残るんです。だからソックスも同じように、皆さんの印象に残ると思います。



映画「バズ・ライトイヤー」 7月1日(金) 全国ロードショー



出演:鈴木亮平、今田美桜、山内健司、りょう、三木眞一郎、磯辺万沙子、沢城みゆき、銀河万丈



配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン



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