『わたしは最悪。』監督「一般論は語りたくなかった」物語の出発点となるシーン到着

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2022年07月02日 14:12  cinemacafe.net

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写真『わたしは最悪。』(C)2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VAST - SNOWGLOBE - B-Reel ‒ ARTE FRANCE CINEMA
『わたしは最悪。』(C)2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VAST - SNOWGLOBE - B-Reel ‒ ARTE FRANCE CINEMA
数々の記録を打ち立て、世界の映画ファンを虜にしているノルウェー発の異色作『わたしは最悪。』から、一夜限りのはずの男性と偶然、自分の職場で再会する気まずい瞬間を切り取ったシーン映像が解禁。監督のヨアキム・トリアーが本作を撮影したきっかけや、劇中のテーマの一つでもある“浮気”の線引きについて語るコメントも到着した。




人生の脇役のような気分のユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)に、グラフィックノベル作家として成功した年上の恋人アクセルは、妻や母といったポジションをすすめてくる。ある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、魅力的な男性アイヴィンに出会う――。

トリアー監督は本作を撮影したきっかけについて、世界的に注目の高い賞を複数受賞、北欧理事会映画賞にもノミネートされるなど圧倒的な評価を受けた自身の前作『テルマ』(17)からの影響が少なくないと言う。「『テルマ』は、サスペンスと超自然現象が前面に出たジャンル映画でした。だから、僕自身の人生とはかけ離れたものだったんです。だから今回は、基本に戻って、アイデア、キャラクター、場面を語りたくなったんです」と語る。

さらに「40代になった今、この時、僕の人生において語りたいものは何だろう?」と、改めて思い返したとき「自身がデビュー当時に手がけていたような、人間の心理を丁寧に描写する作品を描きたくなったんです」ともふり返る。

本作の主人公ユリヤは、自然体で、自分を探し求め続ければ“自分を変えられる”と信じていた女性だが、そんな彼女にも“時間と自分自身の限界に向き合うしかなくなる”瞬間が到来することになる。本作で「現代の若い女性が持つすべての問題(愛、セックス、関係、母親になること、大人になること、キャリア)を丹念に描くことが目標だったのですか?」と問われた監督は、「そうした問題の一部はたしかに存在し、誰にでも当てはまるものだと思います」と語る。

しかし「この映画は、人との関係が自分の人生に存在する期待をいかに照らし出しているかを扱っています」と言い、「現代の女性であるとはどういうことなのか、一般論は語りたくなかったし、語ることは不可能だったでしょうね」と一筋縄ではいかない現実を語る。

いわゆるロマンチック・コメディで“意外な状況での出会い”とも呼ばれるのが、ユリアが偶然訪れたパーティで、若く魅力的な男性アイヴィンと出会うシーン。「ユリアとアイヴィンは、直接性的なことをするのではなく“別のこと”を一緒にやろうとしますよね」と監督。つまり「恋人に誠実である限界について問いかけ、浮気じゃないというのは、どういう意味だろう? 何が許され、何が許されないのか?」を表現したかったという。

そして「浮気に何が含まれて何が除外されるかは、線引きのはっきりしない社会の決まり事ですよね? 僕たちはみんなそれに同意して従っているんですよ」と、関係とロマンスについての映画の出発点としてとても重要なシーンだと述べている。

今回解禁される本編映像は、まさにアイヴァンとユリアが“浮気ではない”一夜を過ごしたあとに偶然ユリアの職場で再会するシーンを切り取ったもの。しかも、アイヴァンは現在進行中の彼女の目を盗み、ユリアに話しかけに戻っている――。

「本作の大きなテーマのひとつは、時間という概念です」ともいう監督。他人からはパーフェクトに思える男性アクセルとユリアの関係がうまくいかなくなるシーンを例に出し、「ロマンチックな物語でも、現実でも、僕たちは自分にとって『これぞという正しい人に出会うものだ』と、思い込むようになります。まるで、正しい人というのが存在するみたいに! でも“時間と存在”は、まったく別のものなんです。実生活で正しい結びつきを持てる人と出会うことができるとしても、その出会いは、好ましくないタイミングで起こるかもしれません」と続ける。

「僕もそれを人生で経験しました。だから、ロマンチック・コメディの傑作は、人間であるということについて何かを教えることができるんです」と語る監督の言葉を表すかのような1シーンとなっている。

『わたしは最悪。』はBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開中。



(text:cinemacafe.net)

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