専修大の非常勤講師、「5年で無期転換」高裁も認める 特例「10年ルール」の適用否定

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2022年07月20日 18:41  弁護士ドットコム

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無期転換を申し込んだ専修大の非常勤講師について、通常の「5年ルール」と特例の「10年ルール」のどちらが適用されるかが争われていた訴訟の控訴審で、東京高裁(村上正敏裁判長)は一審判決を支持し、「5年ルール」が適用されるとして、無期転換の申し込みを有効とする判決を言い渡した。


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当事者の小野森都子さんと首都圏大学非常勤講師組合(志田昇委員長、横浜市)が7月20日、厚労省記者クラブで会見を開いて発表した。判決は7月6日付。



同組合によると、大学業界では10年ルールを採用され、無期転換できない非常勤講師が少なくないという。判決が確定すれば非常勤講師が無期転換しやすくなるとしている。一方、専修大によるとすでに上告したという。



●イノベ法上の「研究者」に該当するか

判決によると、小野さんは1989年から専修大で1年間の有期契約を締結、更新してドイツ語を教えている。2019年に無期転換を申し込んだ。



2013年4月に施行された改正労働契約法は、同じ職場で勤続5年を超えた有期雇用の労働者が申し込むと、次の契約更新から無期雇用に転換する「5年ルール」を設けている。



ただし、大学の研究者などについては、イノベ法(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律)などで「10年ルール」の特例があり、裁判では5年と10年のどちらが適用されるかが争われていた。



この点について、地裁、高裁はともに、小野さんが担当していたドイツ語の授業が初級から中級レベルまでだったことなどの実態から、イノベ法が規定する「研究者」の定義には該当しないとして、10年ルールの適用を否定した。



10年ルールの場合、2023年4月から無期転換の対象者が出始める。会見で同組合は、2022年秋ごろから非常勤講師の雇い止めが頻発する可能性があるとの懸念も示した。


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