Snow Man、圧倒的大差でシングルチャート首位獲得 色彩豊かな情景描写、聴き手へ直接語りかける親密性

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2022年07月23日 10:01  リアルサウンド

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Snow Man

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-07-25/


 7月25日付のオリコンシングルチャートによると、Snow Manの『オレンジkiss』が830,163枚を売り上げ1位を獲得。続いて、OCHA NORMAの『恋のクラウチングスタート/お祭りデビューだぜ!』が95,548枚で2位、ボイメンエリア研究生の『BURNING DANCE-バニダン-』が44,103枚で3位を記録。Snow Manが圧倒的な大差で首位に立つ週となった。


(関連:Snow Man 岩本照、“ひーくん”の座長ぶりを生見愛瑠、浮所飛貴ら賞賛 映画『モエカレはオレンジ色』完成披露イベントレポ


 『オレンジkiss』はSnow Manの7枚目のシングル。表題曲はメンバーの岩本照主演の映画『モエカレはオレンジ色』主題歌で、どこか切ないサウンドのなかにも力強いビートが印象的なポップナンバー。綺麗なピアノの音色を軸としたサウンドにストリングスの響きが彩を与えている。


 歌詞は“色”にまつわる言葉がふんだんに用いられており、〈オレンジ色の空の下で〉〈真っ白な今日を染めてく〉〈君にとって今の空は/どんな色?〉〈だけど僕らの色は変わらない。〉といったように情景を色彩豊かに描写したり、君と僕との関係を色にたとえるなど、視覚的な表現が特徴。


 また、サビのフレーズに顕著なように、句読点を多用して手紙やメッセージ風に表現している点や、語りかけるような口調で綴られている点もポイントだ。


〈そのまなざしで、/そのぬくもりで、/君の今までを教えて。/甘いとこも、苦いとこも/抱きしめて、守るから。〉


 これにより歌い手から聴き手、あるいは読み手へと直接伝えているような親密な印象が与えられる。さらに「まなざし」や「ぬくもり」といった言葉を、漢字を使わずにあえて平仮名表記にしている点も面白い。これは読み手にやさしいイメージを与えている(字面的にも「ま」や「ぬ」は丸みを帯びていて柔らかい)。


 細かい部分ではあるが、こうした表記の一つひとつにまでこだわることはまったく無駄ではない。なぜなら、ジャニーズのようにテレビ披露の機会が多いアーティストの場合、テロップで歌詞を流しながら歌唱することがほとんどのため、歌詞カードを見ながら音楽を聴く習慣が薄れつつある今でも十分に大きな意味を持つからだ。むしろこうした細部に込めたものこそ、聴き手の印象に関わってくるだろう。


 そしてこのこだわりは、通常盤収録のカップリング曲「僕に大切にされてね。」でも見て取れる。


〈寒いよね。毛布かけようか。/そして、手を握ったら。〉


〈あのね。耳かして。ねぇ、やっぱりさぁ。〉


〈君を抱き寄せた、この関係をどうよぶつもり?〉


 表題曲と同様に句読点の多用、語り口調、平仮名表記などの特徴が見られ、楽曲の密着感・密室感が見事に表現されている。いずれも作詞を手掛けたのは、WHITE JAMのSHIROSE。同グループには過去に「君の彼氏になりたい。」や「僕の彼女になってよ。」といった楽曲でも作詞していたが、今作のように表題曲を手掛けたのは初めて。これまでSnow Manのある一つの側面を担っていたSHIROSE作品が、ここへ来てついにA面に採用されたリリースであると言える。


 一方で、初回盤Aおよび通常盤カップリング曲の「Wonderful! × Surprise!」はメンバーのラウールと渡辺翔太が出演するモスバーガーのCMソング。ファンキーなサウンドが印象的なサマー感、パーティー感、ライブ感満載のアッパーチューンに仕上がっている。歌詞には〈待ちきれずに噛み付いた〉〈バンズが頬を膨らして〉といったタイアップならではのフレーズを盛り込みつつ、全体的には英語詞の割合を多めに配合したことによって、ボーカルがよりリズミカルに跳ねている。


 さらに初回盤Bおよび通常盤収録の「Feel the light, Lovely」はほとんど英語で綴られた一曲で、序盤のハウスビートが大胆にEDM的展開を見せる洗練されたダンスナンバー。日本語詞だけでなく英語を織り交ぜた楽曲も歌いこなしている。


 総じて、表記や表現にこだわった日本語詞の楽曲から、英語を巧みに取り入れた作品まで、振り幅の広さを感じられるシングルと言えるだろう。(荻原梓)


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