『ちむどんどん』川口春奈が黒島結菜の救世主に? 朝ドラが描いてきた姉と妹

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2022年08月07日 06:01  リアルサウンド

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『ちむどんどん』(写真提供=NHK)

 『ちむどんどん』(NHK総合)で「なにもしてあげられなくてごめんね」そう言って、電話を切った良子(川口春奈)の顔には明らかに“不満です”と書いてあった。もともと正義感の強い良子のことだから、「アッラ・フォンターナ」で起こっていた嫌がらせには一番腹が立ったのだろう。でもだからといって上京までしてくるのは予想外だった。


【写真】嫌がらせをする権田役の利重剛


 曲がったことやひねくれた人が許せない良子が、妹・暢子(黒島結菜)のために動き出した。もしかしたら話を聞いて、妹にとって良くない何かを感じ取ったのかもしれない。


 もともと良子と暢子はそこまで仲の良い姉妹ではないように思う。少し歳も離れているし、生真面目で決められたことはしっかりやりたい良子と能天気で文句を言いながら物事を進める暢子の性格は正反対。やんばるで一緒に暮らしていた頃に、東京行きを諦めざるを得なくなって、家の手伝いにも身が入らず、ぼーっとしている暢子を良子が叱ったことから言い合いの喧嘩になったこともある。ただ、最後まで暢子が東京に行けるように考えてくれていたのも良子だ。暢子が東京に行くためには300ドルが必要だと知った良子は、自分の給与を前借りしてそのお金を工面したのだった。暢子の東京行きが決まった日の夜、歌子(上白石萌歌)を含めた三姉妹で冗談を言い合う中、「暢子が(料理の)才能がありすぎるからうちはしないだけ」と言っていた良子。実は誰よりも暢子の才能を認め、活躍してほしいと願っている人なのだろう。


 これまでの朝ドラにも姉妹の関係が描かれているものがある。『とと姉ちゃん』の常子(高畑充希)は、早くに亡くなった父から妹たちの父代わりとなることを託されていたが、その一家の長のような振る舞いが三女・美子(杉咲花)との喧嘩の火種になった。反対に常子の一家をどうにか支えようとする姿は、次女・鞠子(相楽樹)を勇気づけ、鞠子は一度は諦めた大学進学を希望するようになったのだ。


 『おかえりモネ』のヒロインの妹・永浦未知(蒔田彩珠)は、姉の百音(清原果耶)とはそれほど仲が悪くないはずなのに、時折、姉に対する嫉妬心や島を離れた姉への思いが濁流のようになってしまっていた。半ば八つ当たりのように感情をぶつけてしまっても、受け止めてくれる百音に支えられながら、未知は震災の時の自分の体験を受け入れ、成長していったのだ。


 姉妹の関係とは結構、複雑なものだ。近しい存在だからこそ、嫌なところが見え、ちょっとした行動が必要以上に許せないこともあれば、他人よりも素直になれたり、その行動に自分が鼓舞されたりすることもある。最近まで、周りから長男の嫁であるからという理由で働くことに渋い顔をされていた良子は、最後に暢子を頼り、暢子に教えてもらった御三味のレシピで、教師として働くことを認めてもらった(レシピ通り、うまくできたかは別の話だが)。良子にしては珍しい今回の向こう見ずな行動は、その恩返しの意味もあるのかもしれない。暢子は今、重子(鈴木保奈美)に結婚を認めてもらうことしか頭になく、自分が思うままに行動してしまっている。今こそ、しっかり者の姉の力が必要だ。


(久保田ひかる)


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  • ドラマ批評をなんとか回避しようという作文か?(笑)姉妹論へ逃げるのか?このちむどんどん、擁護するメディアの最右翼がリアルサウンドだ。メディアとしての責任をどうする?
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