『六本木クラス』“原作忠実再現”に賛否、「実写化」とは異なる「リメイク」ヒットの壁

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2022年08月18日 08:40  ORICON NEWS

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写真『六本木クラス』主演の竹内涼真 (C)ORICON NewS inc.
『六本木クラス』主演の竹内涼真 (C)ORICON NewS inc.
 現在放送中の『六本木クラス』(テレビ朝日系)が、1話から原作にかなり忠実なストーリー展開に、「完全再現していてすごい」「日本ならではの良さがない」などと賛否が巻き起こった。一方、興収22億超ヒットを記録中の映画『キングダム2』は原作の再現度に称賛が上がり、Netflixで来年配信予定の『幽☆遊☆白書』は、人気キャラのビジュアルが発表されると「全然違う」「似せる気あるのかよ」などと批判が寄せられている。「実写化」では求められる“原作に忠実”が通用しない「リメイク」。ヒットの鍵は何なのだろうか。

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■『六本木クラス』、『パパとムスメの7日間』、『シコふんじゃった。』… 相次ぐリメイクドラマ

 今期、7月7日にスタートした『六本木クラス』以外にも、同26日には、2007年にヒットした『パパとムスメの7日間』(TBS系)のリメイクドラマが飯沼愛主演で放送開始。来秋には、92年公開映画『シコふんじゃった。』のリメイクドラマ『シコふんじゃった!』がディズニープラスで今秋配信予定だ。映画界でも、5月公開の『シン・ウルトラマン』に次ぎ、来年には『シン・仮面ライダー』が公開予定だ。

 中でも、Netflixで大ヒットした韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本版リメイクとして、放送前から大きな話題を呼んでいた『六本木クラス』。竹内涼真演じる主人公の髪型をはじめ、設定やセリフに至るまで、原作にかなり忠実なストーリー展開に、1話から「本家の再現度が高い」「思いのほか忠実に再現されていてびっくりした」「ホントに完全再現していてすごいと思った」といった声が上がった一方で、「原作には劣る」「韓国版のリメイクすぎる」「日本ならではの良さがない」などの声も多数寄せられた。

 海外作品のリメイクは、これまでも『マイ・ボス マイ・ヒーロー』『猟奇的な彼女』『魔王』『美男ですね』『グッド・ドクター』『SUITS』『24JAPAN』『知ってるワイフ』『彼女はキレイだった』などと数多いが、社会背景や文化が違うことから、原作に忠実なストーリーにすると、どうしても違和感が生まれる。

 そこを『マイ・ボス マイ・ヒーロー』などは『カバチタレ』の原作世界観を“女性主人公”にしてポップに描いた大森美香氏が脚本を務め、その腕を存分に発揮。『SUITS』では、登場人物たちのお芝居をアメリカ風な“ケレン味”を持たせることで、作品にファンタジー感を詰め込んだ。

 『六本木クラス』では、平手友梨奈演じる19歳の麻宮葵が飲酒するシーンがあり、日本では違法となることから年齢設定を変え、重要なシーンで描かれるチゲ料理をから揚げに変更。4話では、トランスジェンダーのりく(さとうほなみ)のオリジナルエピソードが描かれるなど、日本風の“マイナーローカライズ”が見受けられるが、これだけ原作ファンが多い作品では、キャラクターやストーリーの大幅な変更は許されないだろう。しかし、忠実に再現すればするほど「リメイクならではの良さがない」「見る意味がない」などとも言われる難しさを孕んでいるのだ。

■原作超えるハードル回避? リメイクでも「続編」や「別世界」描いてきた過去作多数

 かといって、国内ドラマのリメイクは尚更比較されやすく、よりハードルが高い。『パパとムスメの7日間』(TBS系)で言えば、新垣結衣主演でヒットした前作のハードルは相当高い。2020年には名作『東京ラブストーリー』、昨年には『華麗なる一族』がリメイクされたが、原作が面白いからと言ってヒットするかと言えば、やはりそうではない。

 「『パパムス』ではやはり、15年前の新垣結衣×舘ひろしのイメージが強すぎ、『そのキャストでないと意味がない』『リメイクする意味は?』などの声がありました」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。

「一方で、SNSでの反応を見ると『面白い』『前作を見たことがないけど、笑えるし泣けるしいい』といった意見が“若者”中心に多い。『東京ラブストーリー』もリアルタイム世代には敬遠されていたが、実は“若者”にはウケていた。つまり、テレビボリューム層であるリアルタイム世代がそっぽを向いたからヒットしているように見えないというケースもあるのです」(同氏/以下同)

 ほか、前クール放送の今田美桜主演の『悪女』は、92年版はビッグヒットとは言えなかった。ゆえに前作を超えるハードルはないが、以前ヒットできなかった作品をどう面白くするかという別のハードルが立ちはだかる。

 国内リメイク作品の成功例と言えるのは、『西遊記』『白い巨塔』『砂の器』くらいだろうか。どれも相当な予算をかけ、キャスト陣がリメイクならではの個性を発揮していた。

「さらに局側も“大作感”“お祭り感”を醸し出しており、キャストも正月SPドラマのような華やかさ。その特別感がウケていた時代だったという見方もでき、テレビの影響力が薄まった現在に通用するかといったら、かなり可能性は低い。同時に、国内ドラマにそれほどの予算がかけられない今、リメイクドラマのヒットの壁はかなり厚くなっている」

 そんな中、92年公開映画『シコふんじゃった。』のリメイクドラマ『シコふんじゃった!』(ディズニープラス/今秋配信)は、前作と同じく周防正行が監督を務めながら、新時代の相撲ドラマとして“全く違うストーリー”を描く。

 これまでも『スケバン刑事』や『セーラー服と機関銃』、『WATER BOYS』、『GTO』などが、キャストを変えて実質上のリメイク作品を放送してきたが、どれも“同じストーリー”を描くのではなく、続編だったり、オリジナル要素を入れたりして作られている。2018年に放送された『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』も、大ヒットドラマ『花より男子』の“続編”として描かれた。リメイク作品がヒットする条件として、同設定でも、“別作品”として楽しめることは重要なようだ。

■「続編」でも「別世界」でもない、“普遍性”描く庵野監督の『シン』シリーズの妙

 そこをうまくついたのが、庵野秀明監督の『シン』シリーズだ。『シン・ゴジラ』(2016)、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)、『シン・ウルトラマン』(2022)、そして来年には『シン・仮面ライダー』の公開を控える。

「日本の人気コンテンツを自由な発想でリメイクしながらも、『シン』というワードにより、視聴者は“別作品”の暗示をかけられる。それでいて、庵野監督は『シン』の意味について、“『新』、『真』、『神』などの様々な意味を感じてもらいたいという意図を込めて付けた”と、その意味を断定していないがために、作品の位置づけや解釈を任せられた視聴者は何も言えなくなってしまう。つまり、人々は『シン』シリーズを1つの“テクスト”として捉えざるを得ず、賛否どちらの意見も、作品の“場外乱闘”に持ち込まざるを得ないのです」(衣輪氏)

 もちろん、元作品に対する他に追従を許さないほどの造詣の深さは外せない。オマージュシーンを入れ込むことで、熱狂的な元作品ファンの溜飲を下げることも効果として絶大。その際に「庵野監督も視聴者と同じペースで歳を重ねて、リアルタイム世代向けに制作していることが面白さの理由に。また、基本ドラマや映画は消費されていくものであり、つまり“当時の世相”を反映していることから、“その時代だからウケた”部分は現在では通用しない。そこを省いた上で、“現代風”ではなく“普遍性”を持たせて描く手法が見事なのです」(同氏)

 人気原作が出尽くし、オリジナル脚本でのヒットや話題作りが年々難しくなってきている中、キャストの都合で続編もできないとなれば、国内外のヒット作リメイクは有効だ。しかし、脚本の面白さはまず担保できても、原作をそのまま再現すれば「見る意味がない」と言われ、オリジナリティを入れすぎても原作ファンからの批判を受ける。実写化作品以上に原作と比較されやすいリメイク作品の成功の鍵は、視聴者に『単純な「リメイク」ではない』ことをいかに“納得”させるか、なのかもしれない。


(文/西島亨)

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  • そもそもこの筆者が勘違いしているのは同じリメイク作として比較しているが 六本木はついこないだで見る層に変化無し 他は20年以上離れ見る層は入れ替わっている この前提を考慮しなきゃ考察に意味なし
    • イイネ!2
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