もう中学生、ランジャタイ、真空ジェシカ、ボケまくり芸人が大人気の理由は超一流の「受け皿」にあり

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2022年08月20日 11:30  AERA dot.

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写真ボケを乱打する芸人のひとり、もう中学生
ボケを乱打する芸人のひとり、もう中学生
 笑いの基本は「ボケ」と「ツッコミ」である。テレビバラエティの世界ではこれらがちょうど半々の割合で存在しているかというと、決してそんなことはない。どちらかと言うとツッコミの方が多いのではないかと思われる。


【写真】ボケの「受け皿」として超一流MCはこちら
 なぜなら、たとえば芸人の司会者と芸人以外(アイドル、役者など)のゲストが会話をする場合、芸人じゃない側が発する何気ない言葉に対して、芸人が気の利いたツッコミを入れて笑いを起こすということがよくあるからだ。


 つまり、相手がはっきりしたボケを言っていなくても、その話を受ける側の芸人の腕次第で笑いに持っていけるのだ。ボケに対してツッコむのではなく、ツッコむことでツッコまれる側の発言をボケとして「立たせる」ことができるのだ。


 このように、ツッコミは一種のコミュニケーションの手段であり、使い勝手がいいので、バラエティの世界では一般的に見受けられる。しかし、ボケはそうではない。


 テレビで見られるボケのほとんどは「文脈に沿ったボケ」である。その場で話題になっていることに関連する気の利いたことを言ったり、相手の話を受けて返答をしたりする、というものだ。テレビで活躍する芸人は、当意即妙にその場に合ったボケをひねり出す高い技術を持っている。


 一方、文脈に沿っていない唐突なボケというのはあまり見られない。そういうボケは相当うまくやらないと笑いに結びつかないし、場の空気を壊してしまうこともあるからだ。ボケを言うなら文脈に沿ったボケに限る、というのがバラエティの基本的なセオリーである。


 しかし、近年、そのセオリーを覆すような芸人が続々と出てきている。その代表格が、昨年末の『M−1グランプリ』で決勝に進んだランジャタイと真空ジェシカである。ランジャタイの国崎和也と真空ジェシカの川北茂澄は、テレビでも流れに関係ないボケを連発する危険人物である。しかし、その芸風が面白がられて、むしろ仕事が増えているようなところがある。




 独特の不思議な世界観を持っているピン芸人のもう中学生も、奇天烈なボケを乱打する芸風を確立しているが、見事に再ブレークを果たし活躍中である。文脈に沿っていないボケが敬遠されがちなテレビの世界で、彼らが出られるのはなぜなのか。


 その理由を一言で言えば、それを受け止めるMCの芸人がいるからだ。『有吉の壁』の有吉弘行、『ラヴィット!』の川島明のように、ボケまくり芸人が出る番組には、必ずと言っていいほど超一流の芸人MCが控えている。彼らが乱れ飛ぶボケを見事にさばいていくことで、それが面白いものとして処理され、笑いが生まれる。


 ボケを飛ばす芸人の側も、受け皿がしっかりしているから安心してフルスイングできる。超一流の芸人MCの面々は、どんなボケでもそれを拾って面白くすることができるし、たとえスベってしまっても、厳しくたしなめたり、フォローしたりすることで笑いを起こせる。受け止める側の芸人のスキルが高いからこそ、文脈に沿っていないボケも難なく処理することできるのだ。


 バラエティの世界では、ボケよりもツッコミの技術の方が求められるので、ツッコミを得意とする芸人が活躍しやすい。そんな中で、あえて自らボケまくるというのは茨の道である。特に、文脈に沿っていないボケを放つというのは、視界の悪い場所でバンジージャンプをするような度胸が求められる。


 ただ、そんな状況でも、有吉や川島という安全マットが敷いてあれば、芸人たちは安心してボケることができる。たとえ命綱が切れることがあっても、命の保証はされている。ボケまくり芸人が増加する背景にあるのは、安定感のある芸人MCが増えているということなのだ。


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