METAFIVE、発売中止を経た2ndアルバムがチャート好調 “ラストアルバム”にしてフレッシュさ感じる作品に

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2022年09月24日 10:01  リアルサウンド

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METAFIVE『METAATEM』

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-09-26/


 2022年9月26日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのは、柴咲コウと福山雅治のユニット KOH+の『ヒトツボシ 〜ガリレオ Collection 2007-2022〜』で、推定売上枚数は40,743枚だった。2007年にドラマ『ガリレオ』シリーズをきっかけに始動したユニットで、現在公開中のシリーズ最新作『沈黙のパレード』の主題歌として9年ぶりに新曲「ヒトツボシ」を発表。同曲に加え、これまでに発表した楽曲がコンパイルされたのが本作だ。映画のヒットと歩みを合わせての首位となった。ほか、トップ10圏内の初登場作品は、5位METAFIVE『METAATEM』(7,237枚)、6位PENTAGON『Feelin’ Like』(6,585枚)、7位『アオペラ -aoppella!?-4』(5,648枚)、9位SARD UNDERGROUND『日の名残り』(4,184枚)の4作。KOH+をのぞけば、上位をTWICEやAdo、ONE OK ROCKら発売から何週か経った作品が占めているが、2週目の勢いを保っているであろうONE OK ROCKに対して、TWICEのようなK-POP作品の場合は輸入盤の流通の都合で週ごとに集計される売上がまちまちになる傾向がある。Adoについては、映画『ONE PIECE FILM RED』のヒットが売上を後押ししているものと思われる。


(関連:砂原良徳×白根賢一が語る、高橋幸宏の凄み すべてがデザインされたスタイリッシュなドラミング


 さて今回取り上げるのは、METAFIVEの『METAATEM』。2021年8月にリリース予定だったが発売中止となり、2021年11月に配信された無観客ライブのチケット特典として購入者に配布された。その後、2016年収録のライブ映像を特典としたDeluxe Editionという形でリリースされることが決定し、9月16日に日の目を見ることになった。


 発売の経緯と同じように、制作も紆余曲折あったようだ。『サウンド&レコーディング・マガジン』2021年9月号のインタビューによると、2019年の秋から制作がスタートしたものの、2020年に入ってコロナ禍に見舞われ、高橋幸宏の体調の問題もあり、一年ほど制作がストップ。その後、高橋の回復を待って仕上げ、完成に至ったという。


 制作中断の前に8〜9割ほどは完成していたというから、コロナ禍の直前から、不安に満ちた(いや、いまでも満ちているが)コロナ禍のはじまりの時期に制作されたアルバムが『METAATEM』ということになる。


 そんな背景を重ねたくなるようなところが、たしかに『METAATEM』にはある。たとえば「Full Metallisch」や「May Day」、「Snappy」あたりで時折顔を出す、鈍くあたりを曇らせるような響き(ゴンドウトモヒコの貢献だろうか)。バレアリック的なニュアンスも漂う、おおらかな没入感のある「Communicator」もそこに並べたい。『META』や『META HALF』といった過去作ではあまり顔を出さなかった、中間色のようなニュアンスがひたっとアルバムのなかに貼りついている、というか。そう考えると、カバーアートワークもモランディっぽく見えてくるような……。


 一方で、これまで以上に「バンド」らしい勢いを感じる。特に制作スタイルが変わったわけではなく、これまで通りデータのやり取りで個人プレーを重ねてつくっていたにもかかわらず、だ。前述のインタビューでメンバーも語るように、生ドラムの比率が高いことが功を奏した部分も多そうだ。その見立てに従うなら、「In Sorrow」はアシッドなベースラインとトリッキーな16ビートで突き抜けていくダイナミックなドラムが印象的な楽曲で、その好例といえよう。フックになっているのは歌メロで、サビで飛び石をわたるように言葉を置いていくことで、遅さとスピード感が拮抗する多層的なグルーヴがところどころ生まれているのが面白い。


 2016年当時のMETAFIVEを第一期とするならば、『METAATEM』は第二期のはじまりも感じさせるフレッシュな作品だ。それだけに“ラストアルバム”と銘打たれていることは複雑だが、ひとまずはこの機会に広くリスナーへ届けられたこの作品へ耳を傾けたい。(imdkm)


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  • 先日の幸宏アニバーサリーライブ、小山田がかなり恐縮して何度も頭を下げていたなぁ����ʴ򤷤����
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